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第3章 武の名地テツザンへ

138話 鍛錬の途中経過

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 道場に入門して1か月ほどが経過した。
 基本的には毎日鍛錬しているが、たまには休日も設けている。
 また、冒険者として魔物狩りを行う日もある。
 ずっと格闘の鍛錬ばかりだと、狩りの感覚がにぶるからな。
 そして、肝心の格闘の調子はというと……。

「逞しき武の神よ。我が肉体に奇跡を与え給え。裂ける一撃。裂空脚!」

 俺の鋭い回し蹴りが師範を襲う。

「ぐむ……。見事に『格闘家』のジョブを習得したな。素晴らしい才能だ」

「ロドリゴ師範の的確な指導のおかげさ。ありがとう」

 俺はそう言う。
 そして……。

「へへっ。あたいの成果も見てくれよ。……せいやぁっ!!」

 リンがそう言って、力む。
 彼女の体からオーラのようなものが立ち上っている。

「おおっ!」

 ロドリゴが驚いたような顔をする。

「なかなかの『気功』だ。ずいぶんと出力が増しておる」

「へへっ。頑張った甲斐があったってもんだぜ」

 リンが得意げな顔を見せる。

「そうだな。お前はよくやったと思う」

 俺は素直な感想を口にした。

「おっ? コウタっちからも認めてもらえたか」

「ああ。頼りになるパーティメンバーがいて、ありがたいよ」

 俺はそう言う。
 格闘技においてはリンが『悠久の風』の中でナンバーワンだ。

「むむっ! わたしも負けませんよ! ……と言いたいところですが」

「まだまだ『格闘家』のジョブは取得できそうにないね。コツは徐々に掴めていると思うんだけど」

「なかなか難しいのです」

 シルヴィ、ユヅキ、ミナがそう口にする。

「焦らずじっくりやるといい。時間はたっぷりあるのだから」

 ロドリゴがそう言う。
 確かに、時間はいくらでもある。
 俺たち『悠久の風』の稼ぎは、鍛錬の間のわずかな冒険者活動からしか得ていない。
 しかし、俺の各種チートスキルやみんなの精強さにより、そのわずかな時間でも最低限の稼ぎは得られているからな。

「師範の言う通り、焦る必要はない。だが、俺が掴んだコツを後で伝授してやろう。ふふふ」

 正確に言えば、MSCで得た知識をそのまま流用するという話だが。

「ご主人様、ありがとうございます!」

 シルヴィが素直にそうお礼を言う。

「うっ。なんか、また変なことをされそうな予感がする……」

「なのです。コウタくんは、変なことばっかりするのです」

 ユヅキとミナが不安そうな表情をする。

「失敬な! 別におかしなことはしないぞ!」

「いや、コウタっちは変態だからな。その点についてはまったく信用できねえ」

「リンまで!」

 俺の信用がなさすぎる件について。

「ふむ。よくわからんが、コウタには鍛錬の秘訣の心得があるのだな? 危険がないものであれば、やってみるといい」

「おう。帰ってから伝えてみるつもりだ」

 ロドリゴ師範の許可も得た。
 さっそく、帰ってから宿屋で試してみよう。
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