双華 シンジ

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 どうしてだろう、味がしない。オムレツも、カレーも、豚骨ラーメンも全部。こんなに沢山の食べ物があるのに、せっかく作ったのに。私は焦った、凄く焦った。いろんなものを急いで口にかきこんだ。それでもやはり味はしない。一口がどんどん大きくなっていく、徐々に喉を通らなくなっていく。それでもコップ満杯の水で無理やり流し込んでまた食べる。もう味なんて端から分かっていなかったかのように。手と口をとにかく早く動かしているだけだった。
かきこんで、貪って、喉を詰まらせて、何とか食べ切った。異常に膨れた腹部は、私の枝のような体とはミスマッチだ。いつも通りの苦しさを紛らわすため、深く呼吸をしたその時、突然の吐き気が私を襲った。いつまで経ってもこの感覚には慣れない。私はトイレに駆け込んだ。吐いた、今日も吐いた、やはり吐いた。トイレを流して、洗面台で口を濯いで、そして私は腹を空かせる。もう食べたくなんかないのに、また買い出しに行かなくては。
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