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71話 2回の表 温まってきた不知火
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桃色青春高校にとって、初回の攻防は素晴らしいものになった。
攻撃では龍之介の3ランホームランで先制し、守備では2奪三振を含め完璧に抑えたのだ。
そして、イニングは2回の表。
マウンドには、大火熱血高校のエースにしてキャプテンを務める、不知火守が立っている。
「うっしゃあああぁっ! 少しずつ温まってきたぜぇえええ!!」
不知火が気合の籠もった声を放つ。
彼女は燃え盛るような熱気を纏い、球場全体をその熱で包み込んだ。
「いくぞおおぉおおおおっ! おらぁっ!!!!」
『ストライクッ! バッターアウッ!!』
不知火の投球は、まるで弾丸のように速い。
ストレートとカーブを織り交ぜた緩急自在のピッチングで、野球ロボ0号を三振に仕留めた。
「やるな……不知火」
初回にホームランを打った龍之介も、そのキレのある球には舌を巻いた。
明らかに、初回よりも球威が増している。
(11月とは思えないこの暑さだが……。奴にとっては適温ってことか。もっと涼しければ優位に戦えたかもしれないな……)
龍之介がそんなことを考える。
ただ、そのようなことを考えても仕方がない。
彼はすぐに次の打者に意識を向ける。
「アタシの魂が荒ぶってるぜぇええっ! おりゃあああぁっ!!」
『ストライクッ! バッターアウトッ!!』
不知火は、8番打者の野球ロボ9号を三振に仕留めた。
下位打線相手とはいえ、2者連続奪三振。
初回の3失点が嘘のようだ。
しかし、これだけでは終わらない。
「震えるぜハートっ!! 燃え上がるほどヒートぉ!!! おおおぉおおっ!!!」
『ストライッ!! バッターアウッ!!!』
不知火は、下位打線に対しても全く手を取らない。
9番打者の野球ロボ8号まで三振に仕留め、3者連続奪三振を成し遂げたのだ。
これでスリーアウトチェンジである。
「もう交代か……。休む時間もないが、仕方がないな」
龍之介がそう言いながら立ち上がる。
野球ロボの性能は低い。
守備範囲が狭いのはもちろん、打撃にも期待薄だ。
それも、単に打率が低いというだけの話ではない。
三振率が高く、四球率が低いのだ。
低打率から受ける印象以上に、野球ロボの貢献度は低い。
野球ロボが3人続く打線を組んでいる以上、こうした3者凡退のイニングはどうしても発生しやすくなる。
(それでも、1回戦や2回戦ではたまーにヒットを打ったりもしていたんだけどな。凡退するにしても、三振じゃなくて内野ゴロとか……)
龍之介はそう思いながら、マウンドに立った。
彼は既に少し疲れた顔をしている。
「あの……大丈夫ですか? 龍様」
「今日の暑さにやられちゃってる?」
「心配するな。まだ2イニング目だ。そこまで疲れていないし、暑さにやられてもいない」
心配して声をかけてくるミオとアイリに、龍之介が返事をする。
実際、彼はバテバテというには程遠い状態だ。
しかし、いつもより消耗ペースが早いのも事実である。
2回の表が短時間で終了したことも少し影響していた。
「集中して参りましょう。龍さんなら抑えられるはずですわ」
「ああ。3点のリードを守れるよう、頑張っていこう」
ユイの言葉に対して、龍之介が力強い返事をする。
彼は気合を入れ直し、2回の表に向けて投球練習を始めるのだった。
123456789 計
―――――――――――――――――
桃色青春|30 |3|
大火熱血|0 |0|
―――――――――――――――――
2回表、桃色青春高校高校の攻撃終了
【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ31【ダークホース桃色青春高校】
480:代走名無し@野球大好きオジサン
2回の表は三者連続三振か……
不知火投手からヒットを打てる気がしないな
481:代走名無し@野球大好きオジサン
マジで素晴らしいピッチャーだ
さすがは強豪校のエース
482:代走名無し@野球大好きオジサン
そこまで絶賛するほどかね?
所詮は下位の野球ロボ相手だぞ
初回は3ラン打たれていたし、微妙な投手だと思うけどな
483:代走名無し@野球大好きオジサン
>>482
不知火投手は尻上がりタイプなんだよ
次の回を見ておけ
ちょうど初回と同じく1番から始まる打順だが、今度は抑えるはずだから
484:代走名無し@野球大好きオジサン
その前に、大火熱血高校の2回裏の攻撃があるだろ
不知火投手が尻上がりタイプだとしても、既にある3点差を何とかしないと勝てないぞ
485:代走名無し@野球大好きオジサン
2回裏は、4番打者から始まる打線か
また熱血プレイが見られるのかね?
あれで怪我でもしたら、どうするんだか……
486:代走名無し@野球大好きオジサン
体力も消耗するしな
投手以外の選手がバテバテになって選手交代とか、珍しい光景が見られるかもしれんぞ
487:代走名無し@野球大好きオジサン
>>486
草
488:代走名無し@野球大好きオジサン
心配無用だ
大火熱血高校はちゃんと怪我抑制の練習をしているし、体力もある
控え選手層も厚いから、いざというときには交代しても問題ない
まだまだ熱血プレイを見せてくれると思うぜ
攻撃では龍之介の3ランホームランで先制し、守備では2奪三振を含め完璧に抑えたのだ。
そして、イニングは2回の表。
マウンドには、大火熱血高校のエースにしてキャプテンを務める、不知火守が立っている。
「うっしゃあああぁっ! 少しずつ温まってきたぜぇえええ!!」
不知火が気合の籠もった声を放つ。
彼女は燃え盛るような熱気を纏い、球場全体をその熱で包み込んだ。
「いくぞおおぉおおおおっ! おらぁっ!!!!」
『ストライクッ! バッターアウッ!!』
不知火の投球は、まるで弾丸のように速い。
ストレートとカーブを織り交ぜた緩急自在のピッチングで、野球ロボ0号を三振に仕留めた。
「やるな……不知火」
初回にホームランを打った龍之介も、そのキレのある球には舌を巻いた。
明らかに、初回よりも球威が増している。
(11月とは思えないこの暑さだが……。奴にとっては適温ってことか。もっと涼しければ優位に戦えたかもしれないな……)
龍之介がそんなことを考える。
ただ、そのようなことを考えても仕方がない。
彼はすぐに次の打者に意識を向ける。
「アタシの魂が荒ぶってるぜぇええっ! おりゃあああぁっ!!」
『ストライクッ! バッターアウトッ!!』
不知火は、8番打者の野球ロボ9号を三振に仕留めた。
下位打線相手とはいえ、2者連続奪三振。
初回の3失点が嘘のようだ。
しかし、これだけでは終わらない。
「震えるぜハートっ!! 燃え上がるほどヒートぉ!!! おおおぉおおっ!!!」
『ストライッ!! バッターアウッ!!!』
不知火は、下位打線に対しても全く手を取らない。
9番打者の野球ロボ8号まで三振に仕留め、3者連続奪三振を成し遂げたのだ。
これでスリーアウトチェンジである。
「もう交代か……。休む時間もないが、仕方がないな」
龍之介がそう言いながら立ち上がる。
野球ロボの性能は低い。
守備範囲が狭いのはもちろん、打撃にも期待薄だ。
それも、単に打率が低いというだけの話ではない。
三振率が高く、四球率が低いのだ。
低打率から受ける印象以上に、野球ロボの貢献度は低い。
野球ロボが3人続く打線を組んでいる以上、こうした3者凡退のイニングはどうしても発生しやすくなる。
(それでも、1回戦や2回戦ではたまーにヒットを打ったりもしていたんだけどな。凡退するにしても、三振じゃなくて内野ゴロとか……)
龍之介はそう思いながら、マウンドに立った。
彼は既に少し疲れた顔をしている。
「あの……大丈夫ですか? 龍様」
「今日の暑さにやられちゃってる?」
「心配するな。まだ2イニング目だ。そこまで疲れていないし、暑さにやられてもいない」
心配して声をかけてくるミオとアイリに、龍之介が返事をする。
実際、彼はバテバテというには程遠い状態だ。
しかし、いつもより消耗ペースが早いのも事実である。
2回の表が短時間で終了したことも少し影響していた。
「集中して参りましょう。龍さんなら抑えられるはずですわ」
「ああ。3点のリードを守れるよう、頑張っていこう」
ユイの言葉に対して、龍之介が力強い返事をする。
彼は気合を入れ直し、2回の表に向けて投球練習を始めるのだった。
123456789 計
―――――――――――――――――
桃色青春|30 |3|
大火熱血|0 |0|
―――――――――――――――――
2回表、桃色青春高校高校の攻撃終了
【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ31【ダークホース桃色青春高校】
480:代走名無し@野球大好きオジサン
2回の表は三者連続三振か……
不知火投手からヒットを打てる気がしないな
481:代走名無し@野球大好きオジサン
マジで素晴らしいピッチャーだ
さすがは強豪校のエース
482:代走名無し@野球大好きオジサン
そこまで絶賛するほどかね?
所詮は下位の野球ロボ相手だぞ
初回は3ラン打たれていたし、微妙な投手だと思うけどな
483:代走名無し@野球大好きオジサン
>>482
不知火投手は尻上がりタイプなんだよ
次の回を見ておけ
ちょうど初回と同じく1番から始まる打順だが、今度は抑えるはずだから
484:代走名無し@野球大好きオジサン
その前に、大火熱血高校の2回裏の攻撃があるだろ
不知火投手が尻上がりタイプだとしても、既にある3点差を何とかしないと勝てないぞ
485:代走名無し@野球大好きオジサン
2回裏は、4番打者から始まる打線か
また熱血プレイが見られるのかね?
あれで怪我でもしたら、どうするんだか……
486:代走名無し@野球大好きオジサン
体力も消耗するしな
投手以外の選手がバテバテになって選手交代とか、珍しい光景が見られるかもしれんぞ
487:代走名無し@野球大好きオジサン
>>486
草
488:代走名無し@野球大好きオジサン
心配無用だ
大火熱血高校はちゃんと怪我抑制の練習をしているし、体力もある
控え選手層も厚いから、いざというときには交代しても問題ない
まだまだ熱血プレイを見せてくれると思うぜ
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