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第3章 武の名地テツザンへ

118話 高級宿

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 武の名地テツザンに到着した。
 まずは旅の疲れを癒やすため、宿屋まで来た。
 少し高いが、良質な宿屋をアーノルドに紹介してもらったところだ。

「うっ! コウタ兄貴はすげえぜ……。俺たちには尻込みしちまう値段だ」

 ユーヤがそう言う。

「仕方ねえな。ユーヤには、また別の宿屋を紹介してやるよ。コウタたちはこの宿に泊まるんだな?」

「ああ。そうだな」

「では、また明日の朝にこの宿屋の前で集合しよう」

 アーノルドがそう言う。

「了解だ」

 俺はそう返答する。
 そして、ユーヤやアーノルドたちはまた別の宿屋に向かっていった。

 俺たち『悠久の風』は、宿屋の中に入る。
 受付には従業員の女性がいた。

「いらっしゃいませっ! 初めてのお客様ですね?」

「ああ。今日からしばらく泊まりたいのだが」

「はい! では、宿泊される人数をお聞きしてよろしいですか?」

「俺を含めて5人だ」

「かしこまりました。5名様ですと、ちょうど大部屋が空いておりますが」

「それでいい。みんなもいいよな?」

 俺は一応、そう確認する。
 男と同部屋は、もしかすると嫌がるかもしれない。

「もちろん問題ありません!」

「今さら気にする仲でもないしね」

 シルヴィとユヅキがそう答える。
 ミナとリンも異論はないようだ。
 エルカの町で、少し深い仲になっておいてよかったな。
 こういうときにも利便性がある。

 それに、みんなと同じ部屋ということは……。
 ぐふふ。
 『例のジョブ』の取得も現実味を帯びてきたな。

「宿泊代金は一泊あたりこちらになっております。何泊なさいますか?」

「そうだな。とりあえず2泊分で頼む」

 俺は女性に代金を支払う。
 俺たち『悠久の風』のパーティ資金はそれなりに潤沢だ。
 もう少し前払いしておいてもいいが、まだこの武の名地とやらにおける予定が定まっていないからな。
 場合によっては、さっさとエルカの町に引き返すこともなくもない。
 随時代金を払っていくのがいいだろう。

「はい、確かに。では、お部屋のほうへご案内いたしますね」

 俺たちは廊下を歩いていく。
 やがて、大部屋にたどり着いた。

「こちらのお部屋になります」

「おお! すげえな!」

「広くて快適そうなのです」

「これはなかなか」

「素敵ですね」

 リン、ミナ、ユヅキ、シルヴィ。
 それぞれが口々に感想を言う。

「それでは、ごゆっくりどうぞ~」

 女性はそう言って去っていった。

「さて、早速くつろぐとするか」

 5人で寝転んでも余裕があるような大きなベッドを中心に、ゆったりとした空間が広がっている。
 俺はソファに腰掛ける。
 なかなか質のいいソファだ。
 これなら、快適な滞在になりそうだな。
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