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第5章
492話 なくなったもの
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「も、申し訳ありません。エウロス卿……」
「俺たちでは歯が立ちませんでした……」
彼らは俺の顔を見るなり、そう謝罪の言葉を口にした。
「何があった?」
「『毒霧団』の襲撃です。エウロス卿が不在時に攻めてくるとは、卑劣な連中め……」
「そうか、あいつらが……」
好き勝手やってくれるじゃないか。
奴らの拠点を潰そうとした俺たちの立入り捜査のタイミングで拠点をもぬけの殻にし、逆に爆薬で地盤と建物を崩落させてきた。
それだけじゃなく、俺たち主要戦力がいないスキに俺たちの拠点を襲撃するとは……。
俺たち『悠久の風』の実動部隊が出払っていた今、この拠点の戦力は落ちていた。
『悠久の風』のサポート部隊のミナとルン、そして一般兵程度である。
そこらのチンピラ程度ならばともかく、『毒蛇団』の主力に襲撃されては厳しい。
(奴らは完全にこちらの動きを把握しているな……)
やはり、スパイがいることは間違いない。
早く特定しないと……。
「しかし、お前たちの命までは取らなかったか。意外に甘いところもあるのか?」
「そ、それが……。俺たちを無力化したあいつらは、2階で何かを探していたようです。不甲斐ない俺たちは、途中で意識を失ってしまったのですが……」
「2階だと? 特に貴重品は置いていないが……」
大切なものは俺の『ストレージ』に保管している。
俺の意思以外では取り出しできないので、そこらの金庫などよりもよほど安全だ。
俺は2階に上がり、状況を確認する。
部屋は荒れており、『毒蛇団』が入ってきた形跡があった。
「ふむ。奴らは俺たちの拠点を襲撃して、活動資金なり武具なりを強奪しようとでもしていたのか?」
確かに、金や武具は捜査に欠かせないものである。
しかし当然、金は俺のストレージに収納済み。
武具は、立入り捜査のために俺たちが身につけている。
奴らの襲撃は無駄骨になっただろう。
俺は安堵のため息をつく。
それとは対称的に、顔色の悪い者たちがいた。
「ミナ? リン? どうかしたか?」
「ま、マズいのです。これは……」
「こりゃ本当にヤバいぜ。気づかないのか? コウタっち」
ミナとリンがそう言う。
マズいも何も、特に重要なものは盗られていない。
部屋を荒らされたのは癪だが、そもそもここは宿屋の一室だ。
金を払えば解決できる話で――いや待て!
とても大切な宝物がなくなっていることに、俺は気付いた。
「ミルキーとルンはどこにいった?」
俺の大切なハーレムメンバー。
この宿屋で待機していたはずのミルキーとルンの姿が、消えていたのだった。
「俺たちでは歯が立ちませんでした……」
彼らは俺の顔を見るなり、そう謝罪の言葉を口にした。
「何があった?」
「『毒霧団』の襲撃です。エウロス卿が不在時に攻めてくるとは、卑劣な連中め……」
「そうか、あいつらが……」
好き勝手やってくれるじゃないか。
奴らの拠点を潰そうとした俺たちの立入り捜査のタイミングで拠点をもぬけの殻にし、逆に爆薬で地盤と建物を崩落させてきた。
それだけじゃなく、俺たち主要戦力がいないスキに俺たちの拠点を襲撃するとは……。
俺たち『悠久の風』の実動部隊が出払っていた今、この拠点の戦力は落ちていた。
『悠久の風』のサポート部隊のミナとルン、そして一般兵程度である。
そこらのチンピラ程度ならばともかく、『毒蛇団』の主力に襲撃されては厳しい。
(奴らは完全にこちらの動きを把握しているな……)
やはり、スパイがいることは間違いない。
早く特定しないと……。
「しかし、お前たちの命までは取らなかったか。意外に甘いところもあるのか?」
「そ、それが……。俺たちを無力化したあいつらは、2階で何かを探していたようです。不甲斐ない俺たちは、途中で意識を失ってしまったのですが……」
「2階だと? 特に貴重品は置いていないが……」
大切なものは俺の『ストレージ』に保管している。
俺の意思以外では取り出しできないので、そこらの金庫などよりもよほど安全だ。
俺は2階に上がり、状況を確認する。
部屋は荒れており、『毒蛇団』が入ってきた形跡があった。
「ふむ。奴らは俺たちの拠点を襲撃して、活動資金なり武具なりを強奪しようとでもしていたのか?」
確かに、金や武具は捜査に欠かせないものである。
しかし当然、金は俺のストレージに収納済み。
武具は、立入り捜査のために俺たちが身につけている。
奴らの襲撃は無駄骨になっただろう。
俺は安堵のため息をつく。
それとは対称的に、顔色の悪い者たちがいた。
「ミナ? リン? どうかしたか?」
「ま、マズいのです。これは……」
「こりゃ本当にヤバいぜ。気づかないのか? コウタっち」
ミナとリンがそう言う。
マズいも何も、特に重要なものは盗られていない。
部屋を荒らされたのは癪だが、そもそもここは宿屋の一室だ。
金を払えば解決できる話で――いや待て!
とても大切な宝物がなくなっていることに、俺は気付いた。
「ミルキーとルンはどこにいった?」
俺の大切なハーレムメンバー。
この宿屋で待機していたはずのミルキーとルンの姿が、消えていたのだった。
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