上 下
68 / 307
第1章

68話 ストレアに帰還

しおりを挟む
 ストレアの街に帰ってきた。
 さっそく冒険者ギルドに向かう。

「よお。帰ったぜ」

「ライルさん!」

 受付嬢が笑顔で迎えた。

「ご無事でしたか! それで、盗賊団の方はどうなりました!?」

「問題なく壊滅させた。一部はその場で殺し、一部は近郊の村に奴隷として引き渡している。問題ないな?」

 俺が生まれたブリケード王国では、そのような対応で問題なかった。
 しかしここは別の国だ。
 なので念のために確認しておく。

「はい。大丈夫です。ライルさんのことですから、きっと上手くやってくださると信じておりました!」

「そりゃよかった」

「しかし、欲を言えば頭領クラスの首は欲しかったですが……。いえ、そちらのアイシャさんの証言だけでも十分ですが……」

「ええ。ライル様が盗賊団を殲滅されたことは、このアイシャが証言します」

 アイシャがキリッとした表情でそう言う。
 忘れがちだが、彼女の戦闘能力は人の中ではそれなりだ。
 この冒険者ギルドでもギルドマスターの秘書としてバリバリ働いており、護衛や警戒要員として冒険者に混じって戦うこともあると言っていた。

「そうですか。それは何よりでした」

「もちろん頭領たちの首もいくつか持ってきているぞ。後で見せよう」

「助かります。……ところで先ほどから気になっていたのですが、そちらで四つん這いになられている女性は誰でしょうか?」

 アイシャの隣にいる女性を指差してそう言った。

「ああ。こいつはキーネ。俺のペットさ」

 調教の一環として、キーネには四つん這いで過ごさせている。
 村では全裸に剥いていたが、この街ではさすがに服を着せている。
 それに俺の竜の加護により身体能力や頑丈さは増しているので、四つん這いでも移動に大きな問題はない。
 まあ、精神的な屈辱感は別だろうが。

「ペット……ですか?」

「ああ。ほら鳴け、キーネ」

「ぶひぃ……」

 俺はキーネの尻を思いっきり叩く。
 するとキーネは悲痛な声を上げた。

「うわぁ……。これはまたすごいプレイですね……」

「ああ。こいつは調子に乗っていたからな。俺が一時的に引き取って性根を叩き直しているのさ。相方のメスタも、今ごろは村で調教を受けているだろう」

「な、なるほど。……キーネにメスタ? どこかで聞いたことがあるような気がしますけど、気のせいでしょうかね?」

 受付嬢が首を傾げる。
 彼女たちはこの街で盗賊団の討伐依頼を受けたと言っていた。
 当然、受付嬢や街の人々ともある程度の面識はあるはずだ。

 だが、冒険者は流浪の民であることが多いため、あまり記憶に留められていないらしい。
 覚えている者がいるとすれば、深く関わった者だろう。
 俺がそんなことを考えているとき……。

「おおっ! キーネじゃねえか! 無事だったんだな!」

「心配したんだよ~」

「でも、四つん這いで何をしているの?」

「再会を祝って、酒でも飲みに行こうぜ!」

 冒険者たちが集まってきた。
 男女2人ずつの4人パーティか。
 どうやらキーネを知っているようだ。
 一波乱あるかもしれないな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】冒険者PTを追放されたポーターの僕、チートスキルに目覚めて世界最強に。美少女たちにもモテまくりで、別の意味でツッコミが追いつかない

岡崎 剛柔
ファンタジー
「カンサイ、君は今日限りでポーターをクビだ。さっさと出て行ってくれ」  ポーターとして日々の仕事を頑張っていたカンサイは、自身が所属していた冒険者パーティーのリーダーから給料日前にそう宣告された。  しかもリーダーのクビの理由はあまりにも身勝手で理不尽だったことに加えて、働きぶりが無能だから給料を支払わないとも告げてきたのだ。  もちろん納得がいかなかったカンサイは、リーダーに掴みかかりながら抗議して給料の支払いを求めた。  しかし、リーダーは給料の支払いどころか「無能が俺に触れるな」と平手打ちをしてきた。  パンッ!  その瞬間、カンサイは世界最強かつ空前絶後の超絶スキル――【ツッコミ】スキルに目覚める。  そして心身ともに生まれ変わったカンサイは、この【ツッコミ】スキルを使ってリーダーとその仲間を瞬殺ざまぁした(ざまぁしたのは男だけで女魔法使いは仲間にした)。  やがてカンサイはロリっ子神様(?)と出会うことで、自分の真の正体がわかるどころか【ツッコミ】スキルが【神のツッコミ】スキルへと変化する。  その後、カンサイは女魔法使い、ロリっ子神様(?)、第三王女たちと独自のハーレムを築いたり、魔人を倒して国王に力を認められて領地をもらったり、少し変な少女に振り回されたりしながらも何やかんやと〝ツッコミ〟をしながら成り上がっていく。  平手打ちから始まったポーターのツッコミ無双ファンタジー、ここに大開幕!!

ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。 さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。 魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺の武器が最弱のブーメランだった件〜でも、レベルを上げたら強すぎた。なんか伝説作ってます!?〜

神伊 咲児
ファンタジー
守護武器とは、自分の中にあるエネルギーを司祭に具現化してもらって武器にするというもの。 世界は皆、自分だけの守護武器を持っていた。 剣聖に憧れた主人公マワル・ヤイバーン。 しかし、守護武器の認定式で具現化した武器は小さなブーメランだった。 ブーメランは最弱武器。 みんなに笑われたマワルはブーメランで最強になることを決意する。 冒険者になったマワルは初日から快進撃が続く。 そんな評判をよく思わないのが2人の冒険者。立派な剣の守護武器の持ち主ケンゼランドと槍を守護武器とするヤーリーだった。 2人はマワルを陥れる為に色々と工作するが、その行動はことごとく失敗。その度に苦水を飲まされるのであった。 マワルはドンドン強くなり! いい仲間に巡り会える! 一方、ケンゼランドとヤーリーにはざまぁ展開が待ち受ける! 攻撃方法もざまぁ展開もブーメラン。 痛快ブーメラン無双冒険譚!! 他サイトにも掲載していた物をアルファポリス用に改稿いたしました。 全37話、10万字程度。

俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。 異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。 途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。 しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。 その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】 僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。 そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。 でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。 死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。 そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。

処理中です...