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第一部
第八章 藤袴薫る 其の二
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祝い膳が運ばれ、酒が皆に行き渡る。
家康、秀忠、江の三人も上段から降り、家臣と交わりやすい上座に座り直した。
家康は赤子の松姫を膝の上に置いてご機嫌である。
「来年は松が髪置きじゃなー。市もじゃぁ。」
孫姫のぷにゅぷにゅした頬をつつきながら、大御所は娘の話もした。
家康には松姫と同い年の娘がいる。江の母で絶世の美女であったお市の方に似るように、『市』と名付けられていた。
「市はかわいいぞぉ。色白で目がパッチリしておってのう。まこと、お市様のように美しゅうなろう。いや、お市様より美しゅう育つやもしれぬ。」
家康は我が子を誉めに誉め、ワハハと笑う。
(また始まった。)と思ったのは、秀忠だけではない。とにかく近頃の家康の話題は、ともすれば市姫であった。
年老いての子どもはこうもかわいいのだろうか……と、秀忠は思う。
江も白髪頭で我が子の自慢をする家康に、秀吉を思い出す。
そのとき、松姫が手を伸ばし、家康の髭を引っぱろうとした。
「おう、おう、松、すまぬ。そなたもかわいい、かわいい。」
家康が上手に松姫をあやす。
市姫をこのように可愛がっておられるのだろうと、江は微笑ましく想った。
(秀忠様の子ども好きは義父上さま譲りじゃな。)
祖父にあやされ、松姫が「キャッキャ」とあげる愛らしい声に、微笑む江だが、(かく可愛がる姫も政に使うのか……)と、やるせなさも感じていた。
「伊達様へのお輿入れがお決まりとか。」
江がひそやかに言うと、家康は少し淋しそうに笑った。
「そうじゃ。今しばらくは手元に置くがの。」
懸念事項であった伊達への最後の切り札にさせたのが、市姫である。
「かようにお可愛がりであられるのに、お寂しゅうはございませぬか?」
家康の淋しい笑顔に、慈しむような笑顔を向けて江は訊いた。
「それはそれ、これはこれじゃ。市は儂の娘であって儂の娘ではない。徳川の姫、将軍の妹じゃ。……のう、松。」
家康はきっぱりと答え、松姫の顔をのぞき込んだ。江はなにも言えず義父を見る。
(殿方はそうも割り切れるものか。)
江は命を生み出すことを切なく思う。
(秀忠さまも、そう思うておられるのか……?)
江は傍に居る秀忠にそっと目をやった。秀忠は黙々と箸を膳に運び、父に抱かれている松姫をときどき見ていた。
重い空気を察して、利勝が家康の前に進む。
「大御所さま、ささ、御一献。そういえば松鶴君でございましたか、九条の若様も来年髪置きでしたな。」
大きな目を見開き、ニマッとした笑顔で、利勝は江に話をふる。
「おお、そうじゃ。そうじゃ。完殿も母御になられたのであったな。」
「はい。私も婆様にござりまする。」
感慨深げに大きく頷いた家康に、江がほんわりと花のような笑顔を返す。
「なにを申すか、江。そなたはまだまだ若うて美しい。秀忠にはもったいなかったのう……。儂がもろうておけばよかった。」
いかにも残念そうに悔しがる家康に、江がはにかんで微笑んだ。
「父上。」
父の軽口に今まで黙っていた秀忠が、野太い声で家康を睨む。
「わははははは。そうであった、そうであった。江が臥せっている間の、こやつの憔悴はなかった。」
息子の悋気を家康は豪快に笑い飛ばす。大御所のからかいに、周りからもドッと笑い声が起こった。
「父上ッ!」
顔を赤くした秀忠が叫ぶと、家康はさらに「ワハハハ」と声を上げた。周りの賑やかさに松姫が膝の上でキョトンとする。
「驚くではないか、のう、松。 利勝、このような奴じゃが、しっかり助けてやってくれ。そちが頼みじゃ。」
「はっ。心得ましてございます。」
大御所は、頼りになる老中に息子を託した。
その様子を横目で見ながら秀忠はグッと酒をあおり、憮然として江に盃を差し出す。
「そなたも呑め。」
「うっ、わはははは。やはり、江がよいか。」
家康は体を揺すって笑い、上機嫌で仲睦まじい息子夫婦をからかう。大笑いと共に膝が大きく揺れ、松姫が驚いて泣き出した。
「おお、松、すまぬすまぬ。」
家康は幼い姫を抱き上げて頬ずりすると、控えていた乳母に預けた。
秀忠は、これ以上家康にからかわれまいと、家臣の中へ入っていった。
江が、自分も皆の中に入っていこうかと思案していると、舅が盃を置いて向き直ってきた。
「子に恵まれ、しかも、みな健やかじゃ。江、そなたの手柄じゃ。礼を申すぞ。」
家康は真顔で、頭を下げんばかりである。江が慌てた。
「そのような……」
「いや、まことじゃ。このように子宝に恵まれるのは、そなたの命の力が強いからであろう。信長公のお血筋じゃろうて。」
「秀忠さまとて、義父上さまの命の力を継いでおられまする。」
「そうか。二人とも命の力が強いか。」
松姫の泣き声が、賑やかな家臣の声の中に、なおも聞こえる。家康が「ふふふ」と満足げに笑った。
「血気がよいの。松には同い年の叔母と甥御がおるのじゃな。」
「はい。」
「人の和に恵まれた子じゃ。」
家康は福々しい笑顔で断言する。
「さようでしょうか。」
珍しい縁を持つ子かもしれぬが、そうだろうかと江は首を傾げる。
「ああ、きっとそうなろう。」
「ならば、よいのですが。」
舅の力強い予言に、江は心底嬉しいと思った。
(豊臣も結ぶ子になってくれるだろうか。)
松姫の泣き声が、やっと少し小さくなっていった。
「江、儂は市がかわゆうてならぬ。しかしの、市がお市様のように美しゅう育つのを見るは叶わぬであろう。」
再び盃を取り、家康はほんの少し酒を口にした。
「義父上さまらしゅうございませぬ。そのように気弱なこと。」
江は凛として、家康を優しく叱咤する。
「いや、儂も老いた。……儂に何かあった折には、市を松の姉じゃと思うて気にかけてくれぬか。」
弱々しげな家康の願いだったが、舅の本音が江には嬉しかった。
「もちろんでございまする。秀忠様の妹御は、私の妹でもございますれば。」
「さようか。これで安心して伊達へ嫁にやれる。」
にこやかに頷く江に、家康も安堵の笑顔を返した。
「しかし、まだまだ先のお話にしてくださりませ。」
優しい笑顔で願う江に、少し泣きそうな顔の家康が「うんうん」と頷く。
「千もかわいいと思うたがの、市はもっとかわいいぞ。……儂はな、千に市と名付けたかったのじゃ。初めての姫であるしの。」
家康がふっと笑った。
「……まこと、お市さまはお美しかった。…のう…。儂の憧れであった。その娘のそなたを我が娘と呼べるのが、いかに嬉しいか。」
家康は、青年のように頬を上気させる。
(姉上も母上の娘じゃ。)
江は、家康に豊臣のことを尋ねるよい機会だと思った。
「義父上さま、千のことにござりまするが……」
江が切り出した途端、家康が近くの家臣の中の大姥局を見つけて声をかけた。
「おお、大姥、息災か?」
「はい。大御所さまもお変わりのう。」
大姥局はすぐに家康の前に進み出て、礼儀正しく頭を下げた。
「帯解き親、ごくろうであった。」
「なんの。上様の思し召しにございますれば、ありがたき幸せにございまする。」
ホホホホホと気持ちよさそうに大姥局は笑う。
家康との話が途切れたのに江は少し不満を覚えたが、江も御台所らしく礼を述べた。
「私からも礼を申します。大姥のように長生きしてくれるとよいのじゃが。」
「ふふ、その前に御台様が長生きなさいませ。上様を御せるのは、御台様だけにございますゆえ。」
にんまりとした大姥局に、家康がまた大笑いした。
「うわははははっ。まことじゃのう。」
「義父上さまっ!」
今度は江が家康を小さな声で叱る。
「おぉ、おぉ、叱られてしもうた。……大姥、久方ぶりに、そなたの入れる茶を飲みたいのぅ。」
家康がヒョイと肩をすくめて、大姥局に助けを求めた。
「ホホ、いつでも、ごちそういたしまする。」
「そうか。では馳走になりにまいろうかの。江、ではな。」
家康は大姥局を促して立ち上がり、出て行った。
江は、家康にうまくはぐらかされた気がして、顔をしかめた。
*****
【松鶴君】後の二条康道。父は九条忠栄(幸家)。母は完。完は、江と前夫豊臣秀勝の娘のため、松鶴君は江の孫に当たる。
家康、秀忠、江の三人も上段から降り、家臣と交わりやすい上座に座り直した。
家康は赤子の松姫を膝の上に置いてご機嫌である。
「来年は松が髪置きじゃなー。市もじゃぁ。」
孫姫のぷにゅぷにゅした頬をつつきながら、大御所は娘の話もした。
家康には松姫と同い年の娘がいる。江の母で絶世の美女であったお市の方に似るように、『市』と名付けられていた。
「市はかわいいぞぉ。色白で目がパッチリしておってのう。まこと、お市様のように美しゅうなろう。いや、お市様より美しゅう育つやもしれぬ。」
家康は我が子を誉めに誉め、ワハハと笑う。
(また始まった。)と思ったのは、秀忠だけではない。とにかく近頃の家康の話題は、ともすれば市姫であった。
年老いての子どもはこうもかわいいのだろうか……と、秀忠は思う。
江も白髪頭で我が子の自慢をする家康に、秀吉を思い出す。
そのとき、松姫が手を伸ばし、家康の髭を引っぱろうとした。
「おう、おう、松、すまぬ。そなたもかわいい、かわいい。」
家康が上手に松姫をあやす。
市姫をこのように可愛がっておられるのだろうと、江は微笑ましく想った。
(秀忠様の子ども好きは義父上さま譲りじゃな。)
祖父にあやされ、松姫が「キャッキャ」とあげる愛らしい声に、微笑む江だが、(かく可愛がる姫も政に使うのか……)と、やるせなさも感じていた。
「伊達様へのお輿入れがお決まりとか。」
江がひそやかに言うと、家康は少し淋しそうに笑った。
「そうじゃ。今しばらくは手元に置くがの。」
懸念事項であった伊達への最後の切り札にさせたのが、市姫である。
「かようにお可愛がりであられるのに、お寂しゅうはございませぬか?」
家康の淋しい笑顔に、慈しむような笑顔を向けて江は訊いた。
「それはそれ、これはこれじゃ。市は儂の娘であって儂の娘ではない。徳川の姫、将軍の妹じゃ。……のう、松。」
家康はきっぱりと答え、松姫の顔をのぞき込んだ。江はなにも言えず義父を見る。
(殿方はそうも割り切れるものか。)
江は命を生み出すことを切なく思う。
(秀忠さまも、そう思うておられるのか……?)
江は傍に居る秀忠にそっと目をやった。秀忠は黙々と箸を膳に運び、父に抱かれている松姫をときどき見ていた。
重い空気を察して、利勝が家康の前に進む。
「大御所さま、ささ、御一献。そういえば松鶴君でございましたか、九条の若様も来年髪置きでしたな。」
大きな目を見開き、ニマッとした笑顔で、利勝は江に話をふる。
「おお、そうじゃ。そうじゃ。完殿も母御になられたのであったな。」
「はい。私も婆様にござりまする。」
感慨深げに大きく頷いた家康に、江がほんわりと花のような笑顔を返す。
「なにを申すか、江。そなたはまだまだ若うて美しい。秀忠にはもったいなかったのう……。儂がもろうておけばよかった。」
いかにも残念そうに悔しがる家康に、江がはにかんで微笑んだ。
「父上。」
父の軽口に今まで黙っていた秀忠が、野太い声で家康を睨む。
「わははははは。そうであった、そうであった。江が臥せっている間の、こやつの憔悴はなかった。」
息子の悋気を家康は豪快に笑い飛ばす。大御所のからかいに、周りからもドッと笑い声が起こった。
「父上ッ!」
顔を赤くした秀忠が叫ぶと、家康はさらに「ワハハハ」と声を上げた。周りの賑やかさに松姫が膝の上でキョトンとする。
「驚くではないか、のう、松。 利勝、このような奴じゃが、しっかり助けてやってくれ。そちが頼みじゃ。」
「はっ。心得ましてございます。」
大御所は、頼りになる老中に息子を託した。
その様子を横目で見ながら秀忠はグッと酒をあおり、憮然として江に盃を差し出す。
「そなたも呑め。」
「うっ、わはははは。やはり、江がよいか。」
家康は体を揺すって笑い、上機嫌で仲睦まじい息子夫婦をからかう。大笑いと共に膝が大きく揺れ、松姫が驚いて泣き出した。
「おお、松、すまぬすまぬ。」
家康は幼い姫を抱き上げて頬ずりすると、控えていた乳母に預けた。
秀忠は、これ以上家康にからかわれまいと、家臣の中へ入っていった。
江が、自分も皆の中に入っていこうかと思案していると、舅が盃を置いて向き直ってきた。
「子に恵まれ、しかも、みな健やかじゃ。江、そなたの手柄じゃ。礼を申すぞ。」
家康は真顔で、頭を下げんばかりである。江が慌てた。
「そのような……」
「いや、まことじゃ。このように子宝に恵まれるのは、そなたの命の力が強いからであろう。信長公のお血筋じゃろうて。」
「秀忠さまとて、義父上さまの命の力を継いでおられまする。」
「そうか。二人とも命の力が強いか。」
松姫の泣き声が、賑やかな家臣の声の中に、なおも聞こえる。家康が「ふふふ」と満足げに笑った。
「血気がよいの。松には同い年の叔母と甥御がおるのじゃな。」
「はい。」
「人の和に恵まれた子じゃ。」
家康は福々しい笑顔で断言する。
「さようでしょうか。」
珍しい縁を持つ子かもしれぬが、そうだろうかと江は首を傾げる。
「ああ、きっとそうなろう。」
「ならば、よいのですが。」
舅の力強い予言に、江は心底嬉しいと思った。
(豊臣も結ぶ子になってくれるだろうか。)
松姫の泣き声が、やっと少し小さくなっていった。
「江、儂は市がかわゆうてならぬ。しかしの、市がお市様のように美しゅう育つのを見るは叶わぬであろう。」
再び盃を取り、家康はほんの少し酒を口にした。
「義父上さまらしゅうございませぬ。そのように気弱なこと。」
江は凛として、家康を優しく叱咤する。
「いや、儂も老いた。……儂に何かあった折には、市を松の姉じゃと思うて気にかけてくれぬか。」
弱々しげな家康の願いだったが、舅の本音が江には嬉しかった。
「もちろんでございまする。秀忠様の妹御は、私の妹でもございますれば。」
「さようか。これで安心して伊達へ嫁にやれる。」
にこやかに頷く江に、家康も安堵の笑顔を返した。
「しかし、まだまだ先のお話にしてくださりませ。」
優しい笑顔で願う江に、少し泣きそうな顔の家康が「うんうん」と頷く。
「千もかわいいと思うたがの、市はもっとかわいいぞ。……儂はな、千に市と名付けたかったのじゃ。初めての姫であるしの。」
家康がふっと笑った。
「……まこと、お市さまはお美しかった。…のう…。儂の憧れであった。その娘のそなたを我が娘と呼べるのが、いかに嬉しいか。」
家康は、青年のように頬を上気させる。
(姉上も母上の娘じゃ。)
江は、家康に豊臣のことを尋ねるよい機会だと思った。
「義父上さま、千のことにござりまするが……」
江が切り出した途端、家康が近くの家臣の中の大姥局を見つけて声をかけた。
「おお、大姥、息災か?」
「はい。大御所さまもお変わりのう。」
大姥局はすぐに家康の前に進み出て、礼儀正しく頭を下げた。
「帯解き親、ごくろうであった。」
「なんの。上様の思し召しにございますれば、ありがたき幸せにございまする。」
ホホホホホと気持ちよさそうに大姥局は笑う。
家康との話が途切れたのに江は少し不満を覚えたが、江も御台所らしく礼を述べた。
「私からも礼を申します。大姥のように長生きしてくれるとよいのじゃが。」
「ふふ、その前に御台様が長生きなさいませ。上様を御せるのは、御台様だけにございますゆえ。」
にんまりとした大姥局に、家康がまた大笑いした。
「うわははははっ。まことじゃのう。」
「義父上さまっ!」
今度は江が家康を小さな声で叱る。
「おぉ、おぉ、叱られてしもうた。……大姥、久方ぶりに、そなたの入れる茶を飲みたいのぅ。」
家康がヒョイと肩をすくめて、大姥局に助けを求めた。
「ホホ、いつでも、ごちそういたしまする。」
「そうか。では馳走になりにまいろうかの。江、ではな。」
家康は大姥局を促して立ち上がり、出て行った。
江は、家康にうまくはぐらかされた気がして、顔をしかめた。
*****
【松鶴君】後の二条康道。父は九条忠栄(幸家)。母は完。完は、江と前夫豊臣秀勝の娘のため、松鶴君は江の孫に当たる。
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