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第1章
198話 使者ロゼリア-1
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「感じる……若様の気配を……」
女が呟く。
彼女は、ブリケード王国の第一王子ライルの親衛隊隊長ロゼリアだ。
いや、正確に言えば元親衛隊隊長である。
1年程前に起きた『第一王子ライルの追放事件』により、彼女は仕えるべき相手を失っていた。
今の彼女は、王族を包括的に警護する『近衛騎士団』に所属する一般隊員だ。
親衛隊隊長まで上り詰めた者が、組織が異なるとはいえ一般隊員に降格する――。
それはひどく屈辱的なことだ。
しかし、彼女にとってはそんな肩書きなどどうでもよいことだった。
「ついに……ついにこの時が……!!」
女は走る。
目的の人物を見つけ出すために。
彼女はライルが幼少の頃より側に居た。
だから彼のことはよく知っているつもりだ。
心優しく、剣技や座学などの勉学も人並み以上にできる秀才でありながら、非常に努力家だった。
彼ならば必ずや歴史に残る偉大な国王になるはずだ。
そう確信していた。
しかし、4年前の『成人の儀式』……そこから全てが狂い出した。
彼本人が言うには、得たスキルはS級スキル『竜化』。
誰も聞いたことのないスキルだった。
本当にS級スキルであれば、次期国王として理想的だ。
だが、彼は一向にそれを使いこなせない。
ついには『ライル王子が得たのは外れスキルで、彼はそれを誤魔化しているのではないか』という声さえ上がる始末となった。
それでもバリオス王は辛抱強くスキルの覚醒を待った。
しかし、『成人の儀式』から3年後――今から1年程前に、王はとうとう『第一王子ライルの追放』を決定した。
その時、ちょうどロゼリアは別命により王都を離れていた。
いや、彼女がライルと共に抵抗しないよう、敢えて遠ざけられたというべきか。
女が呟く。
彼女は、ブリケード王国の第一王子ライルの親衛隊隊長ロゼリアだ。
いや、正確に言えば元親衛隊隊長である。
1年程前に起きた『第一王子ライルの追放事件』により、彼女は仕えるべき相手を失っていた。
今の彼女は、王族を包括的に警護する『近衛騎士団』に所属する一般隊員だ。
親衛隊隊長まで上り詰めた者が、組織が異なるとはいえ一般隊員に降格する――。
それはひどく屈辱的なことだ。
しかし、彼女にとってはそんな肩書きなどどうでもよいことだった。
「ついに……ついにこの時が……!!」
女は走る。
目的の人物を見つけ出すために。
彼女はライルが幼少の頃より側に居た。
だから彼のことはよく知っているつもりだ。
心優しく、剣技や座学などの勉学も人並み以上にできる秀才でありながら、非常に努力家だった。
彼ならば必ずや歴史に残る偉大な国王になるはずだ。
そう確信していた。
しかし、4年前の『成人の儀式』……そこから全てが狂い出した。
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誰も聞いたことのないスキルだった。
本当にS級スキルであれば、次期国王として理想的だ。
だが、彼は一向にそれを使いこなせない。
ついには『ライル王子が得たのは外れスキルで、彼はそれを誤魔化しているのではないか』という声さえ上がる始末となった。
それでもバリオス王は辛抱強くスキルの覚醒を待った。
しかし、『成人の儀式』から3年後――今から1年程前に、王はとうとう『第一王子ライルの追放』を決定した。
その時、ちょうどロゼリアは別命により王都を離れていた。
いや、彼女がライルと共に抵抗しないよう、敢えて遠ざけられたというべきか。
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