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第5章

1188話 ヴァイス村からエウロス子爵領へ-6

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「大丈夫だ。シルヴィは怖いが、仲間には優しい。お前が心の底から俺たちを憎んでいなければ、なにもされないよ」

「うぅ……」

 少女は怯えるように俺に抱きつく。
 俺は優しくその背中をさすってやった。
 その光景を見て、今度はシルヴィがショックを受けた表情を浮かべる。

「わ、わたしはご主人様のためを思って……」

「分かっている。シルヴィは優しい子だ。ほら、ムチ打ちは休止してこっちにおいで」

「うぅ……。はい、ご主人様!!」

 シルヴィは嬉しそうに笑うと、俺の元にやってくる。
 そして、俺にギュッと抱きついた。
 そんな俺たちをリリアナはキッと睨むが、彼女はムチ打ちによりダメージを負っている。
 ゆっくりと進む馬車の置いていかれないよう、足を動かすだけで精一杯だ。
 二つ名『地母神』を持つ彼女でも、この状況でできることは何もない。
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