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第九話
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オズベルト様オススメのお店は、ピザ屋さんだった。このピザ屋さんには大きなカマドがあり、そこで焼いた出来たてアツアツのピザが食べられるのだ。
店内は盛況で、私達が座ったら満席になってしまった。
「ルーイさん、どれにします?」
オズベルト様にメニューを見せられて、私の胸は高鳴った。
どれもとっても美味しそうなのである。
四種のチーズをたっぷりと使ったチーズピザ。
魚介盛り沢山のシーフードピザ。
りんごとクリームチーズのデザートピザなんてのもある。
どれにしようか目移りしていたら、オズベルト様がアドバイスをくれた。
「この店人気ナンバーワンは自家製サラミを使ったサラミピザなんですよ」
「じゃあそれにします!」
ちなみにオズベルト様はシーフードピザを注文した。
少し待つと、カマドから取り出した出来たて熱々のピザがテーブルに並んだ。
「いただきます」
一切れ手に持ち、パクリと口に入れた。
「美味しい!」
ジューシーなサラミが美味しい! それにたっぷりのチーズが口の中いっぱいに広がる! カマドで焼いたもっちりとした生地もイイ!
私は一切れをあっという間にたいらげた。
「良かったらこちらもどうぞ」
「はい!」
これも美味しい!
私はハフハフ言いながらシーフードピザを咀嚼した。
「オズベルト様。とても美味しいです」
口いっぱいにピザを頬張り、ニコニコとオズベルト様の方を見たら、オズベルト様はうっ……と唸った。
「と、とても可愛いです……」
「え?」
「まるでドングリを口の中いっぱいに詰めた子リスのようです」
「子リス……」
しまった。口いっぱいに頬張るのはちょっと子供っぽかったな。
私はちょっとだけ赤面した。
「すみません……。いい大人が」
「いえいえ。貴方が美味しそうに食べているのを見ると、とても幸せな気持ちになれます。俺の事は気にせず好きに食べて下さい」
「そうですか? では……」
私は大きな口を開けてパクリとピザを食べた。
オズベルト様はそんな私の様子を、とても嬉しそうに眺めていた。
※※※※
食後に飲み物を飲みくつろいでいたら、お手洗いに行きたくなった。
「ちょっと失礼します」
トイレから出てオズベルト様が待っている席に戻ろうとしたら、目の前の席に座っている女の子二人組がオズベルト様の方を見て何やら話をしていた。
「あの人カッコイイね」
「声かけちゃう? どうする?」
「うーん、友達と来てるみたいだからやめとこうよ」
「えーでも、あんな素敵な人滅多にいないよ? お近づきになりたいー」
「諦めよう。あんなカッコイイ人なら絶対彼女いるよ」
私はその会話を聞いてニンマリした。
そうだろうそうだろう。
オズベルト様はカッコイイのだ。
世間がやっとオズベルト様の素晴らしさに気が付いたようだな。
私は何だか得意げな気持ちになって、ウキウキと席に戻った。
店内は盛況で、私達が座ったら満席になってしまった。
「ルーイさん、どれにします?」
オズベルト様にメニューを見せられて、私の胸は高鳴った。
どれもとっても美味しそうなのである。
四種のチーズをたっぷりと使ったチーズピザ。
魚介盛り沢山のシーフードピザ。
りんごとクリームチーズのデザートピザなんてのもある。
どれにしようか目移りしていたら、オズベルト様がアドバイスをくれた。
「この店人気ナンバーワンは自家製サラミを使ったサラミピザなんですよ」
「じゃあそれにします!」
ちなみにオズベルト様はシーフードピザを注文した。
少し待つと、カマドから取り出した出来たて熱々のピザがテーブルに並んだ。
「いただきます」
一切れ手に持ち、パクリと口に入れた。
「美味しい!」
ジューシーなサラミが美味しい! それにたっぷりのチーズが口の中いっぱいに広がる! カマドで焼いたもっちりとした生地もイイ!
私は一切れをあっという間にたいらげた。
「良かったらこちらもどうぞ」
「はい!」
これも美味しい!
私はハフハフ言いながらシーフードピザを咀嚼した。
「オズベルト様。とても美味しいです」
口いっぱいにピザを頬張り、ニコニコとオズベルト様の方を見たら、オズベルト様はうっ……と唸った。
「と、とても可愛いです……」
「え?」
「まるでドングリを口の中いっぱいに詰めた子リスのようです」
「子リス……」
しまった。口いっぱいに頬張るのはちょっと子供っぽかったな。
私はちょっとだけ赤面した。
「すみません……。いい大人が」
「いえいえ。貴方が美味しそうに食べているのを見ると、とても幸せな気持ちになれます。俺の事は気にせず好きに食べて下さい」
「そうですか? では……」
私は大きな口を開けてパクリとピザを食べた。
オズベルト様はそんな私の様子を、とても嬉しそうに眺めていた。
※※※※
食後に飲み物を飲みくつろいでいたら、お手洗いに行きたくなった。
「ちょっと失礼します」
トイレから出てオズベルト様が待っている席に戻ろうとしたら、目の前の席に座っている女の子二人組がオズベルト様の方を見て何やら話をしていた。
「あの人カッコイイね」
「声かけちゃう? どうする?」
「うーん、友達と来てるみたいだからやめとこうよ」
「えーでも、あんな素敵な人滅多にいないよ? お近づきになりたいー」
「諦めよう。あんなカッコイイ人なら絶対彼女いるよ」
私はその会話を聞いてニンマリした。
そうだろうそうだろう。
オズベルト様はカッコイイのだ。
世間がやっとオズベルト様の素晴らしさに気が付いたようだな。
私は何だか得意げな気持ちになって、ウキウキと席に戻った。
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