不思議な電話

ミユー

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結婚相談所の女性に言われたとおり、日曜日の二時、〈カフェ・ランタン〉へ行くと、スーツ姿の男性を見つけた。
話しかけてみると、男性は
「あなたでしたか。電話をかけて来た女性が帽子をかぶっている方がお相手の女性です、と言っていたので」
と言った。
顔をぱっとみたら、色白で小づくりの顔で、わたしになんとなく似てるなと思った。
悪い感じがしないので、
「電話がかかってきたんですか。わたしも電話がかかってきてびっくりしちゃったんです」
とこたえて、そんな感じで話し始め、わたし達は距離を縮めていった。
話しを聞くと、不思議なことに男性もわたしと同じように母親経由で結婚相談所の女性から携帯に電話がかかってきたそうだ。
母親は男性がいつまでも結婚しないので、心配して結婚相談所の女性に携帯の電話番号を教えてしまったという。
「ぼくは次にお付き合いする人と結婚しようとちょうど決めていたときで、電話で話しを聞いて、信じたい気持ちでここへ来たんです」
男性が言った。
「わたしは最近アンラッキーなことばかり続くので、現状打破するために来ました」
「現状打破ですか、ハハハ」
男性が笑ってくれて、ちょっとほっとした。
そんな落ち込むことでもなかったんだなと思って。
わたし達はその日、連絡を交換しあった。




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