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第7話 貴方達、私を騙しましたね!?
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「・・・・・これは驚いた」
目を見開いて固まっているのは魔女のビオラさん。私を魔王のとこへ連れて行った人だ。
「・・・・・いや~、まさかたったの二日でクリアしてしまうとは」
そしてこの、頭をポリポリと掻いて表情を引きつらせてるのが魔王、レイエスさんだ。
二人は私の頭上にある数字を見て大変驚いていた。私の真上にはハッキリと50の文字が。
「・・・・・何かイケナイ事に手を染めたか?」
「やってませんから!!」
真顔で問い詰めてくるビオラさんに私は間髪入れずに否定した。
ビオラさんは今の私のLvが何かの悪いことによって成り立ってるものと思ってるらしい。
ちょっと、私ってどんだけ信用ないの?
確かにここまでレベルアップするのは大変だった。スライムを何百匹も倒したり、狼の群れに迷い込んで命の危険に晒されたりした。だけどこれもゲームの一種かと思えばちっとも苦なんて感じられなかった。元々ファンタジーRPG系のゲームは良くやってたし、レベルが上がったら身体が凄い軽くなった気がして心地が良いから休むことなく続けて出来たのだ。
・・・ゲーム魂に火が付いたってのもあるけど。
未だに私を疑ってるビオラさんと呆れた様子のレイエスさん。
二人の射るような視線を一気に浴びる私だけどこの際どうでも良い。今はそんな事よりも大事な事があるのだ。
「レイエスさん。約束、覚えてますよね?」
「・・・さて、何だったかな」
この男、この期に及んで惚けるつもりか。
ふふっ、なら仕方ない。
「レイエスさんって見掛けによらずナイスバディのお姉さんが苦手らしいですね。それ、本当ですか?」
“ナイスバディ”を強調して言えばレイエスさんの肩が小さく跳ね上がった。どうやらこの噂は本当らしい。
「・・・それはどこ情報だ?」
レイエスさんの口元は笑ってるが目が据わっている。きっと噂を流した者に対して怒ってるのだろう。私だって町に出向いた時にちらっと聞いただけだから分かる筈がない。だけどレイエスさんにそれを言ったらどうにかして犯人を探すんだろうなぁー…。そしたらその人の命が危ういかもしれない。レイエスさんは世界から恐れられている魔王だ。レイエスさんがその気になれば世界全体を破滅に追い込む事だって容易いのだ。
「さぁ?私も誰がそんな事を言い出したのか分からないんです。・・・でもそんなムキになるなんてこの噂は本当だったんですね。レイエスさんって、見掛けによらずウブで可愛らしいんですね」
「・・・ほぅ。私に喧嘩を売ってると解釈しても構わないかな?」
青筋を立てて微笑んでるレイエスさんに負けじと微笑み返した。約束を守らないのが悪いのだ。決して私は悪くない。
暫し睨み合ってるとレイエスさんは痺れを切らしたのか深い溜息を吐いた。
よっし、勝った!
心の中でガッツポーズをしてるとレイエスさんは先程とは打って変わった穏やかな笑みを浮かべて私を見つめた。
「・・・ほんと、お前さんは物怖じしないな。私が誰だか分かってるのか?」
「?・・・魔王、ですよね?」
魔王以外に何だって言うのだ。質問の意図が分からない私は眉を歪ませて首を傾げた。
そんな私にレイエスさんは驚いてる様子だったけど一体どうしたのか。
ハッ!もしかして魔王の存在を私が忘れてると思ってる?た、確かに私は記憶力があまり良い方ではないけど流石に魔王の顔くらい覚えてるわよ。だって、こんな何人ものの人を地獄のどん底に送ってそうな顔、この人以外にありえないし。
「くっ、ハハッ!お前さんは近い将来大物になるな!」
「はぁ…ありがとうございます?」
さっきの会話に笑えるとこなんてあった?だけど褒めてくれてるっぽいし一応お礼は言っとくか。
「お前さんなら、安心してこの家を明け渡せる。どうかこの家を守ってくれ」
「は、はい・・・」
レイエスさんに握手を求められた私はそれに応える様に軽くレイエスさんの手を握った。すると紫の魔法陣みたいなのが私の手の上に浮き出てきた。
「これでこの家の所有者はお前だ。他の者がお前さんの許可なくこの家に出入りする事は出来ない。無論、お前さんも魔法を解くまでこの家を手放す事は不可能だ」
そう言われると怖いけど勝手に人が入ってこないのは助かるな。私の生活を邪魔されなくて住むし。ここからは危険な事に首を突っ込まずに平和に暮らしていく事にしよう。
「では私達はそろそろ御暇するよ。たまに様子を見に来るから元気でな」
レイエスさんは私の頭を撫でて優しく微笑んだ。
女性慣れしてない癖にこう言うのは慣れてるのか…。
私じゃなかったら確実に惚れてただろうなぁ。
そんな事を呆けながら考えていると今まで黙って私達のやり取りを聞いていたビオラさんの咳払いで一気に現実に戻された気がしてレイエスさんと二人で一斉にビオラさんの方を向いた。
「何二人の世界に入っておる。おい、娘。この者は止めておけ。コイツは見た目は良いが中身は只のヘタレだ」
「え、?・・・い、いやそんなんじゃないですからね!?」
ビオラさんがとてつもない勘違いをしてる様だけど絶対にありえないから!魔王とモブ令嬢の禁断の恋なんて何処の御伽話って感じよ!魔王が相手だったら嫌でも目立ってしまうでしょ!?
新たな人生を歩むために顔見知りの居ないとこに来たのにこれでは意味がなくなってしまう。
だから絶対、絶対
「絶対に有り得ないです!!」
堂々と告げれば二方からそれぞれ違った反応が返ってきた。ビオラさんは隣を見てニタニタと笑ってるしレイエスさんは肩を落としてボソボソと何か呟いていた。
「だ、だいたい!レイエスさんは女性が苦手なんじゃないんですか!?」
「“ナイスバディ”に限るけどな」
ビオラさんの変な言い回しに首を傾げて二人の目線を辿るとそこには私の幼児体型の身体が。
嗚呼、そう。私は“ナイスバディ”じゃないから大丈夫ってわけね。
ふつふつと怒りが込み上げる私を察したのかレイエスさんが眉を八の字に下げて肩を竦めると口を開いた。
「はぁ…。ほんと、誰がその噂を流したんだろうか。市民に隙を見せてない筈だから普通だったら出回る筈ないんだが」
「・・・そんなの知りませんよ。」
少なくとも私の前では隙だらけですけどね。
「嗚呼、それなら我だ」
「「は?」」
ビオラさんのまさかの言葉にレイエスさんと声が被る。
「我が町に出向いた時にお前の弱点を言いふらした犯人だ」
そう言って悪びれもなく微笑むビオラさん。
ちらりとレイエスさんの方を見ればこれ以上ないくらい顔を怒りに染めていた。
「・・・ビオラ殿、今からあの地に行かないか?」
「別に構わないぞ?今からお前の鼻っ柱をへし折れるのが楽しみだ」
そのまま二人は何処かへ行こうとしていた。
喧嘩するなら町も何もない草原でお願いしたい。
絶対に私は止めませんからね!
なんでも暴れて解決しようとする二人に呆れて私の中にあった怒りはいつの間にか消えていた。
そのまま私は家の中に入ろうとしたのだが…。
「ミシェル殿」
突如私を呼ぶ声が聞こえて私はゆっくりと振り返った。
そこには少し真面目な顔付きで私を見つめる二人。
「ミシェル、これからもレベル上げを頑張れ」
「勿論です。私、ハマった様ですので」
言われなくてもするつもりだ。前とは違う。今はレベル上げが楽しくて仕方がない。
「ミシェル殿ならどんな者が来ようと太刀打ち出来るだろう。どうか、この家を頼む」
「・・・意味が分かりませんが負けるのは嫌なので承知しました」
この家は誰かに狙われてるのか?もしかして弱肉強食って奴?
ほんと、嵐の様な人達だったけどここまで来れたのは間違いなく二人のお陰だ。もう会うことないだろうから最後くらい素直になっても良いのかもしれない。
「おふた/もうすぐ魔王を討伐しに来る者が現れる」
「は?」
人のセリフに被せんじゃない!てか今なんて言ったの?
討伐って?
何処に?
此処に…?
「はぁぁぁぁぁ!?」
どう言う事!?なんで此処に現れるの!?此処は今日から私の家であって魔王なんて居ないんですけど!
「そんなの初耳なんですけど!?」
「言ってないからな」
いや、言えよ!何な訳!?私になんの恨みがあるってのよ!
「噂によれば二人組の少女らしい。それが本当なら私は戦い辛くてな。だからって手加減する気は更々ない。だからビオラ殿に代わりになる者を頼んだんだ」
「うむ。最初はこんな娘に魔王の代わりなんて務まるのか不安だったが今のお前を見たら出来そうな気がしたのだ」
「じゃあ、最初から家を渡すつもりだったんですか!?」
嫌そうにしてたのも、ビオラさんとの言い合いも全部演技だと言うのか。
「まさかここまで上手く行くとは思わなかったがな」
その言葉で今まで押し込んでいたものが一気に込み上げて来た。
「良くも私を騙したなーー!!」
私はいつになったらスローライフを送れるのだろうか…。
目を見開いて固まっているのは魔女のビオラさん。私を魔王のとこへ連れて行った人だ。
「・・・・・いや~、まさかたったの二日でクリアしてしまうとは」
そしてこの、頭をポリポリと掻いて表情を引きつらせてるのが魔王、レイエスさんだ。
二人は私の頭上にある数字を見て大変驚いていた。私の真上にはハッキリと50の文字が。
「・・・・・何かイケナイ事に手を染めたか?」
「やってませんから!!」
真顔で問い詰めてくるビオラさんに私は間髪入れずに否定した。
ビオラさんは今の私のLvが何かの悪いことによって成り立ってるものと思ってるらしい。
ちょっと、私ってどんだけ信用ないの?
確かにここまでレベルアップするのは大変だった。スライムを何百匹も倒したり、狼の群れに迷い込んで命の危険に晒されたりした。だけどこれもゲームの一種かと思えばちっとも苦なんて感じられなかった。元々ファンタジーRPG系のゲームは良くやってたし、レベルが上がったら身体が凄い軽くなった気がして心地が良いから休むことなく続けて出来たのだ。
・・・ゲーム魂に火が付いたってのもあるけど。
未だに私を疑ってるビオラさんと呆れた様子のレイエスさん。
二人の射るような視線を一気に浴びる私だけどこの際どうでも良い。今はそんな事よりも大事な事があるのだ。
「レイエスさん。約束、覚えてますよね?」
「・・・さて、何だったかな」
この男、この期に及んで惚けるつもりか。
ふふっ、なら仕方ない。
「レイエスさんって見掛けによらずナイスバディのお姉さんが苦手らしいですね。それ、本当ですか?」
“ナイスバディ”を強調して言えばレイエスさんの肩が小さく跳ね上がった。どうやらこの噂は本当らしい。
「・・・それはどこ情報だ?」
レイエスさんの口元は笑ってるが目が据わっている。きっと噂を流した者に対して怒ってるのだろう。私だって町に出向いた時にちらっと聞いただけだから分かる筈がない。だけどレイエスさんにそれを言ったらどうにかして犯人を探すんだろうなぁー…。そしたらその人の命が危ういかもしれない。レイエスさんは世界から恐れられている魔王だ。レイエスさんがその気になれば世界全体を破滅に追い込む事だって容易いのだ。
「さぁ?私も誰がそんな事を言い出したのか分からないんです。・・・でもそんなムキになるなんてこの噂は本当だったんですね。レイエスさんって、見掛けによらずウブで可愛らしいんですね」
「・・・ほぅ。私に喧嘩を売ってると解釈しても構わないかな?」
青筋を立てて微笑んでるレイエスさんに負けじと微笑み返した。約束を守らないのが悪いのだ。決して私は悪くない。
暫し睨み合ってるとレイエスさんは痺れを切らしたのか深い溜息を吐いた。
よっし、勝った!
心の中でガッツポーズをしてるとレイエスさんは先程とは打って変わった穏やかな笑みを浮かべて私を見つめた。
「・・・ほんと、お前さんは物怖じしないな。私が誰だか分かってるのか?」
「?・・・魔王、ですよね?」
魔王以外に何だって言うのだ。質問の意図が分からない私は眉を歪ませて首を傾げた。
そんな私にレイエスさんは驚いてる様子だったけど一体どうしたのか。
ハッ!もしかして魔王の存在を私が忘れてると思ってる?た、確かに私は記憶力があまり良い方ではないけど流石に魔王の顔くらい覚えてるわよ。だって、こんな何人ものの人を地獄のどん底に送ってそうな顔、この人以外にありえないし。
「くっ、ハハッ!お前さんは近い将来大物になるな!」
「はぁ…ありがとうございます?」
さっきの会話に笑えるとこなんてあった?だけど褒めてくれてるっぽいし一応お礼は言っとくか。
「お前さんなら、安心してこの家を明け渡せる。どうかこの家を守ってくれ」
「は、はい・・・」
レイエスさんに握手を求められた私はそれに応える様に軽くレイエスさんの手を握った。すると紫の魔法陣みたいなのが私の手の上に浮き出てきた。
「これでこの家の所有者はお前だ。他の者がお前さんの許可なくこの家に出入りする事は出来ない。無論、お前さんも魔法を解くまでこの家を手放す事は不可能だ」
そう言われると怖いけど勝手に人が入ってこないのは助かるな。私の生活を邪魔されなくて住むし。ここからは危険な事に首を突っ込まずに平和に暮らしていく事にしよう。
「では私達はそろそろ御暇するよ。たまに様子を見に来るから元気でな」
レイエスさんは私の頭を撫でて優しく微笑んだ。
女性慣れしてない癖にこう言うのは慣れてるのか…。
私じゃなかったら確実に惚れてただろうなぁ。
そんな事を呆けながら考えていると今まで黙って私達のやり取りを聞いていたビオラさんの咳払いで一気に現実に戻された気がしてレイエスさんと二人で一斉にビオラさんの方を向いた。
「何二人の世界に入っておる。おい、娘。この者は止めておけ。コイツは見た目は良いが中身は只のヘタレだ」
「え、?・・・い、いやそんなんじゃないですからね!?」
ビオラさんがとてつもない勘違いをしてる様だけど絶対にありえないから!魔王とモブ令嬢の禁断の恋なんて何処の御伽話って感じよ!魔王が相手だったら嫌でも目立ってしまうでしょ!?
新たな人生を歩むために顔見知りの居ないとこに来たのにこれでは意味がなくなってしまう。
だから絶対、絶対
「絶対に有り得ないです!!」
堂々と告げれば二方からそれぞれ違った反応が返ってきた。ビオラさんは隣を見てニタニタと笑ってるしレイエスさんは肩を落としてボソボソと何か呟いていた。
「だ、だいたい!レイエスさんは女性が苦手なんじゃないんですか!?」
「“ナイスバディ”に限るけどな」
ビオラさんの変な言い回しに首を傾げて二人の目線を辿るとそこには私の幼児体型の身体が。
嗚呼、そう。私は“ナイスバディ”じゃないから大丈夫ってわけね。
ふつふつと怒りが込み上げる私を察したのかレイエスさんが眉を八の字に下げて肩を竦めると口を開いた。
「はぁ…。ほんと、誰がその噂を流したんだろうか。市民に隙を見せてない筈だから普通だったら出回る筈ないんだが」
「・・・そんなの知りませんよ。」
少なくとも私の前では隙だらけですけどね。
「嗚呼、それなら我だ」
「「は?」」
ビオラさんのまさかの言葉にレイエスさんと声が被る。
「我が町に出向いた時にお前の弱点を言いふらした犯人だ」
そう言って悪びれもなく微笑むビオラさん。
ちらりとレイエスさんの方を見ればこれ以上ないくらい顔を怒りに染めていた。
「・・・ビオラ殿、今からあの地に行かないか?」
「別に構わないぞ?今からお前の鼻っ柱をへし折れるのが楽しみだ」
そのまま二人は何処かへ行こうとしていた。
喧嘩するなら町も何もない草原でお願いしたい。
絶対に私は止めませんからね!
なんでも暴れて解決しようとする二人に呆れて私の中にあった怒りはいつの間にか消えていた。
そのまま私は家の中に入ろうとしたのだが…。
「ミシェル殿」
突如私を呼ぶ声が聞こえて私はゆっくりと振り返った。
そこには少し真面目な顔付きで私を見つめる二人。
「ミシェル、これからもレベル上げを頑張れ」
「勿論です。私、ハマった様ですので」
言われなくてもするつもりだ。前とは違う。今はレベル上げが楽しくて仕方がない。
「ミシェル殿ならどんな者が来ようと太刀打ち出来るだろう。どうか、この家を頼む」
「・・・意味が分かりませんが負けるのは嫌なので承知しました」
この家は誰かに狙われてるのか?もしかして弱肉強食って奴?
ほんと、嵐の様な人達だったけどここまで来れたのは間違いなく二人のお陰だ。もう会うことないだろうから最後くらい素直になっても良いのかもしれない。
「おふた/もうすぐ魔王を討伐しに来る者が現れる」
「は?」
人のセリフに被せんじゃない!てか今なんて言ったの?
討伐って?
何処に?
此処に…?
「はぁぁぁぁぁ!?」
どう言う事!?なんで此処に現れるの!?此処は今日から私の家であって魔王なんて居ないんですけど!
「そんなの初耳なんですけど!?」
「言ってないからな」
いや、言えよ!何な訳!?私になんの恨みがあるってのよ!
「噂によれば二人組の少女らしい。それが本当なら私は戦い辛くてな。だからって手加減する気は更々ない。だからビオラ殿に代わりになる者を頼んだんだ」
「うむ。最初はこんな娘に魔王の代わりなんて務まるのか不安だったが今のお前を見たら出来そうな気がしたのだ」
「じゃあ、最初から家を渡すつもりだったんですか!?」
嫌そうにしてたのも、ビオラさんとの言い合いも全部演技だと言うのか。
「まさかここまで上手く行くとは思わなかったがな」
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