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第3章 転生者/邂逅

第141話

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「生存者がいたのは大っぴらにはなってないけど事実だ。だが、よくカイは四人なんて数字まで覚えていたな」

 「まぁね、だてに仕事をサボって書庫にこもっているわけじゃないよ」

 「ん?」

 「へ? あ……しまったあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 自ら潜伏場所を自白して頭を抱えるカイの叫びに重苦しい空気がわずかではあったが払拭ふっしょくされる。不真面目な仕事への姿勢は誉められたものではなかったが、どこか憎めないカイの姿に苦笑いしながら、ギノの頭の中では今後の段取りが組み上がっていく。

 「ミリウス。今回の事件でオリコルハンが見つかったことと、把握している者以外にゾルガの一族の生き残りがいる可能性が高いことを至急キャンベル城にいるローガン隊長に伝えてもらえないか? カイの妖を伝書鳩代わりに使ったら城が
大騒ぎになりかねないが、お前の能力なら大丈夫だろ」

 「そうだな。それじゃ俺は一度屋敷を出させてもらう。ここで使ったら屋敷が壊れかねんからな」

 部屋を出ていくミリウスをギノは見送る。そこへカリーナが歩み寄った。

 「あの……ギノ様。先ほどミリウス様に伝えていた内容ですが把握している者以外に生き残りがいる可能性があるとはどういうことですの? カイ様がおっしゃったように帝国が把握している四名の生存者がいることがわかっているのでしたらまずはその者たちに話を聞くなり、場合によっては任意同行を求めれば……」

 「そう考えるのも無理はないが、ゾルガの一族にはオリコルハンを加工できる者とそうでない者がいて、生存者は全て後者だ。だが、ここの惨状とカイの解析結果を合わせて考えるとオリコルハンの武器が使われた可能性が高い」

 「十年前に供給がストップしたことでオリコルハン製の武器は見なくなって久しい……。つまり多様なオリコルハン製の武器を霧が持っている可能性が高いということは加工技術を持つ生き残りがいる可能性が高いとお考えになったのですね」

 「そういうことだ。それでカイ、この後はどうする? 今夜は遅いから近くで宿屋を借りて、また明日捜査を続けるか?」

 「宿屋に泊まるのは賛成だけど、俺たちは明日帰ろう。あとの捜査はカリーナ准尉に任せて、何か発見があれば連絡を寄越してもらえばいい。それよりも帰って調べたいことがある」

 ここでやることは終わったとばかりにカイの視線は窓の外に向けられていた。頭の中では城に帰ってからやることのリストアップが始まっている。これまでサボってきたツケを一度に払うかのように忙しくなりそうだった。
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