上 下
3 / 4

3

しおりを挟む
亜実果が結婚をあきらめてかけていたある日の朝、通勤途中にある小さな和菓子屋の前を歩いていると、店の前の水まきをしていた和菓子屋の息子の紘紀こうきが亜実果の服に水をかけてしまった。

わたしはどこまでついてないの?と亜実果はがっかりした。

紘紀は頭を下げて言った。

「すいません! クリーニング代、払わせてください」

紘紀が本当に申し訳なさそうに謝るので、亜実果はやさしくこたえた。

「水だから、大丈夫ですよ」

そのときをきっかけに毎朝、二人は和菓子屋の前で軽く話しをする仲になった。

二人が知り合いになってしばらくすると、紘紀は

「あのときのおわびに食事でも」

と、亜実果を誘った。

亜実果は紘紀が「白馬に乗った王子様」タイプではなく、見た目が普通の男性だけれど、一緒に食事に行くことにした。
紘紀が誠実そうに見えたからだ。

食事へ行くと、ふたりの話しははずんだ。
和菓子を作っている紘紀と、お菓子作りが好きな亜実果は、話しが合ったのだ。
亜実果は話しているうちに、紘紀のまじめさややさしさにひかれた。
それから数日後、亜実果はごちそうしてくれたお礼に、紘紀にドライフルーツ入りのクッキーを作ってプレゼントした。
紘紀は亜実果の作ったクッキーのおいしさに感動した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の不倫で離婚することになったから、不倫相手の両親に告発してやった。

ほったげな
恋愛
夫から離婚したいと言われた。その後私は夫と若い伯爵令嬢が不倫していることを知ってしまう。離婚は承諾したけど、許せないので伯爵令嬢の家に不倫の事実を告発してやる……!

令嬢は婚約者も家も国も捨てて、遠くへ行きたい

拓海のり
恋愛
伯爵令嬢セシリアには侯爵嫡男のアリスターという婚約者がいた。 しかし彼は浮気者で、今日もどこかの令嬢が突撃して来る──。 13000字くらいのお話です。

私のことが好きすぎて目も合わせられない婚約者が浮気していたので、婚約破棄します!

ほったげな
恋愛
私の婚約者は私のことが好きすぎて目も合わせられない。そんな彼が浮気していた。だから、私は彼との婚約を破棄した。その後、私はコマス伯爵に求婚され…?!

夫に惚れた友人がよく遊びに来るんだが、夫に「不倫するつもりはない」と言われて来なくなった。

ほったげな
恋愛
夫のカジミールはイケメンでモテる。友人のドーリスがカジミールに惚れてしまったようで、よくうちに遊びに来て「食事に行きませんか?」と夫を誘う。しかし、夫に「迷惑だ」「不倫するつもりはない」と言われてから来なくなった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

【完結】婚約者の好みにはなれなかったので身を引きます〜私の周囲がそれを許さないようです〜

葉桜鹿乃
恋愛
第二王子のアンドリュー・メルト殿下の婚約者であるリーン・ネルコム侯爵令嬢は、3年間の期間を己に課して努力した。 しかし、アンドリュー殿下の浮気性は直らない。これは、もうだめだ。結婚してもお互い幸せになれない。 婚約破棄を申し入れたところ、「やっとか」という言葉と共にアンドリュー殿下はニヤリと笑った。私からの婚約破棄の申し入れを待っていたらしい。そうすれば、申し入れた方が慰謝料を支払わなければならないからだ。 この先の人生をこの男に捧げるくらいなら安いものだと思ったが、果たしてそれは、周囲が許すはずもなく……? 調子に乗りすぎた婚約者は、どうやら私の周囲には嫌われていたようです。皆さまお手柔らかにお願いします……ね……? ※幾つか同じ感想を頂いていますが、リーンは『話を聞いてすら貰えないので』努力したのであって、リーンが無理に進言をして彼女に手をあげたら(リーンは自分に自信はなくとも実家に力があるのを知っているので)アンドリュー殿下が一発で廃嫡ルートとなります。リーンはそれは避けるべきだと向き合う為に3年間頑張っています。リーンなりの忠誠心ですので、その点ご理解の程よろしくお願いします。 ※HOT1位ありがとうございます!(01/10 21:00) ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも別名義で掲載予定です。

【完結】王太子妃の初恋

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。 王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。 しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。 そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。 ★ざまぁはありません。 全話予約投稿済。 携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。 報告ありがとうございます。

処理中です...