お嬢様は一般男子なんかに恋をしない！

第零章：始まるは春、終わるは学園生活

反省文：桔梗の場合

　やってしまいましたわー！
　ワタクシ、運命の出逢いを果たしましたの。
　特別、顔が整っているわけではありません。しかし彼を見たとき、ワタクシは思ってしまいました。
　ああ、この人だ……と。
　きゃー！　照れますわー！
　彼と目があったとき、胸の中に何かがストンと落ちましたの。
　それが何なのかは未だにわかりません。しかし何かが落ちると同時に、彼に恋をしたことはわかりました。
　もしかしたら、恋が落ちたのかもしませんわ。
　きゃーですわー！　照れますわー！
　言うなれば、完全な一目惚れです。
　しかしワタクシ、殿方に……誰かに恋をすることは初めてですの。
　しかも彼がワタクシのことを情熱的に見つめてくるものですから、ワタクシは何を話せばいいのかわからなくなってしまいましたの。
　でも仕方ないですわ。だって初恋ですもの。
　それで酷いことを言ってしまいました。彼を怒らせてしまいました。しかも怒って殴りかかってきた彼をボコボコにしてしまいました。
　ボッコボコのボコですわー！
　ああ、どうしましょう。お転婆な女の子と思われてしまったかもしませんわ。
　ああ、そう言えばこれは反省文でしたわね。
　ついつい、自分の思いを書いてしまいましたわ。
　私は最愛の彼の家族を侮辱するという大罪を犯しました。
　謝罪の言葉は壊れた蛇口から出る水のように、溢れ出てきます。
　そのため、謝罪の言葉を書くにはこの余白は狭すぎます。
　だから一言だけ。
　誠に申し訳ございませんでした。
　しかしこれだけは足りないことなどわかっております。
　だから残りの言葉は直接、最愛の貴方に伝えることにします。
　ありったけの愛と共に……ね？
　待っていてください！　最愛の貴方ですわー！