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初めての婚約者との夕食

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 庭を案内した後夕食の時間まで別れた

 少し思い悩んでいるように見えた為1人にしていた方が良いと思ったのである


(そう簡単に心を開いてくれるとは思ってなかったけど…思ったより私の事ちゃんと婚約者として扱ってくれてるみたいだし案外家族になるのも時間かからないかも)

「イヴァ様嬉しそうですね!」
「ええそうね私に彼のような素敵な婚約者ができるなんて思ってなかったから

 その…経緯はどうあれ、ね」
「そ、そうですね」
 こんな経緯で婚約なんてそうそういない…いや創作の中ならいくらでもありそうだ

 夕食の時間の為に改めて身支度する
「折角ですから赤い髪飾りにしましょうか?」「えっ…今回はやめておくわ流石にあからさま過ぎるでしょ」

 婚約者の目の色のものを身に着ける事は割とよくある事だ
 ただ私と彼の場合は特殊だからそう簡単に身に着けていいのか分からない


「ヒューゴ様は間違いなくイヴァ様に好意的ですよ!絶対喜んでもらえますって!」「そっそもそも今回はただ夕食を共にするだけなんだから!そういうのは社交界とかパーティーとかで…」


赤い髪飾りを着けようとするミラを何とか丸め込み食堂へ向かう



「あっ申し訳ありませんお待たせしまして」「いや俺はお2人に呼ばれて早く来ただけだ」食堂に入ると両親とヒューゴ様がもう席に着いていた

「呼ばれて…」「どうしても彼と話してみたくってな」「思っていたよりずっと良い人で安心したわ」
両親は優しげに笑い合っている
ヒューゴ様も穏やかな表情をしていた
どうやら別に何か嫌な事を聞いた訳ではなさそうである

(まぁお父様とお母様だからそんな事言うとは思わないけど…仲良くやれそうで本当に良かった)


席に着き夕食が始まった
ヒューゴ様が1口食べた瞬間
「っ…美味い」そう言って目を輝かせる
「野菜はほとんど我が領地で取れた新鮮な物なんですよ…お口に合ったようで良かったです」
幼い子供のような反応に微笑ましくなった

初めての婚約者との夕食は思った以上に和やかに進み最後のデザートが出てくる


「ブルーベリーのケーキです」
「この領地の特産品の?」
「ええ!そうです!」

このブルーベリーは我が領地の特産品である品種だ

ヒューゴ様は何故か身構えながらケーキを1口食べる

「…あぁ!そうだこの味だ美味い」

感極まったような声を出した

「ヒューゴ様そんなにブルーベリーがお好きだったんですね」
「そこまで美味しそうに食べてもらえるとコック達も喜ぶわ」
私とお母様がそう言ったらお父様が少し考え込み言う

「ヒューゴ様、もしや家のブルーベリーに特別な思い入れでも?」


「…亡くなった母が用意してくれたスイーツがいつもこの品種のブルーベリーを使っていて」
「まぁ…そうだったのですか」
ヒューゴ様のお母様が亡くなられているのは知っていたがその思い出が家のブルーベリーだったとは

「母…ソフィア様の事ね」
「っ!?母をご存知なのですか!?」
お母様の言葉にヒューゴ様は驚きの声を上げた


「ええ、よく知っていますわ彼女は有名でしたから」
お母様の表情が曇る

「ソフィア様はとても聡明な方でしたそれと同時に自分が思った事をはっきりとおっしゃる方で」
「母上は強い人でしたから物理的な意味ではない部分が」

亡くなったお母様を思い出しているのか俯くヒューゴ様

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