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第1章

304話 空の軍勢-3

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「わーい! 父よ! リリナがやったのじゃあ!!」

「おい、油断するな。まだ終わってないぞ」

「……え?」

 リリナは強いが、まだ10歳にもなっていない。
 精神的に甘いところがある。

『グルオオオォ!! ジキリュウオウノザ、ワレガイタダク!!!』

 多くの飛竜が氷漬けになった中、1体の竜だけが動き続ける。
 他の個体よりも図体がでかい。
 あれがリーダー格なのだろう。
 油断していたリリナに、リーダー格が襲いかかるが――

「リリナ姉、危ない!」

 一人の少年が、リーダー格とリリナの間に割り込んだ。
 俺の息子であり、リリナの双子の弟であるルークだ。

「はぁっ!!」

 彼は、炎を纏った剣を振るう。
 その剣はリーダー格の首を切り落とした。
 あの年でこの剣さばき……。
 さすがは俺の子だ。
 火属性の魔法も剣技も、俺がそこそこ得意としていた分野である。
 ルークは、それを受け継いでいるのかもしれないな。

「リリナ姉は僕が守る! だから安心して!」

「う……うむ……」

 ルークがリリナを抱きしめる。
 リリナは、顔を赤くした。

「あ……ありがとうなのじゃ……」

 リリナは礼を言う。
 その表情は、まさに恋する乙女の表情だった。
 双子なのに、そんな想いを抱くとは……。
 大丈夫なのだろうか?
 いや、俺も弟のガルドを女体化させていろいろやったし、あまり強くは言えないか……。

「ふぅ……」

 俺はため息をつく。
 とりあえず、空の軍勢の脅威は去ったようだ。

「よくやったぞ、ルーク。もちろんリリナもな」

「えへへ……。おとーさんに褒められたの、久しぶりだね」

「そ……そうか? 俺はいつも褒めているつもりなんだが……」

 ルークに言われ、俺は口ごもる。
 あまり褒められていないのだろうか?
 そんなはずはないと思うが……。

「父よ! 今日の晩ごはんは、竜の丸焼きがいいのじゃ!!」

「そうだな。今夜は祝勝会だ」

 俺はリリナとルークに微笑みかける。
 空からの軍勢というちょっとしたハプニングはありつつも、今日も聖竜帝国には平和な時が流れていくのだった。
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