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第5章

497話 苛烈な尋問の末に

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「ふっ。悪は滅びた……」

 俺はそう呟く。
 ネリスを捕縛した俺たち『悠久の風』は、一旦宿屋の2階に戻った。
 そして、10人がかりでネリスを責め立て、情報を引き出したのだ。

「あひゃあぁ……ひいぃ……」

 ネリスが虚ろな声を漏らす。
 彼女は両手足を縛られ、芋虫のようにベッドに這いつくばっていた。
 身に纏う衣服は全て剥ぎ取られ、美しい裸身を晒している。
 彼女の周囲には、いろいろなアレが飛び散っていた。
 俺はそんな彼女を、冷めた瞳で眺めている。

「――ん?」

 俺はふと気付く。
 ネリスが『パーティメンバー設定』の条件を満たしていることに。

(苛烈な尋問だったはずだが……。この様子じゃ、一種のご褒美になってしまったようだな)

 俺は女好きだ。
 ネリスの手引きにより、俺の大切なハーレムメンバーであるミルキーとルンが誘拐されてしまった。
 当然ネリスのことは許せないのだが、それはそれとしてネリス自身も女である。
 男なら苦痛を与えるタイプの拷問をするところだが、ネリスには性的拷問をさせてもらった。
 まぁ、結果としては拷問になりきらなかったようではあるが……。

「情報は揃いましたね。地図で示すのなら、このあたりですか」

「ふぅん。スラムの中では、一般街に近いところなんだね」

 シルヴィとユヅキが話している。
 ネリスから得た情報を元に、今後の動きを話し合っていたのだ。
 ちなみに、ネリスは彼女たちが話している間ずっと放置されていた。
 今もまだ、時折体を痙攣させている。

「ああ。そのあたりの場所は一度取り調べをしたことがある。当時の結論としては、『毒蛇団』のアジトではないということだったが、状況が変わった。ミルキーたちがいる可能性が高い」

 俺はそう言う。
 ネリスが吐いた地点は、チセたち一家が暮らしていた家がある一角だ。
 やはりあの家に何か秘密があったのか、あるいは周囲の家に本当のアジトがあったのか……。
 いずれにせよ、再調査の必要がある。

「さっそく出発するぞ。ネリス、お前も来い」

「あひぁ……」

 ネリスは力なく返事をする。
 現地で追加情報が必要になることもあり得るし、連れていきたいのだが。
 この様子では歩くことすら怪しいな。

「ローズ、治療魔法を掛けてやってくれないか?」

「それは構いませんが……。よろしいですの? また裏切るかもしれませんわ」

 ローズが懸念を示す。
 当然の心配だな。

「心配無用だ。責任は俺が取る」

 ネリスも『パーティメンバー設定』の条件を満たしている。
 俺に対する友好度や親愛度が一定以上あるというシステム上の判定だ。
 この時点で、裏切る可能性は低いと言っていいだろう。
 それに、とある”保険”もあるしな。
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