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剣聖サーシャ

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「あ、あの人は!」

 カリナが声を上げた。

「……久しぶり、クロム坊っちゃん。それにカリナも。ずいぶん大きくなったね……」

 そこにいたのは、金髪の女剣士であった。
 服は軽装。
 耳が長い。
 エルフだ。

「サーシャ師匠。お久しぶりです」

 そう。
 この女性こそ、カリナと俺の師である。

「……二人とも、きちんと鍛錬を続けているみたいね……。褒めてあげる……」

「ありがとうございます」

 俺は頭を下げる。
 俺は貴族の跡取り息子だが、師匠には頭が上がらないのだ。

「それで……。今の話だけど、私のことを『ちょっとのちょい』と言ったのは誰……?」

「それは……」

 カリナが俺の方をチラリと見る。

「カリナ姉だな。俺は一言も言ってない」

「えっ……!?」

 カリナが驚く。
 悪いな。
 売らせてもらったぞ。
 実際、言い出したのはカリナだしな。

「ふふふふふ……」

 サーシャが笑う。
 その笑みはどこか黒い。

「……ごめんね。私はきちんと聞いていたの……。二人とも共犯……」

 サーシャがそう言う。
 なかなか意地が悪い。

「……クロム坊っちゃん、カリナ。覚悟はできてる……? 今日からしばらく、鍛えてあげる……」

「「……はい」」

 俺たちはうなずく。
 この後メチャクチャしごかれた。

「……今日はこれぐらいにしておこう……」

 サーシャがそう言う。

「「はぁ~……」」

 俺とカリナは、地面に大の字になって寝転がった。
 全身汗まみれだ。
 ……死ぬ。
 しんどいなんてもんじゃない。

「……でも、ここまで成長したのは喜ばしい。近い内に私を抜くかもしれない……」

「まさか……。いくらなんでもそこまではいかないでしょう」

 俺は苦笑いする。
 実際のところ、まともに鍛錬していては後十年以上はかかるだろう。
 しかし、『おっぱいを揉むほど強くなるスキル』を駆使すればどうなるか。
 もしかしたら、サーシャすら追い抜けるかもしれない。

 スキルの特性として、同一人物ばかりの胸を揉んでばかりだと効果が低減するというものがある。
 カリナ以外の胸を揉めば、さらなる成長も期待できる。
 もちろん、カリナの胸を揉むことによる効果がゼロになるわけではないので、スキがあれば揉んでおきたいところだ。

 まあ、今は置いておこう。
 俺、カリナ、サーシャは稽古を終えたところだ。
 汗だくなので、風呂に入る必要がある。

「ええと……。本当にわたしが先に入ってもよろしいのでしょうか?」

「ああ。遠慮なく汗を流すといい」

 俺はカリナに向けてそう言う。

「……私は別にこのままでもいい……」

「駄目です。師匠も、ちゃんと汗を流しておいてください」

 サーシャの外見は儚げなエルフだ。
 しかし実際は脳筋で、ズボラだ。
 こちらから強めに言っておかないと、入らない気だろう。

「わかった……。なら、先に入らせてもらおうね……」

「お先に失礼しますね。ご主人様」

 サーシャとカリナがそう言って、浴室に向かっていった。
 俺はそれを見送る。
 そして、数分が経過した。

 そろそろいいか。
 俺は浴室に向かう。
 脱衣所で服を脱ぎ、全裸の状態で浴場に足を踏み入れる。
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