3 / 26
突然の婚約破棄_ヒューゴ視点_
しおりを挟むパーティーでいきなり叩き付けられた婚約破棄、理由はアシュリン様の友人であるブライス殿への悪質な嫌がらせ
全く身に覚えがない
そもそも俺はブライス殿と個人的に会った事などない上何故そんな事をしなくてはならないのか
彼はこの国でたまに存在する神からの祝福を受けた人間だ
だからこそ王族が保護し祝福を受けた者に与えられる"ベネット"という家名をもらい貴族として扱われている
平民であったが故に貴族の礼儀や勉強に付いていけていない所はあるが努力を重ねている事は俺の耳にも入っていた
慣れない環境に適応しようと努力する彼
尊敬するべき存在である
そんな彼に嫌がらせをするなんて事俺がする訳がないのにアシュリン様は聞いてくれない
(あぁ…またこれか)
俺と彼女は幼い頃から婚約者だったがどうも昔から人の話を聞かず一度思い込んだらもう止まらなくなるのだ
「私とブライスが親しげにしていたから嫉妬したのでしょ!」
「いえ、ですから」
「お黙りなさい!!いくら婚約者でもやっていい事と悪い事があるわ!」
俺の言葉を一刀両断しひたすら罵倒してくる
その隣でオロオロと狼狽えているブライス殿、あぁやはり
(この婚約破棄はアシュリン様の完全な独断か国王陛下と父上になんと言えば)
頭を抱えたい
これが個室で行われているのならまだしもここは王家主催のパーティー会場のど真ん中
彼女の発言を国中の貴族が聞いている状況だった
(どうしようもない…これでは本当に俺が嫌がらせをした事にされるのでは?)
その考えに至り必死に否定したがやはり聞いてくれるはずもなく
「お父様に全て報告させてもらうわ!今日は家に帰って大人しく処罰を待っていなさい!」「あ、あの…」
「アシュリン様!そんな!」
彼女はスタスタと奥へ行ってしまい何か言いたげなブライス殿はそれを追い掛けていく
俺は呆然とするしかなかった
そんな俺に1人の女性が近付いてくる
クレマー辺境伯の1人娘だと名乗った
(じゃあこの令嬢が噂の【守銭奴令嬢】?)
美しい黒髪、少し吊り目な紫眼
凛とした表情、よく似合っている紫色のスレンダーラインドレス
そこにいたのは金にがめつく性根が腐った女という噂とは違い気が強く見えるが誠実そうな令嬢で彼女は俺にさっきの話は事実かと聞いてくる
俺は咄嗟に大声で否定した
そうすると彼女は
「ええそうでしょう、ならば!胸を張って堂々と立ってくださいませ
貴方は公爵家の人間なのでしょう?」
と言ってくれて混乱していた頭を冷やしてくれる
(あぁ何もしていないのだから堂々としていればいいなんてすぐ思い付かないとはな…)
気付かせてくれた彼女に「…ありがとう」と礼を言うと
「いえお礼を言われる程の事はしておりませんこれからが大変でしょう…どうか頑張ってくださいませ私などに言われたくはありませんでしょうが
汚名に負けないでください」
そう言って彼女は離れていった
(私などに言われたくはない…汚名に負けないで…まさか守銭奴令嬢というのは)
彼女の家は商会をやっている
考えてみれば彼女が金を第一に考えるのは当たり前だ
(そうか君も…君のような気高い令嬢に言われては頑張らなくてはな)
どんな事になっても頑張ろうと決めていたのに
俺はそのまま自宅に帰り父上からの呼び出しを待つ
3時間程経ち帰ってきた父上に呼び出され書斎に入った
「ただでさえ臆病者でこの家に相応しくなかったというのに王女との婚約を破棄されるとは…そんな人間がこの家の嫡男のままでいていい訳がないっ!この家は有能なオーウェンに継がせる!
この家の2度とこの家に帰ってくるな!せいぜい守銭奴令嬢に媚びを売るんだな」
身に覚えのない罪で俺が有責となり婚約は正式に破棄されイヴァ・クレマー辺境伯令嬢の元へ婿入りする事となる
(頑張ってくれと汚名に負けないでと言ってくれた君に迷惑をかける事になるとは…心底申し訳ないな)
数日後俺は申し訳なさに押し潰されそうになりながらクレマー辺境伯の元へ向かう馬車に乗る
104
お気に入りに追加
253
あなたにおすすめの小説
心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
【完結】婚約破棄し損ねてしまったので白い結婚を目指します
金峯蓮華
恋愛
5歳の時からの婚約者はひとりの女性の出現で変わってしまった。
その女性、ザラ嬢は学園中の男子生徒を虜にした。そして王太子、その側近も。
私の婚約者は王太子の側近。ザラに夢中だ。
卒園パーティーの時、王太子や側近は婚約者をザラを虐めた罪で断罪し婚約を破棄した。もちろん冤罪。
私はザラに階段から突き落とされ骨折してしまい卒園パーティーには出ていなかった。私だけ婚約破棄されなかった。
しがらみで仕方なく結婚するけど、白い結婚で時が来たら無効にし自由になるわ〜。その日が楽しみ……のはずだったのだけど。
作者独自の異世界のお話です。
緩い設定。ご都合主義です。
私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。
夢風 月
恋愛
カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。
顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。
我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。
そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。
「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」
そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。
「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」
「……好きだからだ」
「……はい?」
いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。
※タグをよくご確認ください※
もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません
片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。
皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。
もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。
川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる