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第5章
520話 ララバイ
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赤狐族の少女ヒナタが若干のピンチに陥っているが、俺は冷静に事態を見守っている。
もう一人の新人メンバーが助けてくれるはずだ。
「――【ララバイ】です!」
「うっ!? きゅ、急に眠気が……」
「はふ……ぐぅ……」
「…………zzz」
チセがスキルを発動させる。
すると、盗賊たちはその場で崩れ落ちてしまった。
「チセ、ナイスタイミングだ」
「ありがとうございます」
彼女は少し前まで『過剰魔力症』に苦しんでいた。
通常、それは不幸なことである。
だが、完治した今となっては幸運だったと言える要素も二つある。
一つは、魔法適性が高まっていること。
生命に危険が及ぶレベルにまで体内に魔素を溜め込んでいたことにより、彼女の魔法適性は向上している。
メリットに比べてデメリットが大きいので、狙ってやるようなことではないが。
そしてもう一つは、長時間の睡眠により『眠魔法使い』として覚醒したことだろう。
おかげで、こうして『ララバイ』で敵を無力化できるようになったわけだ。
彼女も『悠久の風』の一員として活躍してくれるだろう。
両親にも話は通してある。
「これで、一段落か」
「はい、男爵様」
俺たちの目の前には眠って横たわる盗賊たちの姿がある。
ヒナタやチセのレベリングを考えると殺しておいてもいいのだが、無力化できた以上は無闇に殺すのも気が引けるな。
生け捕りの方が報酬金が少し多いし、このまま冒険者ギルド経由で衛兵に引き渡そう。
俺たちは残党狩りを切り上げ、冒険者ギルドに向かう。
力持ちのミナやミルキーも同行しているので、盗賊どもを運ぶのに何の問題もない。
そして冒険者ギルドの入口の扉を開けると、何やら受付カウンターが騒がしかった。
「――そんなことがあるはずがないだろう! 我は陛下の指令を受けてここにいるのだぞ!! 我への虚偽報告は、陛下への冒涜であると知れ!!」
「いやしかし、これは事実なのだが……」
何やら、女騎士が喚いている。
それをギルマスが宥めているような感じだ。
「彼女は……ええっと……。誰だっけ?」
見覚えがあるのだが、どうにも思い出せない。
「確か、ナディア・エルカインドさんですね」
「ナディア……?」
「ほら、エルカ迷宮を攻略したわたしたちを町で出迎えた人です。彼女がご主人様をウルゴ陛下に取り次いで……」
「ああ、彼女か」
シルヴィの説明で思い出した。
ナディア・エルカインド。
銀色の長い髪を後ろで束ねている、凛とした雰囲気の女騎士である。
年齢は20代半ば。
彼女はウルゴ陛下の配下であり、普段は王都の近衛騎士団に所属したはず。
なぜこのエルカの町にいるのだろうか?
「よう。何やら騒がしいようだが、どうした?」
「おお、コウタ! いいところに!」
ギルマスは俺を見つけると、大声で叫ぶ。
そして、ナディアが俺に視線を向けたのだった。
もう一人の新人メンバーが助けてくれるはずだ。
「――【ララバイ】です!」
「うっ!? きゅ、急に眠気が……」
「はふ……ぐぅ……」
「…………zzz」
チセがスキルを発動させる。
すると、盗賊たちはその場で崩れ落ちてしまった。
「チセ、ナイスタイミングだ」
「ありがとうございます」
彼女は少し前まで『過剰魔力症』に苦しんでいた。
通常、それは不幸なことである。
だが、完治した今となっては幸運だったと言える要素も二つある。
一つは、魔法適性が高まっていること。
生命に危険が及ぶレベルにまで体内に魔素を溜め込んでいたことにより、彼女の魔法適性は向上している。
メリットに比べてデメリットが大きいので、狙ってやるようなことではないが。
そしてもう一つは、長時間の睡眠により『眠魔法使い』として覚醒したことだろう。
おかげで、こうして『ララバイ』で敵を無力化できるようになったわけだ。
彼女も『悠久の風』の一員として活躍してくれるだろう。
両親にも話は通してある。
「これで、一段落か」
「はい、男爵様」
俺たちの目の前には眠って横たわる盗賊たちの姿がある。
ヒナタやチセのレベリングを考えると殺しておいてもいいのだが、無力化できた以上は無闇に殺すのも気が引けるな。
生け捕りの方が報酬金が少し多いし、このまま冒険者ギルド経由で衛兵に引き渡そう。
俺たちは残党狩りを切り上げ、冒険者ギルドに向かう。
力持ちのミナやミルキーも同行しているので、盗賊どもを運ぶのに何の問題もない。
そして冒険者ギルドの入口の扉を開けると、何やら受付カウンターが騒がしかった。
「――そんなことがあるはずがないだろう! 我は陛下の指令を受けてここにいるのだぞ!! 我への虚偽報告は、陛下への冒涜であると知れ!!」
「いやしかし、これは事実なのだが……」
何やら、女騎士が喚いている。
それをギルマスが宥めているような感じだ。
「彼女は……ええっと……。誰だっけ?」
見覚えがあるのだが、どうにも思い出せない。
「確か、ナディア・エルカインドさんですね」
「ナディア……?」
「ほら、エルカ迷宮を攻略したわたしたちを町で出迎えた人です。彼女がご主人様をウルゴ陛下に取り次いで……」
「ああ、彼女か」
シルヴィの説明で思い出した。
ナディア・エルカインド。
銀色の長い髪を後ろで束ねている、凛とした雰囲気の女騎士である。
年齢は20代半ば。
彼女はウルゴ陛下の配下であり、普段は王都の近衛騎士団に所属したはず。
なぜこのエルカの町にいるのだろうか?
「よう。何やら騒がしいようだが、どうした?」
「おお、コウタ! いいところに!」
ギルマスは俺を見つけると、大声で叫ぶ。
そして、ナディアが俺に視線を向けたのだった。
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