愛をあなたへ

ゆきまる。

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最悪な日※

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「あ、ノエル起きた?」

頭上から聞こえた声に応えるように視線を上に向ける。

どうやら俺はラッシュの膝を枕にしていたらしい。

それにしてもまたもや理解に苦しむ状況になってしまった。

「ノエル、まだ体は熱い?」

あぁそうだ、披露宴の途中で体が熱くなって急に眠くなって…。

「うん…まだ、熱い」

そう言えばラッシュは俺の額に手を当て「本当だね」と微笑み、頬をふわりと撫でた。

「ノエル、これから婚儀の続きをするんだけど…大丈夫?」

「つづき……?なに…?」

先ほど神殿で行った儀式はまだ途中だったのか…。

でも続きって…一体何をするのだろう?

「お前と繋がり、本当の伴侶となる為に必要な儀式だ」

今度は足元から聞こえたネスの声に視線を移す。

「つながる…?」

また意味のわからない事を言い出しているなぁなんて思っていると再びラッシュが声を掛けてくる。

「ほら、ノエル見て。君の髪先、少し黒に染まっているでしょ?」

そう言ってラッシュの手に乗せられた一度も切った事が無く膝下まで伸びた白銀の髪の先を見ると確かに黒くなっていた。

「なんで…?」

「俺たちの血を混ぜたワインがあっただろう、それで俺たちの力を取り込んだからだ」

「へぇ…」

「あれ?ノエル驚かないの?」

驚くも何も、理解が出来ないから関係ない。

それよりも儀式の続きの方が気になるが、どうせ聞いても理解出来ないような気がするからもうなるようになれ、と思うしかなかった。

「まぁ、それでね、一番影響を与えているのがネスの力だからまずはネスと、ね」


なるほど、つまり竜王たちの中で一番力を持っているのはネスという事なのだろうか。

そんな事を思っているとネスの顔が目前に近づいてきた。


そして、


「…ん、」


唇同士が触れていた。


「なに、いま、くち、」

あまりの衝撃に今までぼんやりとしていた意識がはっきりとする。

「キスだよ、ノエルは初めて?」

キス?

なんで俺に?

どうやらその思いは口に出ていたらしい。

「お前が俺たちの伴侶だからだ」

と、ネスはそう言って再びキスをしてくる。

「ん、ん、」

「ん…ノエル、口を開けろ」

「ん、ふぁ、!?」

何度も何度もキスをされ、さっきとは違った熱さで頭がぼうっとしてきた頃、ネスに言われるがまま口を開けると何かが口内に入り込んできた。

「ぁ、んん、」

それが舌だと気づいた時にはそれに応えるように己の舌を無意識に絡めていた。

「良い子だ」

唇を離し俺の口の端から溢れた唾液を親指で拭いながらネスはそう言って反対の手で俺の服を脱がして行く。

「ネス、もっと、」

「あぁ、いくらでも」

初めての心地よい感覚にまたも無意識に言葉が出てしまう。

「おや、妬いてしまうね」

俺が再びネスと深いキスを交わしているとラッシュは俺の頭を撫でながらそう言って笑っていた。

(こんなに優しく触れられたのは初めてだ…)

「んぅ、んんっ、は、ぁ…、?」

キスに夢中になっていると胸に違和感を感じる。

「ノエル、気持ちいい?」

胸元を見るといつの間にか顕になっていた胸の飾りをラッシュが指で弄っているのが見えた。

「くすぐ、ったい、ぁっ!」

くすぐったさを感じたのも束の間ぎゅっといきなり摘まれ、背中に電気が走ったような感覚を覚える。

「ふふ、可愛い。気持ちいね」

「ぁ、きもち、いい、?」

「そう、気持ちいいって言うんだよ」

そうか、これが気持ちいいってことなんだな、なんてぼんやりと考えていたら不意に横から声が聞こえた。

「さすがのラッシュでも我慢できないみたいだな」

「そりゃあそうでしょう」

ハッとして顔を向けるとそこにはネスとラッシュ以外の竜王たちがいた。

「あ、え、?」

「おい、お前たち邪魔するな」

「へーへー。ま、どうせ順番は回ってくるし大人しくしときますよー」

「ノエル、こっちに集中して」

「んあ!」

ネスの声が聞こえたかと思うとまた気配はネスとラッシュだけになり、胸を弄るラッシュの声に再び意識が奪われる。

「んん、ラッシュ、もういやぁ、」

「あぁ、本当に可愛いね、大丈夫だよ」

「うぅ、ん、」

胸を弄る手を止めて欲しくてラッシュに嫌と言えば、次はキスで口を塞がれていた。




だから気づけなかった。







この行為がどんなものかなんて。






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