男子高校生の休み時間

こへへい

文字の大きさ
上 下
22 / 60

無為で無意味な時間は気づかれないもの

しおりを挟む
和樹「世の中に無意味な時間ってあると思う?」

隆太「そりゃあるだろ、ほら、今とか」

和樹「より一層人が離れること言わないで、ただでさえpv身内だけで凹んでるんだから。言わんとすることは分かるけれども」

隆太「つっても、これに限らず無駄な時間なんていくらでもあるだろ。代表としてはyoutubeとかツイッターが挙がるが、この前の時間もそうだったろ?」

和樹「この前? ああ、隆太が理科の宿題で発表した、グループ自由研究のこと?」

隆太「やめろマジ、いや否定しないけどね無駄だと一番思ったのは他でもない俺だけどね? 改めて、俺は集団行動が苦手だって思ったよ。下手に指摘したら反発して、あらぬ方向に行くんだからさ。あの乾いた拍手はもう二度と見たくない」

和樹「スーパーボールを食べた時の食感って、調べたから何なんだよって感じだよね。どういうルートをたどればそんなバッドエンドに行きつくのさ」

隆太「この話はマジでやめよう。そうじゃなくてさ、昨日の話だよ、昨日の、あの無駄な時間だよ」

和樹「昨日の……ああ、学園祭の出し物か」

隆太「そそ、なーんか最初は何をするのかの意見集める雰囲気あったんだけどさ、途中から前夜祭後夜祭のやりたいこと決めたり、各々グループ作ってくっちゃべったり」

和樹「あはは、まぁ皆楽しそうだったから、止めようにも止められなかったんだろうね」

隆太「そうなんだよな、それが特に質が悪い。無為で無意味な時間ってのは、気づけば過ぎてるもんなんだよな。このままだと中途半端な状態で学園祭を迎えることになってしまう」

和樹「だねぇ、つまり、皆が楽しそうにしている空気感を保ちつつ、ちゃんと決められるところは決めないとってことだよね」

隆太「そう言うと難しいなぁ、俺別にクラスの空気をコントロールできる、エアーコンダクターじゃないんだが」

和樹「エアコンじゃん。でも実際問題そういうのは得意分野の人に任せた方が良くない? 隆太はドライヤーって感じだし」

隆太「乾いてるってか? 感情ドライってか?」

川澄「あ! また楽しそうなこと話してる?」

和樹「お、エアコンだ」

隆太「本当だ、エアコンだ」

川澄「誰がエアコンよ~、楽しそうな雰囲気壊したくないから、その空気を読んで当たり障りなく学園祭企画の進行したいとかそういう話?」

和樹「空気読みすぎでしょ! エアコンどころじゃないよ、背筋冷蔵庫だよ!」

隆太「良いところに来てくれたよ、エアコンのプロに聞きたいことがあるんだけど」

川澄「誰がエアコンのプロよ! 聞きたいことって?」

隆太「人のボルテージが盛り上がってしまって、本来の目的が果たせそうにない場合、どうすればいい?」

川澄「んー、難しいねぇ、でも盛り上がってるんならそれで良いんじゃない? 祭りは準備が一番楽しいんだから。」

隆太「でも本来の目的が果たせないだろ、学園祭の出し物も決まらないで」

川澄「それはパパっと決めれば良いんじゃない? そういう会議そのものがもう面倒だし、決める人が決めて、後はやれる人がやれば、さ。モチベーションなんて人それぞれだし、何を楽しいと感じるのも人それぞれ。なら、それこそ得意分野に任せておけば良いと思うな。反発されるよりはマシだし。後から文句言われても『いや最初から言ってよ~』って言ったら文句言えないしさ」

隆太「え、ありなの?」

川澄「アリアリ! 一部反発する人も出るけど、大抵は盛り上がった空気がどうにかしてくれるから」

和樹「このエアーコンダクター、フィルター掃除されてないね……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

彼女に思いを伝えるまで

猫茶漬け
青春
主人公の登藤 清(とうどう きよし)が阿部 直人(あべ なおと)に振り回されながら、一目惚れした山城 清美(やましろ きよみ)に告白するまでの高校青春恋愛ストーリー 人物紹介 イラスト/三つ木雛 様 内容更新 2024.11.14

教室50センチのラブレター

山野 綾夏
青春
久住 彩葉(くすみ いろは)は、生徒会役員を務める高校三年生。生徒会では広報として、生徒にインタビューをする学内新聞を書いている。 最近は、いろいろなところがドンピシャかつ学内新聞でも取り上げたい隣の席の桐谷くんに、「推させてください」と告白したばかり。結果は、見事に玉砕。 気まずい関係になってしまったものの、いろはには学内新聞で桐谷くんのことを書きたい理由があって――。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

全体的にどうしようもない高校生日記

天平 楓
青春
ある年の春、高校生になった僕、金沢籘華(かなざわとうか)は念願の玉津高校に入学することができた。そこで出会ったのは中学時代からの友人北見奏輝と喜多方楓の二人。喜多方のどうしようもない性格に奔放されつつも、北見の秘められた性格、そして自身では気づくことのなかった能力に気づいていき…。  ブラックジョーク要素が含まれていますが、決して特定の民族並びに集団を侮蔑、攻撃、または礼賛する意図はありません。

処理中です...