男子高校生の休み時間

こへへい

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騙されたと思って

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和樹「そういえば、この前の文化祭でやけに高額な商品があったの知ってる?」

隆太「文化祭で高額商品? 知らんが、誰がそんな、どんな商品でいくらなんだ?」

和樹「焼き物部。タンドール釜。1つ5万円」

隆太「たっか! ってかタンドール釜って何だよ、幸せにしてくれたりすんのか?」

和樹「壺じゃあるまいし。でも幸せってのは確かに、間接的にはそうかもね。タンドール釜は、タンドリーチキンやナンを焼く時に使われる釜なんだ。食べれば幸せになれる」

隆太「あー、あのインド料理とかで出てくるあのチキンか。あれ釜で作ってたんだな。って、何でその釜を学園祭で売ってんだよ。売れないだろ流石に重いし」

和樹「ちゃんと設置サービスもしてるらしいよ」

隆太「学外に出てんじゃねぇよ。外の祭りだよ」

和樹「その釜なんだけどね、確か5個くらい売れたらしい」

隆太「え、25万ってこと? 確かうちの売上25万と少しだったよな、危うくそんなへんてこりんな商売に負けるところだったのか。っていうか、5個も設置サービスしたの?」

和樹「らしいよ、流石に1年保証とかはできないけれど。それでも5個も売れるってすごいよね」

隆太「だな、普通は無理だ。何かコツがあったんだろうぜ」

和樹「鋭いね、そのコツってのをこの前焼き物部の人に聞いてさ」

隆太「そのコツで壺売るなよな。で、どんなコツだ?」

和樹「壺売りそ~な顔だね。コツってのはね、タンドリーチキンを販売するブースに無償で渡したってところさ」

隆太「無償で? なるほど、それで実演販売をさせたわけだな?」

和樹「その通り。本場の調理法で作られたタンドリーチキンを売り、さらにそれがご家庭で楽しめるように宣伝したのさ。さらに、それだけじゃない」

隆太「まだあるのか?」

和樹「高い釜と、安い釜の両方を準備したことなんだ」

隆太「ほうほう、これも察しはつくな。高い方と安い方を提示することで、相対的に安い方がお手頃価格と思わせる。コントラスト効果だな」

和樹「そうそう。しかもヤフオクのタンドール釜の相場を見せることで、安さをアピールしたんだってさ」

隆太「焼き物部熱入り過ぎだろ、土に注げよその熱を」

和樹「で、5個の内1つ買ったのは僕」

隆太「え、嘘? 買っちゃったの? 設置サービスもしてもらって?」

和樹「うん。試しに使ってみたんだけど、結構使い勝手良かったよ。こんがりとした香ばしいチキンもそうだけど、あんなモチモチとしたナンを家で作れるとは思ってなかったよ」

隆太「ぐぬぬ~、そう言われると欲しくなるな」

和樹「そこそこコンパクトサイズで場所も取らないしね。それに今文化祭が終わって売れ残った釜を半額で売ろうとしているんだってさ」

隆太「焼き物部を探せ! 俺は今カレーの口になっている! ナマステー!!」
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