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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

83話 料理コンテスト 審査

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「おあがりよ」

 リンが料理を完成させ、ローズやティータたち審査員の前に皿を出す。
 彼女たちが料理を口に運ぶ。

「まあ……! これは、すばらしい料理ですわ!」

 最初に食べたローズがそう言う。
 さぞかしおいしいことだろう。
 俺やシルヴィも、練習時の味見役としてさんざん食べさせてもらったからな。
 この漂ってくる香りを嗅ぐと、あのおいしい味が思い出される。

「……うん。いい味。こっちのサラダも新鮮でいい……」

 ティータがそうつぶやく。
 彼女はエルフ族だ。
 肉類よりも野菜類を好むはず。

 とはいえ、肉類をまったく食べないというほどではないようだ。
 サラダの他、普通に肉も食べている。

 MSCのエルフ族は、一部のファンタジー作品のエルフのような極端な信仰を持つ種族ではない。
 人族と比べ、やや身体能力が低く、やや魔法適正が高く、やや肉類が嫌いで、やや野菜類が好きな程度である。
 それも個人差が結構ある。
 あまり偏見を持って接するのはよくない。

「リトルブラックタイガーの固めの肉をうまく活かしておるな!」

「それに……。これはブラックタイガーの肉か! なかなか希少な肉のはずだが、よく入手したものだ!」

 他の審査員たちもリンの料理を絶賛している。
 リンの料理はかなりの高評価を得ることができたようだ。

 コンテストは続いていく。
 そして、30人を超える参加者たちの料理がすべて提供された。
 ローズやティータたち審査員は、たくさん食べて満足そうな表情をしている。

 そんな彼女たちが用紙に評価を書き込んでいく。
 それを係員が回収し、集計する。

 30人以上の参加者のうち、10位以内が入賞だ。
 果たして、リンは入賞できるのかどうか。
 係員がローズのもとに向かい、1枚の紙を渡す。

「皆さま、お待たせしました。どの料理も大変おいしく、評価は拮抗しておりました。その中でも上位に入賞した方々を、発表させていただきますわ」

 ローズがそう言う。

「まずは10位から……」

 彼女が人の名を読み上げ、表彰していく。
 10位、9位、8位……。
 リンの名前はまだ呼ばれない。

「どうなるのでしょう……?」

 シルヴィが心配そうにそうつぶやく。

「わからん。かなりの高評価を得ていたはずだが……」

 7位、6位、5位、4位……。
 まだリンの名前は出ない。
 ということは、3位以内に入っているか、11位以下で入選を逃しているかだ。

「自分のことのようにドキドキしてきたよ」

「あれだけがんばっていたのですから、きっとだいじょうぶなのです……!」

 ユヅキとミナが祈るような表情でそう言う。
 果たして、リンは見事入賞を果たしているのだろうか。
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