愛をあなたへ

ゆきまる。

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「兄様!ッ…ノエル、」

洞窟から出てきた俺と抱えられたノエルを見た兄弟たちは一瞬にして固まってしまっていた。

「…ウィルとアクアは先に城へ戻り中和の準備を」

二人の弟を見やるとハッとした表情を浮かべ、ただ、小さく頷く。

やはり何があったかはすでに察していたようだ。

「ロウはマナの影響を受けない薬の調合を」

「任せてくれ」

それから、と言葉を続け、今にもこの周辺を燃やし尽くしてしまいそうな勢いの弟に目線を向ける。

「フレア、ここら一帯を燃やせ」

「えっ?」

それに戸惑った声を上げたのはラッシュだった。

そしてフレアも続けて「いいのか?」と聞いてくる。

「ここは…」

「構わん。それから、ひと月は炎を絶やすな」

「あぁ、いいってんなら…任せろ」



(次は…)

一度、ノエルを抱いた腕に力を込めてそのままラッシュにノエルを託す。

「ネス…」

「ラッシュ、お前は俺が暴走しないように抑えてくれ」

「……うん、わかったよ」

では、と声を上げると先に城へ戻るよう指示したウィルとアクアは瞬く間に城の方向へと飛び去り、ロウもそれに続き飛び去って行った。





「あぁ、くそ!!忌々しい人間どもが!」

俺が飛び立つと同時に、湧き上がる憎悪の気持ちを隠しもしないフレアがブレスを吐き出すと、器用にもぐるりと、山賊が根城としていた区画を取り囲むように炎が燃え盛る。

その炎を横目に見ながら己の傲慢さを恥じ、ただ、城への帰路を急ぐしかできなかった。


(すまない…ノエル…)



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