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少年と少女 それぞれの理由
少年と少女4
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「先日ガトーレの遺跡で見つかった石板が、リシュラスへ運ばれてくる事になったので、レイリア様にもお見せ出来るかもしれないという話をさせて頂いていたのですが、覚えていらっしゃいますかな?」
「もちろんです」
遺跡等で発掘される石板には古の記録が記されているだけの物が多いのだが、時として石板自体が何かを封じている場合がある。
そして、石板に封じられた遺物は女神の御力により造られたと言われる品である可能性が高く、破邪の剣もその一つとされていた。
古代遺跡に関しては、ハンターギルド所属のハンターなどが主に発見し、ギルドよりその報せを受けた各国が遺跡を国の管理下へと置き、その後詳細な発掘作業等が行われる。
だが大抵の場合は、各国から要請を受けたフロディア教の教団関係者によって、発掘作業及び封印解除作業が行われる。
教団が発掘作業等を請け負う理由はいくつかある。
一番多い理由としては、古代語に精通した者や、魔法による封印の解除に慣れた者が多いからだ。
だがそれ以外に最も大きな理由は、フロディア教の巫女であれば、どんな遺物の封印の解除も、解読も可能だからだ。
そのため、封印の解除や解読が困難な遺物は、巫女の住まうトランセアへと運ばれることとなる。
巫女によって封印を解かれた遺物や解読された内容は、危険なものでなければ発掘された遺跡が存在する国へ、教団への多額の寄付を代わりとして返還される。
もし封印を解除された遺物や解読された内容が危険なものであると判断された場合には、その旨が各国へと通知され、トランセアにて再度封印、若しくは破棄されることになると言われている。
今回ガトーレで発掘された石板もまた、現地での封印の解除が困難であるとの判断から、巫女に封印の解除を託す事が決まった。
そして、石板をトランセアへと移送するために一旦王都であるリシュラスへと運び込む事が決まり、その際のリシュラスでの石板の保管場所がリシュラス大聖堂となった。
古代言語学者でもあるヴィモットは、この機会にと石板の調査を教団に申し入れたところ、教団より許可が下りたため、調査にはレイリアも同行させてもらえるかもしれないという話があったのだ。
「実はまだ公にはなっていないのですが、その石板がガトーレからリシュラスへ向かう途中に盗まれたようでして…」
「盗まれたぁ⁉」
レイリアは驚きのあまり、つい声が大きくなった。
「はい。それ故、石板を調べることも、お見せすることも出来なくなってしまいまして…」
非常に残念そうな表情のヴィモットへ、レイリアは慌てたように話しかけた。
「あの、石板が盗まれるというのは、かなりの大ごとですよね?移送に軍の警備は付かなかったのですか?」
「もちろん、軍が護送しておりましたが、そもそも移送自体内密に行われていた事です故、それ程大人数を配備してはいなかったようですな」
「そうなの、ですか…。それで、犯人はまだ見つからないのですか?」
「軍の方でも捜索しているようですが、こちらには何も情報が入ってきてはおりませぬ」
「そうですか…」
「申し訳ありませぬ」
頭を下げるヴィモットに対し、レイリアは頭を振った。
「いいえ、ヴィモット先生の責任ではありませんし。
また次の機会がありましたら、お声を掛けて頂けると嬉しいです」
約六年前、自分自身が誘拐された事件で目にした『あるもの』を調べるために、レイリアは古代語を学んできた。
そして今回、もしかすると自分が知りたい事に少しでも近づく事が出来るかもしれないという期待から、ヴィモットの調査に同行させてもらえることを非常に楽しみにしていた。
そのため本心ではがっかりしていたが、その思いを出来る限り顔には出さず、レイリアは精いっぱいの作り笑いを向けたのだった。
「もちろんです」
遺跡等で発掘される石板には古の記録が記されているだけの物が多いのだが、時として石板自体が何かを封じている場合がある。
そして、石板に封じられた遺物は女神の御力により造られたと言われる品である可能性が高く、破邪の剣もその一つとされていた。
古代遺跡に関しては、ハンターギルド所属のハンターなどが主に発見し、ギルドよりその報せを受けた各国が遺跡を国の管理下へと置き、その後詳細な発掘作業等が行われる。
だが大抵の場合は、各国から要請を受けたフロディア教の教団関係者によって、発掘作業及び封印解除作業が行われる。
教団が発掘作業等を請け負う理由はいくつかある。
一番多い理由としては、古代語に精通した者や、魔法による封印の解除に慣れた者が多いからだ。
だがそれ以外に最も大きな理由は、フロディア教の巫女であれば、どんな遺物の封印の解除も、解読も可能だからだ。
そのため、封印の解除や解読が困難な遺物は、巫女の住まうトランセアへと運ばれることとなる。
巫女によって封印を解かれた遺物や解読された内容は、危険なものでなければ発掘された遺跡が存在する国へ、教団への多額の寄付を代わりとして返還される。
もし封印を解除された遺物や解読された内容が危険なものであると判断された場合には、その旨が各国へと通知され、トランセアにて再度封印、若しくは破棄されることになると言われている。
今回ガトーレで発掘された石板もまた、現地での封印の解除が困難であるとの判断から、巫女に封印の解除を託す事が決まった。
そして、石板をトランセアへと移送するために一旦王都であるリシュラスへと運び込む事が決まり、その際のリシュラスでの石板の保管場所がリシュラス大聖堂となった。
古代言語学者でもあるヴィモットは、この機会にと石板の調査を教団に申し入れたところ、教団より許可が下りたため、調査にはレイリアも同行させてもらえるかもしれないという話があったのだ。
「実はまだ公にはなっていないのですが、その石板がガトーレからリシュラスへ向かう途中に盗まれたようでして…」
「盗まれたぁ⁉」
レイリアは驚きのあまり、つい声が大きくなった。
「はい。それ故、石板を調べることも、お見せすることも出来なくなってしまいまして…」
非常に残念そうな表情のヴィモットへ、レイリアは慌てたように話しかけた。
「あの、石板が盗まれるというのは、かなりの大ごとですよね?移送に軍の警備は付かなかったのですか?」
「もちろん、軍が護送しておりましたが、そもそも移送自体内密に行われていた事です故、それ程大人数を配備してはいなかったようですな」
「そうなの、ですか…。それで、犯人はまだ見つからないのですか?」
「軍の方でも捜索しているようですが、こちらには何も情報が入ってきてはおりませぬ」
「そうですか…」
「申し訳ありませぬ」
頭を下げるヴィモットに対し、レイリアは頭を振った。
「いいえ、ヴィモット先生の責任ではありませんし。
また次の機会がありましたら、お声を掛けて頂けると嬉しいです」
約六年前、自分自身が誘拐された事件で目にした『あるもの』を調べるために、レイリアは古代語を学んできた。
そして今回、もしかすると自分が知りたい事に少しでも近づく事が出来るかもしれないという期待から、ヴィモットの調査に同行させてもらえることを非常に楽しみにしていた。
そのため本心ではがっかりしていたが、その思いを出来る限り顔には出さず、レイリアは精いっぱいの作り笑いを向けたのだった。
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