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希望通りに進んで……
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「我は諦めが悪い」
耳元で、そう囁かれました。
イタズラっぽく笑うオトフリート殿下を睨んだ私の目に入ったのは、周りの生暖かい目。
やられましたわ!
皆様、さっき殿下が「自分の婚姻は国を背負うのだ」と仰ったのを、もうお忘れ?
愛だ恋だで結婚なさらないのが皇太子殿下ですわ!
ハッとして手を後ろに隠す私を、クックッと殿下が笑います。
「跪かせてはくれぬのだな。これだからそなたとのやり取りは面白い」
このような場面で求婚されれば、断るにも断れませんもの。やっとクプスリスト殿下と婚約破棄できそうですのに。
「まっ、まだクプスリスト殿下の婚約者ですから」
「ふふ、そうだな」
慌てて言うと、軽く同意されました。
お父様の元へエスコートされながら戻ったら……。
お父様? なぜそんな面白そうな顔をしておりますの?
「公爵、なかなか手強い姫だ」
「私の母に似ておりますゆえ」
「王女殿下だった方か。我が道を往く。羨ましいのぅ……」
遠い目をして呟いた殿下が、少しおかわいそうになりました。なにより自由を求めているのは、この方かもしれません。
「ロランダ、ヤアが富むのを我は楽しみにしておる」
少し寂しそうに微笑んだ殿下に、私の心がチクリとしました。
◆◇◆◇◆◇◆◇
卒業パーティーも終わり、クプスリスト殿下との正式な婚約破棄も済みました。
皇帝陛下と皇妃殿下がかなり反対されましたが、私の望みでもあることと、オトフリート殿下の口添えで、なんとか承諾をいただきました。
クプスリスト殿下はクラウディア様が卒業するまでに、皇家の執務全てを覚えるのが条件ですわ。
地味に大変ですわね。同情などしませんけれどね。
明日はヤアに発つ日。
荷物などは大体送りましたから、今日はゆっくりしております。
「お嬢様っ! お客様ですっ」
侍女が慌てて知らせてきました。皇都を離れるので、このところお客様も多いのに、なにを慌てているのかしら?
すぐに準備をして広間を見ると、オトフリート殿下がにこやかに立っておられます。
殿下が先触れもなく?
慌てて降りて淑女の礼をしますわ。
「皇太子殿下、ようこそお越しくださいました」
頭を下げながらも、殿下の御用が解らず、少し声が固くなってしまいました。
「ロランダ、そう畏まるな。ちょっと寄っただけだ。
そなたに渡したいものがあってな」
渡したいもの……?
耳元で、そう囁かれました。
イタズラっぽく笑うオトフリート殿下を睨んだ私の目に入ったのは、周りの生暖かい目。
やられましたわ!
皆様、さっき殿下が「自分の婚姻は国を背負うのだ」と仰ったのを、もうお忘れ?
愛だ恋だで結婚なさらないのが皇太子殿下ですわ!
ハッとして手を後ろに隠す私を、クックッと殿下が笑います。
「跪かせてはくれぬのだな。これだからそなたとのやり取りは面白い」
このような場面で求婚されれば、断るにも断れませんもの。やっとクプスリスト殿下と婚約破棄できそうですのに。
「まっ、まだクプスリスト殿下の婚約者ですから」
「ふふ、そうだな」
慌てて言うと、軽く同意されました。
お父様の元へエスコートされながら戻ったら……。
お父様? なぜそんな面白そうな顔をしておりますの?
「公爵、なかなか手強い姫だ」
「私の母に似ておりますゆえ」
「王女殿下だった方か。我が道を往く。羨ましいのぅ……」
遠い目をして呟いた殿下が、少しおかわいそうになりました。なにより自由を求めているのは、この方かもしれません。
「ロランダ、ヤアが富むのを我は楽しみにしておる」
少し寂しそうに微笑んだ殿下に、私の心がチクリとしました。
◆◇◆◇◆◇◆◇
卒業パーティーも終わり、クプスリスト殿下との正式な婚約破棄も済みました。
皇帝陛下と皇妃殿下がかなり反対されましたが、私の望みでもあることと、オトフリート殿下の口添えで、なんとか承諾をいただきました。
クプスリスト殿下はクラウディア様が卒業するまでに、皇家の執務全てを覚えるのが条件ですわ。
地味に大変ですわね。同情などしませんけれどね。
明日はヤアに発つ日。
荷物などは大体送りましたから、今日はゆっくりしております。
「お嬢様っ! お客様ですっ」
侍女が慌てて知らせてきました。皇都を離れるので、このところお客様も多いのに、なにを慌てているのかしら?
すぐに準備をして広間を見ると、オトフリート殿下がにこやかに立っておられます。
殿下が先触れもなく?
慌てて降りて淑女の礼をしますわ。
「皇太子殿下、ようこそお越しくださいました」
頭を下げながらも、殿下の御用が解らず、少し声が固くなってしまいました。
「ロランダ、そう畏まるな。ちょっと寄っただけだ。
そなたに渡したいものがあってな」
渡したいもの……?
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