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マウンティング
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隆太「腹が立つ」
和樹「え、どうしたの? 何に?」
隆太「川島だよ川島。俺が箒で集めてたゴミを片付け忘れてたとはいえ、すごい怒るんだぜ?」
和樹「それは普通に隆太が悪いんじゃないの?」
隆太「それが、だ。先週の掃除では、川島自身がゴミを回収し忘れていたんだよ。別に俺はそんな事数分で終わるから代わりにやってあげて許してやったんだけどさ」
和樹「ははーん、なるほど、それは確かに嫌だね」
隆太「だろ? 自分が悪いときに許してもらったことを、他人が悪いときはあげつらうって、何か納得いかねーんだよなぁ」
和樹「それを隆太は言ったの? お前の時は許してやっただろって」
隆太「いや、言える感じじゃなかったんだよなぁ、だって言いづらくね?」
和樹「……まぁ確かに、自分が悪くないときは余裕があるわけだから許せるけれど、自分が悪いときに過去の事例を引っ張り出すと、なんか言い訳染みた感じになるもんな」
隆太「そうなんだよ、しかも俺が許してやった時は周りに誰もいなくて二人きりだったんだけど、俺が悪かった時は周りに到着した人がいたんだよ。偶然とはいえ、川島はあの状況を利用したとしか思えないんだよ」
和樹「うっわぁ、それは確かに悪どいね。でも、そもそも隆太がゴミを片付け忘れなかったら、そんなことにはならなかった訳じゃない?」
隆太「その通り。まさしくその通り。それこそが事の本質であり、肝なんだよ」
和樹「え? そうなの? 結局自分が悪いんだからつべこべ言わずに頭を垂れて靴なめろってこと?」
隆太「それが肝なわけないだろ、もうそれ、俺が川島の靴を舐めたいがために不誠実な真似をしてるじゃねーか。どんな変態に見えているんだ」
和樹「じゃあ、何が肝なの? 靴を噛み砕いて教えてよ」
隆太「毒を食らわば皿までじゃなくて、靴を舐めねば噛み砕いてんじゃねーか。……肝ってのは、俺にちゃんと非があって、その状況を利用しているってところなんだよ」
和樹「状況の利用かぁ、確かにそう取れなくもないの、かな? でも偶然川島君がそういうコミュニケーションをした可能性もあるんじゃない?」
隆太「そうなんだよ、それが肝の中でも気持ち悪いところでな。人間誰でも非があるところはあると思うんだよ。それも非がある人が言うと言い訳にしか聞こえないわけだが」
和樹「なるほど、文句の言い所はあるけれど、非の打ち所が明確な場合、その文句は単なる言い訳にしかならないってことだね。意外と深いなぁ」
隆太「俺はそういうの、結構流しちゃうタイプなんだよ。ほら、お前が俺のシャーペン間違って壊したときも、特に怒りはしなかっただろ?」
和樹「いやその例えを俺に出している所が根に持っているでしょ、流してないでしょ」
隆太「は? お前が壊したのにそれ言う?」
和樹「え、いや今さら持ち出されても」
隆太「とまぁこのように罪を持ち出されると、文句を言いようにも負い目があってなんか言い返しづらいだろ? でも事実だろ? その罪の扱いってのが、結構人間性を分けるんだなって思うんだよな」
和樹「まぁ、ほら、許すのって、言うなれば権利の放棄みたいなところあるからね。相手に罪の意識を抱かせる権利の放棄」
隆太「そういうことか、俺って結構損してた?」
和樹「いや、多分隆太が損してなかったら僕は友達やめてた」
隆太「愚痴相手が居なくなるよりかはマシってことか」
和樹「え、どうしたの? 何に?」
隆太「川島だよ川島。俺が箒で集めてたゴミを片付け忘れてたとはいえ、すごい怒るんだぜ?」
和樹「それは普通に隆太が悪いんじゃないの?」
隆太「それが、だ。先週の掃除では、川島自身がゴミを回収し忘れていたんだよ。別に俺はそんな事数分で終わるから代わりにやってあげて許してやったんだけどさ」
和樹「ははーん、なるほど、それは確かに嫌だね」
隆太「だろ? 自分が悪いときに許してもらったことを、他人が悪いときはあげつらうって、何か納得いかねーんだよなぁ」
和樹「それを隆太は言ったの? お前の時は許してやっただろって」
隆太「いや、言える感じじゃなかったんだよなぁ、だって言いづらくね?」
和樹「……まぁ確かに、自分が悪くないときは余裕があるわけだから許せるけれど、自分が悪いときに過去の事例を引っ張り出すと、なんか言い訳染みた感じになるもんな」
隆太「そうなんだよ、しかも俺が許してやった時は周りに誰もいなくて二人きりだったんだけど、俺が悪かった時は周りに到着した人がいたんだよ。偶然とはいえ、川島はあの状況を利用したとしか思えないんだよ」
和樹「うっわぁ、それは確かに悪どいね。でも、そもそも隆太がゴミを片付け忘れなかったら、そんなことにはならなかった訳じゃない?」
隆太「その通り。まさしくその通り。それこそが事の本質であり、肝なんだよ」
和樹「え? そうなの? 結局自分が悪いんだからつべこべ言わずに頭を垂れて靴なめろってこと?」
隆太「それが肝なわけないだろ、もうそれ、俺が川島の靴を舐めたいがために不誠実な真似をしてるじゃねーか。どんな変態に見えているんだ」
和樹「じゃあ、何が肝なの? 靴を噛み砕いて教えてよ」
隆太「毒を食らわば皿までじゃなくて、靴を舐めねば噛み砕いてんじゃねーか。……肝ってのは、俺にちゃんと非があって、その状況を利用しているってところなんだよ」
和樹「状況の利用かぁ、確かにそう取れなくもないの、かな? でも偶然川島君がそういうコミュニケーションをした可能性もあるんじゃない?」
隆太「そうなんだよ、それが肝の中でも気持ち悪いところでな。人間誰でも非があるところはあると思うんだよ。それも非がある人が言うと言い訳にしか聞こえないわけだが」
和樹「なるほど、文句の言い所はあるけれど、非の打ち所が明確な場合、その文句は単なる言い訳にしかならないってことだね。意外と深いなぁ」
隆太「俺はそういうの、結構流しちゃうタイプなんだよ。ほら、お前が俺のシャーペン間違って壊したときも、特に怒りはしなかっただろ?」
和樹「いやその例えを俺に出している所が根に持っているでしょ、流してないでしょ」
隆太「は? お前が壊したのにそれ言う?」
和樹「え、いや今さら持ち出されても」
隆太「とまぁこのように罪を持ち出されると、文句を言いようにも負い目があってなんか言い返しづらいだろ? でも事実だろ? その罪の扱いってのが、結構人間性を分けるんだなって思うんだよな」
和樹「まぁ、ほら、許すのって、言うなれば権利の放棄みたいなところあるからね。相手に罪の意識を抱かせる権利の放棄」
隆太「そういうことか、俺って結構損してた?」
和樹「いや、多分隆太が損してなかったら僕は友達やめてた」
隆太「愚痴相手が居なくなるよりかはマシってことか」
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