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1章 始まりまでの努力
2話入学準備は入念に。
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あれから早6年、俺は急速なスピードで成長していた。
いや、体は子供なんだけど、知識的なね?
どうやら此処は、勇者養成所と言う施設で、俺はそこの玄関前に籠に入れられた状態で捨てられていたらしい。まぁ、十中八九、あのテンプレ女神のせいなんだけどね。
俺はそこの施設の代表であるあの婆さんに引き取られ、育てられた。
あの婆さんの名前はエルダ・ウェルバ。捨て子だった俺を引き取り、育ててくれた恩人だ。基本的には、俺が望む物はすぐに用意してくれた。知りたい事は大体は教えてくれたし、飯もそこそこうまいし、布団はふかふかだし、あ~マジ感謝。
そんな事は置いといて、実際、俺の成長スピードには周囲の大人全員が軽く引いていたらしい。
初日で喋り、文字を理解し、会話が出来るように成った。
別に俺が天才だったとかじゃなくて、何と無く分かってしまうのだ。この世界の文字が。これが異世界転生の影響なのかもしれない。随分と異世界人に優しい影響である。
見た目はガキの頃の俺のまんまだ。それがちょっと残念な所である。しかし、その肉体能力も何故か優れていて、文字を覚えたらすぐにハイハイをし、立ち上がり、ブレイクダンスを踊れるぐらいには優れていた。周りは完全にドン引きだった。
しかし、別にパンチで岩を割るとかは出来ない。飽くまでも、周りより身体機能が優れているだけなのだ。
そして何より、俺にとって朗報だったのは、此処が勇者養成所と言う事だった。
この世界にはどうやら、俺の狙ったとおり、魔族や魔神、魔物というものが存在していて、そいつらを倒し、生計を立てる勇者と言う存在が在って、そいつらが集まり、パーティーを組み、日夜戦っているらしい。
魔王も複数存在するらしく、やりごたえは抜群だとか。
ギルドというものが在って、そこに加入することで依頼を受ける事が出来るらしい。何だかMMORPG見たいだ。胸がワクワクする。そのギルドの中にも、階級というものが存在して、最上位の勇者になることが、最も誉れ高いことなんだとか。
俺は将来的にこの勇者養成所を出て、ギルドに所属することになるのだろう。
そして、今年からやっと俺はこの勇者養成所に通えるように成ったのだ!!楽しみすぎて、予習として、これから習うであろう知識を全て頭に叩き込んだほどだ。
ぶっちゃけ、もう座学なんて受ける必要が無い。婆さんからお墨付きを貰ったほどだ。
現役の生徒に勉強を教えてあげることも在ったぐらいだ。
実際、教師よりも分かりやすい!!と、俺に列が出来たほどだ。
当たり前だ。俺の情熱を教師のそれなんかと一緒にしてもらっちゃあ困る。
俺は確実に勇者にならなくてはならないのだ。
だからといって、俺が勉強漬けだったとかそういう訳じゃない。
ちゃんと友達だって出来た。嬉しい。
~~2年ぐらい前~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「たまには歳相応に、公園なんかで遊ぶのも良いもんだなぁ。」
俺がブランコをありえないほどの速度で運転しているその時だった。
「うぇ~ん、え~ん、ひっく、うっぐぅ。」
「ちょっと!!あんたたち!!やめやさいよ!!」
「あ!?んだよ!?ここは俺達がドッジボールやってんだよ!!その流れ弾が当たっただけだろ!?」
「いいからあやまんなさいよ!!」
「うるせぇ!!このチビ!!」
「ん?あれは・・・。・・・また絵に描いたような、弱い者いじめだなぁ。」
青っぽい髪の毛の子が蹲って泣いている。その前に見た目からして悪ガキっぽいやつがボールを持って立っていて、その間には、正義感の強そうな目をした、ピンクの髪のポニーテールの女子が立っている。皆んなだいたい今の俺と同じぐらいの年齢だろうか。
「よしっ!!いっちょここらで、武勇伝を作っておくのも悪くねえなっ!!」
そう叫ぶと同時に、俺はブランコを飛び降り、華麗に着地。しかし、唯、止めに行くのでは芸がない。俺の異世界初の武勇伝だ。せっかくだからこの身体能力を活かして、スタイリッシュに登場しますか。
「おい!!そこのお前ら!!弱い者いじめは止めろってっ!!」
ちょうど凍った水たまりが在ったので、トリプルフリップからのダブルループを意識して、くるくると回りながら登場してみた。
どうだ?この華麗な登場シーンは?怖かろう?恐ろしかろう?
「何だテメーは!?」
「そうよ!!いきなりくるくる回って!!馬鹿じゃないの!?」
何っ!?しまった。昔に一度テレビで見ただけだったので、ミスっていたか。アイススケートって難しい。
「何神妙な顔して黙ってんだボケェッ!?テメェッ!!何しに来やがったっ!?」
「なぁに、ちと、弱い者いじめが見えたのでね、助けに来たという訳さ。ドゥーユーアンダスタン?」
「ドゥ、ドゥーユー?・・・訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞてめぇ!!」
「そうよ!!あんただって弱そうじゃない!!」
あれ?火に油?ってかおい、女、お前そっちサイドに行くのかよ。
「試してみるかい?自慢じゃないが、俺の手刀はビールの瓶を割るぜ?」
「ビ、ビール?」
「大人の飲み物さ。」
「馬鹿にしやがってっ!!そこのチビと女もろともぶっ飛ばしてやるぜっ!!」
そう言うと、悪ガキは俺の顔をめがけて殴りかかってくる。だが、浅い。経験もなければ、実力も無いパンチだ。
俺はそれを華麗にくぐり抜けると同時に奴の顎めがけて拳を放つ。
悪ガキの輪郭が一瞬、ぐにゃりと歪み、後方へ吹き飛ばされる。
「い、痛ぇ!!痛ぇよぉ!!」
リーダーが倒されてビビったのか、悪ガキの仲間は散り散りに成って逃げていった。
「何か言う事は?」
「ず、ずいばぜんでじだぁっ!!」
「あぁ、そっちの子に謝れ。・・・あぁ・・・それで良い。」
謝ると、悪ガキは泣きながら帰っていった。
ちょっと大人気無かったかな。
「何が悔しいって、こんな変な奴に負けた事よね・・・。」
「ちょっと待てお嬢さん、俺そんな変な奴だった?」
「十分変よ、全く。それにそのお嬢さんって言うのやめてくれる?私達同い年ぐらいでしょ?」
(サラリーマンやってて、首になりましたとか言えない。)
「私はアンナ。アンナ・ロールよ。そっちの泣いてる子はローイ・ロスよ。」
「よろしくな、アンナ。それから、ローイ、お前いつまで泣いてんだ?男らしくシャキッとしろよ。」
「ちょっと、アンタ・・・!!」
「ううん良いの、アンナ。そうだね。シャキッとしなきゃね。僕はローイ。よろしくね。」
顔を上げたそいつは薄い青の目をした男にしてはやたらと可愛い奴だった。確かにこう言う奴ってよくいじめの標的に成ったりするよね。実にけしからん。
「君の名前は?」
「あぁ、俺の名前か・・・まだ名乗ってなかったか。・・・よしっ!!俺の名前はロッド。ロッド・ウィルソンだ。ロッドで良い。」
「そっか・・・よろしくね!!ロッド君!!」
アンナと違って可愛げの在るやつだな。
「アンタ、今、何か私に失礼な事考えなかった?」
「い、いいや、別に・・・。」
女は皆んなエスパーなのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これがあいつらと俺の初めての出会いだ。ファーストコンタクトは大事だよね。何か盛大に失敗したような気がするけど。
まぁ、とやかく在ったが、俺が楽しみな理由の一つは、そいつらもこの勇者養成所に入学するって事だ。
友達と同じ学び舎で共に汗を流し、学ぶ喜びを久しく忘れていたのかもしれない。あいつらの顔を思い出すだけで胸がドキドキする。まさか・・・こ、これが・・・動悸?
「んなアホなことを考えてる場合じゃ無いな。」
遂に明日は入学初日である。不備がないように、入念に準備をしなければ。
「ロープ良し、ローブ良し、教科書良し、ナイフ良し、ランプ良し、熱い思い良し。」
「ロッドちゃん、準備は出来たのかい?」
「あぁ、婆さん、今してるよ。非常食良し、布団良し、着替え良し、薬箱良し、地図良し、遺書良し。」
「アンタは何と戦っているんだいっ!?」
「だって学校だぜっ!?婆さん。何が起こるかわからない環境で、俺はあいつらを守り抜かなきゃならないんだぞっ!?」
「自分の身の守り方を身につける場所だっての。」
「あ、そっかぁ。」
張り切りすぎていたようだ。
いや、体は子供なんだけど、知識的なね?
どうやら此処は、勇者養成所と言う施設で、俺はそこの玄関前に籠に入れられた状態で捨てられていたらしい。まぁ、十中八九、あのテンプレ女神のせいなんだけどね。
俺はそこの施設の代表であるあの婆さんに引き取られ、育てられた。
あの婆さんの名前はエルダ・ウェルバ。捨て子だった俺を引き取り、育ててくれた恩人だ。基本的には、俺が望む物はすぐに用意してくれた。知りたい事は大体は教えてくれたし、飯もそこそこうまいし、布団はふかふかだし、あ~マジ感謝。
そんな事は置いといて、実際、俺の成長スピードには周囲の大人全員が軽く引いていたらしい。
初日で喋り、文字を理解し、会話が出来るように成った。
別に俺が天才だったとかじゃなくて、何と無く分かってしまうのだ。この世界の文字が。これが異世界転生の影響なのかもしれない。随分と異世界人に優しい影響である。
見た目はガキの頃の俺のまんまだ。それがちょっと残念な所である。しかし、その肉体能力も何故か優れていて、文字を覚えたらすぐにハイハイをし、立ち上がり、ブレイクダンスを踊れるぐらいには優れていた。周りは完全にドン引きだった。
しかし、別にパンチで岩を割るとかは出来ない。飽くまでも、周りより身体機能が優れているだけなのだ。
そして何より、俺にとって朗報だったのは、此処が勇者養成所と言う事だった。
この世界にはどうやら、俺の狙ったとおり、魔族や魔神、魔物というものが存在していて、そいつらを倒し、生計を立てる勇者と言う存在が在って、そいつらが集まり、パーティーを組み、日夜戦っているらしい。
魔王も複数存在するらしく、やりごたえは抜群だとか。
ギルドというものが在って、そこに加入することで依頼を受ける事が出来るらしい。何だかMMORPG見たいだ。胸がワクワクする。そのギルドの中にも、階級というものが存在して、最上位の勇者になることが、最も誉れ高いことなんだとか。
俺は将来的にこの勇者養成所を出て、ギルドに所属することになるのだろう。
そして、今年からやっと俺はこの勇者養成所に通えるように成ったのだ!!楽しみすぎて、予習として、これから習うであろう知識を全て頭に叩き込んだほどだ。
ぶっちゃけ、もう座学なんて受ける必要が無い。婆さんからお墨付きを貰ったほどだ。
現役の生徒に勉強を教えてあげることも在ったぐらいだ。
実際、教師よりも分かりやすい!!と、俺に列が出来たほどだ。
当たり前だ。俺の情熱を教師のそれなんかと一緒にしてもらっちゃあ困る。
俺は確実に勇者にならなくてはならないのだ。
だからといって、俺が勉強漬けだったとかそういう訳じゃない。
ちゃんと友達だって出来た。嬉しい。
~~2年ぐらい前~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「たまには歳相応に、公園なんかで遊ぶのも良いもんだなぁ。」
俺がブランコをありえないほどの速度で運転しているその時だった。
「うぇ~ん、え~ん、ひっく、うっぐぅ。」
「ちょっと!!あんたたち!!やめやさいよ!!」
「あ!?んだよ!?ここは俺達がドッジボールやってんだよ!!その流れ弾が当たっただけだろ!?」
「いいからあやまんなさいよ!!」
「うるせぇ!!このチビ!!」
「ん?あれは・・・。・・・また絵に描いたような、弱い者いじめだなぁ。」
青っぽい髪の毛の子が蹲って泣いている。その前に見た目からして悪ガキっぽいやつがボールを持って立っていて、その間には、正義感の強そうな目をした、ピンクの髪のポニーテールの女子が立っている。皆んなだいたい今の俺と同じぐらいの年齢だろうか。
「よしっ!!いっちょここらで、武勇伝を作っておくのも悪くねえなっ!!」
そう叫ぶと同時に、俺はブランコを飛び降り、華麗に着地。しかし、唯、止めに行くのでは芸がない。俺の異世界初の武勇伝だ。せっかくだからこの身体能力を活かして、スタイリッシュに登場しますか。
「おい!!そこのお前ら!!弱い者いじめは止めろってっ!!」
ちょうど凍った水たまりが在ったので、トリプルフリップからのダブルループを意識して、くるくると回りながら登場してみた。
どうだ?この華麗な登場シーンは?怖かろう?恐ろしかろう?
「何だテメーは!?」
「そうよ!!いきなりくるくる回って!!馬鹿じゃないの!?」
何っ!?しまった。昔に一度テレビで見ただけだったので、ミスっていたか。アイススケートって難しい。
「何神妙な顔して黙ってんだボケェッ!?テメェッ!!何しに来やがったっ!?」
「なぁに、ちと、弱い者いじめが見えたのでね、助けに来たという訳さ。ドゥーユーアンダスタン?」
「ドゥ、ドゥーユー?・・・訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞてめぇ!!」
「そうよ!!あんただって弱そうじゃない!!」
あれ?火に油?ってかおい、女、お前そっちサイドに行くのかよ。
「試してみるかい?自慢じゃないが、俺の手刀はビールの瓶を割るぜ?」
「ビ、ビール?」
「大人の飲み物さ。」
「馬鹿にしやがってっ!!そこのチビと女もろともぶっ飛ばしてやるぜっ!!」
そう言うと、悪ガキは俺の顔をめがけて殴りかかってくる。だが、浅い。経験もなければ、実力も無いパンチだ。
俺はそれを華麗にくぐり抜けると同時に奴の顎めがけて拳を放つ。
悪ガキの輪郭が一瞬、ぐにゃりと歪み、後方へ吹き飛ばされる。
「い、痛ぇ!!痛ぇよぉ!!」
リーダーが倒されてビビったのか、悪ガキの仲間は散り散りに成って逃げていった。
「何か言う事は?」
「ず、ずいばぜんでじだぁっ!!」
「あぁ、そっちの子に謝れ。・・・あぁ・・・それで良い。」
謝ると、悪ガキは泣きながら帰っていった。
ちょっと大人気無かったかな。
「何が悔しいって、こんな変な奴に負けた事よね・・・。」
「ちょっと待てお嬢さん、俺そんな変な奴だった?」
「十分変よ、全く。それにそのお嬢さんって言うのやめてくれる?私達同い年ぐらいでしょ?」
(サラリーマンやってて、首になりましたとか言えない。)
「私はアンナ。アンナ・ロールよ。そっちの泣いてる子はローイ・ロスよ。」
「よろしくな、アンナ。それから、ローイ、お前いつまで泣いてんだ?男らしくシャキッとしろよ。」
「ちょっと、アンタ・・・!!」
「ううん良いの、アンナ。そうだね。シャキッとしなきゃね。僕はローイ。よろしくね。」
顔を上げたそいつは薄い青の目をした男にしてはやたらと可愛い奴だった。確かにこう言う奴ってよくいじめの標的に成ったりするよね。実にけしからん。
「君の名前は?」
「あぁ、俺の名前か・・・まだ名乗ってなかったか。・・・よしっ!!俺の名前はロッド。ロッド・ウィルソンだ。ロッドで良い。」
「そっか・・・よろしくね!!ロッド君!!」
アンナと違って可愛げの在るやつだな。
「アンタ、今、何か私に失礼な事考えなかった?」
「い、いいや、別に・・・。」
女は皆んなエスパーなのか?
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これがあいつらと俺の初めての出会いだ。ファーストコンタクトは大事だよね。何か盛大に失敗したような気がするけど。
まぁ、とやかく在ったが、俺が楽しみな理由の一つは、そいつらもこの勇者養成所に入学するって事だ。
友達と同じ学び舎で共に汗を流し、学ぶ喜びを久しく忘れていたのかもしれない。あいつらの顔を思い出すだけで胸がドキドキする。まさか・・・こ、これが・・・動悸?
「んなアホなことを考えてる場合じゃ無いな。」
遂に明日は入学初日である。不備がないように、入念に準備をしなければ。
「ロープ良し、ローブ良し、教科書良し、ナイフ良し、ランプ良し、熱い思い良し。」
「ロッドちゃん、準備は出来たのかい?」
「あぁ、婆さん、今してるよ。非常食良し、布団良し、着替え良し、薬箱良し、地図良し、遺書良し。」
「アンタは何と戦っているんだいっ!?」
「だって学校だぜっ!?婆さん。何が起こるかわからない環境で、俺はあいつらを守り抜かなきゃならないんだぞっ!?」
「自分の身の守り方を身につける場所だっての。」
「あ、そっかぁ。」
張り切りすぎていたようだ。
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