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第3章 武の名地テツザンへ

116話 ジョブの取得候補

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 エルカの町から武の名地テツザンに向けて馬車で移動中だ。
 新たなミッションが追加されたので、念話を使って『悠久の風』のみんなと情報共有をしているところである。

「(へえ。ジョブを10種っていうのは、コウタっちの話か? 今何種類なんだ?)」

「(ええと……。7種だな)」

 風魔法使い、剣士、氷魔法使い、雷魔法使い、鍛冶師、料理人、火魔法使いだ。

「(それなら、あと3種類ですね! あてはあるのでしょうか?)」

 シルヴィがそう問う。

「(ふむ……。まずは、武の名地における鍛錬で『格闘家』の取得を目指そうと思う)」

 正攻法の鍛錬でも、数か月あれば取得できるだろう。
 しかし、できれば短縮したいところだ。
 『格闘家』の取得にも裏ワザはあるし、試してみよう。

「(コウタは『土魔法使い』の取得だけは失敗していたよね。あれも再チャレンジするの?)」

 ユヅキがそう問う。
 俺は各種の魔法使い系ジョブを順調に取得してきた。
 風、氷、雷、火は取得済みである。

 一方で、土魔法使いは未修得だ。
 ユヅキはエルカ草原で無事に取得できたが、俺はムリだった。
 土魔法使いの裏ワザじみた取得条件は、大地をその身で感じることである。
 しかし、なぜか女性と男性で必要な行為が若干異なるのだ。

「(テツザン近郊の地形次第だが……。『土魔法使い』の取得もいけるかもしれない)」

「(なら、『格闘家』と『土魔法使い』で2種類だな。あと1種類は何かあるのか? あたいにできることなら、何でもするぜ)」

「(もちろんわたしも何でもします!)」

 リンとシルヴィがそう言ってくれる。

「(ん? 今、何でもやるって言ったよね?)」

「(あ、はい。言いましたけど……)」

「(あんまりムチャはダメだぜ!)」

 シルヴィとリンが少し顔を赤らめながらそう言う。
 リンが言うムチャのラインは、相当高めだろう。
 料亭ハーゼでやった目隠しプレイも許容してくれたぐらいだしな。

「(そのときが来たら依頼しよう。とりあえずは、『格闘家』と『土魔法使い』の取得に挑戦するつもりだ)」

「(わかりました! わたしも、『格闘家』には興味があります!)」

「(あたいもだぜ。一時的にファーストジョブを変更してもらってもいいかもしれねえな)」

 リンがそう言う。
 彼女のファーストジョブは『料理人』で、セカンドジョブに『獣闘士』を設定している。
 せっかく武の名地で鍛錬するのであれば、ファーストジョブに『獣闘士』を設定しておくのはいい判断だろう。

「(わかった。そのあたりはおいおい考えよう。テツザンに着くのが楽しみだな)」

 俺たちは念話をそこで打ち切った。
 その後は、出現した魔物を軽く蹴散らしたり、ユーヤやアーノルドと他愛もない雑談をしつつ、馬車に揺られていった。
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