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第1章 初級冒険者として活躍 シルヴィ、ユヅキ
2話 ステータス確認とミッション
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「ここは……どこだ?」
俺はそうつぶやく。
ふと気がつくと、見知らぬ場所に立っていたのだ。
辺り一面に草原が広がっている。
天候は晴れ。
風が涼しげにざわざわと吹いている。
「おかしいな? 俺はいつもどおり、遅くまで仕事をして終電で帰ったはずだが」
いや待てよ?
電車に乗ったところまでは記憶があるが、その後家まで着いた記憶はない。
おそらく、電車の中で眠ってしまったのではなかろうか。
つまり、これは夢というわけだ。
「乗り過ごすとマズイが……。数分ぐらいならいいか。ゆっくりさせてもらうことにしよう」
ヒュー。
爽やかな風が吹く。
のどかな風景だ。
「心が癒やされる……。そういえば、ここ最近は旅行もゲームもする時間がなかったな」
終電まで仕事して、家に帰って寝るだけ。
次の日もまた朝早くから仕事。
休日出勤も多い。
たまの休みも、日頃の疲れからずっと寝ているだけだ。
「……ん? 視界の隅にアイコンのようなものがあるな。これは……」
見覚えのあるアイコンだ。
学生の頃によくやったVRMMORPG……『マジック&ソード・クロニクル』のアイコンに酷似している。
通称、MSCだ。
「久しぶりにゲームをやりたいという俺の欲望が、夢で叶ったわけか」
どうやら、俺は自分が思っている以上にストレスを溜め込んでいたらしい。
まさか、夢の中でゲームをすることになるとは。
アイコンを選択し、『ミッション』という画面を表示する。
ミッション
30年後の世界滅亡を回避せよ。
報酬:元の世界に帰還(任意)
ミッション
ステータスを確認せよ。
報酬:初心者用の装備一式、経験値(小)
ミッション
ホーンラビットを討伐せよ。
報酬:セカンドジョブ枠の開放、経験値(小)
ミッション
最寄りの町エルカを訪れよ。
報酬:経験値(中)
「おお、懐かしいな。こんな感じのフォーマットだったなあ」
俺はそうつぶやく。
MSCでは、神・冒険者ギルド・村娘など、様々な依頼主からのミッションがある。
それらを達成しつつ報酬を受け取り、物語の核心に迫っていくゲームだった。
「しかし、夢にしては細部まで凝っているな……。せっかくだし、ステータスも確認してみるか」
俺は画面を操作し、ステータス画面を表示する。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:剣士レベル1
HP:E
MP:E
闘気:E
腕力:E
脚力:E
器用:E
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
「完全な初期値じゃねえか」
悲しみよこんにちは。
夢の中だし、もっとロマンのあるステータスでもよかったんじゃないですかねえ……。
「いや、このジョブ設定というスキルは見覚えがない。これはなんだ?」
試しに選択して実行してみる。
対象者の選択画面になったが、俺の名前しかない。
俺の名前を選択してみると、『選択可能なジョブがありません』と表示された。
今の俺は剣士しかジョブを持っていないようだ。
ジョブを変更しようにも、変更先のジョブがない。
MSCは、ジョブの選択と基礎レベルの向上が大切なゲームだ。
例えば剣士レベル5にまで上げれば、『ラッシュ』というスキルを習得できる。
これは、闘気を消費する代わりに通常よりも速く重い攻撃を繰り出すスキルだ。
各ジョブの最大レベルは異なる。
剣士の最大レベルは30。
レベル30になったら、転職をしてジョブを再設定することができる。
剣士レベル30の次は、上級職である騎士になるのが一般的だった。
もしくは、剣士と同格の槍士や槌士になるのもありだ。
短期的には上級職である騎士になったほうが優位性があるが、あえて槍士や槌士になることにももちろん意味はある。
特定のジョブのレベルを一定以上に上げることで開放される特殊職があるのだ。
『ジョブ設定』という名前からして、もしかするといつでもジョブを変更することができるのかもしれない。
ただし、そのためには変更先のジョブの取得条件をあらかじめ満たしておく必要があるだろう。
「経験値ブーストは……。その名の通り、取得経験値に補正がかかるスキルだな」
MSCでは、課金することによりこの補正を得られる。
常時この補正を得られるのであれば、かなり有利だろう。
「まあ、このあたりは一度置いておくか」
なつかしい記憶ではあるが、夢の中であれこれ思い出しても仕方がない。
せっかくなので、いろいろとイベントを進めてみよう。
まずは、ミッションの件だ。
ミッション
ステータスを確認しよう。
報酬:初心者用の装備一式、経験値(小)
このミッションが無事に達成済みになっている。
アイコンを選択し、ミッション報酬を受け取る。
「ふむふむ……。装備一式はストレージに収納されたか。相変わらず便利だな」
俺はストレージ画面を操作し、自身の装備を変更する。
シュンッ。
今まで着ていた普段着から、MSCにおける初心者向けの装備一式に切り替わった。
「そして、経験値(小)も入手っと」
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:剣士レベル2
HP:E
MP:E
闘気:E
腕力:E+
脚力:E
器用:E
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
腕力が若干向上している。
その他のステータスも微量だが向上しているはずだ。
MSCはあまり詳細なステータスまでは確認できない仕様なのである。
「次はホーンラビットの討伐か……。その前に、『あれ』をやっておくか。ほぼ初期レベルの剣士ではホーンラビットを倒せるか怪しいところだしな」
俺は装備画面を開き、自身の装備をストレージに収納する。
これで、俺は全裸になった。
草原の中で全裸だ。
夢の中とはいえ、癖になりそうだ。
……いやいや、これはゲームを円滑に進める上で必要なことなのだ。
しかし、夢の中とは思えないぐらいのリアリティがあるな?
ジョブやステータスはMSCのものではあるが、草原や風のリアリティさはMSCのものとは比べ物にならない。
俺はそんな疑問を抱きつつも、やるべきことに向けて準備を進めていった。
俺はそうつぶやく。
ふと気がつくと、見知らぬ場所に立っていたのだ。
辺り一面に草原が広がっている。
天候は晴れ。
風が涼しげにざわざわと吹いている。
「おかしいな? 俺はいつもどおり、遅くまで仕事をして終電で帰ったはずだが」
いや待てよ?
電車に乗ったところまでは記憶があるが、その後家まで着いた記憶はない。
おそらく、電車の中で眠ってしまったのではなかろうか。
つまり、これは夢というわけだ。
「乗り過ごすとマズイが……。数分ぐらいならいいか。ゆっくりさせてもらうことにしよう」
ヒュー。
爽やかな風が吹く。
のどかな風景だ。
「心が癒やされる……。そういえば、ここ最近は旅行もゲームもする時間がなかったな」
終電まで仕事して、家に帰って寝るだけ。
次の日もまた朝早くから仕事。
休日出勤も多い。
たまの休みも、日頃の疲れからずっと寝ているだけだ。
「……ん? 視界の隅にアイコンのようなものがあるな。これは……」
見覚えのあるアイコンだ。
学生の頃によくやったVRMMORPG……『マジック&ソード・クロニクル』のアイコンに酷似している。
通称、MSCだ。
「久しぶりにゲームをやりたいという俺の欲望が、夢で叶ったわけか」
どうやら、俺は自分が思っている以上にストレスを溜め込んでいたらしい。
まさか、夢の中でゲームをすることになるとは。
アイコンを選択し、『ミッション』という画面を表示する。
ミッション
30年後の世界滅亡を回避せよ。
報酬:元の世界に帰還(任意)
ミッション
ステータスを確認せよ。
報酬:初心者用の装備一式、経験値(小)
ミッション
ホーンラビットを討伐せよ。
報酬:セカンドジョブ枠の開放、経験値(小)
ミッション
最寄りの町エルカを訪れよ。
報酬:経験値(中)
「おお、懐かしいな。こんな感じのフォーマットだったなあ」
俺はそうつぶやく。
MSCでは、神・冒険者ギルド・村娘など、様々な依頼主からのミッションがある。
それらを達成しつつ報酬を受け取り、物語の核心に迫っていくゲームだった。
「しかし、夢にしては細部まで凝っているな……。せっかくだし、ステータスも確認してみるか」
俺は画面を操作し、ステータス画面を表示する。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:剣士レベル1
HP:E
MP:E
闘気:E
腕力:E
脚力:E
器用:E
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
「完全な初期値じゃねえか」
悲しみよこんにちは。
夢の中だし、もっとロマンのあるステータスでもよかったんじゃないですかねえ……。
「いや、このジョブ設定というスキルは見覚えがない。これはなんだ?」
試しに選択して実行してみる。
対象者の選択画面になったが、俺の名前しかない。
俺の名前を選択してみると、『選択可能なジョブがありません』と表示された。
今の俺は剣士しかジョブを持っていないようだ。
ジョブを変更しようにも、変更先のジョブがない。
MSCは、ジョブの選択と基礎レベルの向上が大切なゲームだ。
例えば剣士レベル5にまで上げれば、『ラッシュ』というスキルを習得できる。
これは、闘気を消費する代わりに通常よりも速く重い攻撃を繰り出すスキルだ。
各ジョブの最大レベルは異なる。
剣士の最大レベルは30。
レベル30になったら、転職をしてジョブを再設定することができる。
剣士レベル30の次は、上級職である騎士になるのが一般的だった。
もしくは、剣士と同格の槍士や槌士になるのもありだ。
短期的には上級職である騎士になったほうが優位性があるが、あえて槍士や槌士になることにももちろん意味はある。
特定のジョブのレベルを一定以上に上げることで開放される特殊職があるのだ。
『ジョブ設定』という名前からして、もしかするといつでもジョブを変更することができるのかもしれない。
ただし、そのためには変更先のジョブの取得条件をあらかじめ満たしておく必要があるだろう。
「経験値ブーストは……。その名の通り、取得経験値に補正がかかるスキルだな」
MSCでは、課金することによりこの補正を得られる。
常時この補正を得られるのであれば、かなり有利だろう。
「まあ、このあたりは一度置いておくか」
なつかしい記憶ではあるが、夢の中であれこれ思い出しても仕方がない。
せっかくなので、いろいろとイベントを進めてみよう。
まずは、ミッションの件だ。
ミッション
ステータスを確認しよう。
報酬:初心者用の装備一式、経験値(小)
このミッションが無事に達成済みになっている。
アイコンを選択し、ミッション報酬を受け取る。
「ふむふむ……。装備一式はストレージに収納されたか。相変わらず便利だな」
俺はストレージ画面を操作し、自身の装備を変更する。
シュンッ。
今まで着ていた普段着から、MSCにおける初心者向けの装備一式に切り替わった。
「そして、経験値(小)も入手っと」
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:剣士レベル2
HP:E
MP:E
闘気:E
腕力:E+
脚力:E
器用:E
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
腕力が若干向上している。
その他のステータスも微量だが向上しているはずだ。
MSCはあまり詳細なステータスまでは確認できない仕様なのである。
「次はホーンラビットの討伐か……。その前に、『あれ』をやっておくか。ほぼ初期レベルの剣士ではホーンラビットを倒せるか怪しいところだしな」
俺は装備画面を開き、自身の装備をストレージに収納する。
これで、俺は全裸になった。
草原の中で全裸だ。
夢の中とはいえ、癖になりそうだ。
……いやいや、これはゲームを円滑に進める上で必要なことなのだ。
しかし、夢の中とは思えないぐらいのリアリティがあるな?
ジョブやステータスはMSCのものではあるが、草原や風のリアリティさはMSCのものとは比べ物にならない。
俺はそんな疑問を抱きつつも、やるべきことに向けて準備を進めていった。
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