上 下
119 / 203
第4章

初めての魔物と戦闘

しおりを挟む


兵士長のべべレイフとの訓練を始めて早くも1週間が経過した。
地球との時間の流れは違うと聞いているのに、時間や日の数え方は一緒なので困らずに済んだ。


現在、俺達は4,5人のグループを組んで、ナータリャクラ国の近くの森で魔物との戦闘訓練を行うため、魔物を探して森の中を歩いていた。

「魔物全然見つかりませんね...」
「こうゆう時って強い魔物が出現したから弱い魔物が出てこないってパターンじゃないか?」
「だったら、奥に進むのは止めて引き返す?」
「いや、進もう!僕達は勇者だ。どんな困難だって立ち向かってみせる!」
「さすが白羅君!」

俺のチームメンバーは、
メインアタッカーの白羅 勇神、サブアタッカーの月坂つきざか 有紗ありさ、デイフェンダーの俺、サポーターの双葉 葵、ヒーラーの巻日野まきひの 香澄かすみだ。

月坂 有紗...黒髪ショートポニーテールが特徴的な女子。クラスメイトの女子の中で一番運動神経の良く、成績も上位の方だ。
白羅の事が好きらしいが、白羅は天然なのか全く気付いていないらしい。
能力は二刀流で短剣を扱うことの出来る《二刀短剣術》というものらしい。

巻日野 香澄...読書好きの腰まである長髪の眼鏡女子。成績はいつも学年10位以内で、休み時間中はいつも本を呼んでいる。
クラスの男子からは、「眼鏡を取ったら美人」と言われている。
能力は《回復魔法》と、色々持続することが出来る《持続魔法》というものらしい。



「...あれはゴブリンか?」

白羅が指を伸ばした先には、緑色の体に俺たちより身長の小さい生き物が棍棒や弓もって、7匹歩いていた。

「よし、向こうは僕達気づいてない。
先に僕が突っ込んでゴブリン達を混乱させるから援護を頼む」

「ちょっと待って、『アタック・エンチャント』『スピード・エンチャント』『ディフェンス・エンチャント』」

ゴブリン達に突っ込もうとした白羅を静止した葵は魔法を唱え始めると、体の内側から力が湧いてくる感覚がした。

「攻撃・防御・素早さのステータスを約20分の間1.2倍にする魔法をかけといたよ」

「では、私も魔法をかけておきますね。『デュレーション』....少しですが、20分間の効果時間30分間に延ばした。
怪我をした場合はすぐに回復させますね」

巻日野が更に魔法をかけた後、白羅は剣を抜きながらゴブリンの元に走っていった。
その後に、月坂がバックアップが出来るように短剣を構えながら白羅の後ろについていく。
俺も防衛の魔法がいつでも発動出来るように準備をした。

「はあぁぁぁ!!!」

「クギィィ!?」

1匹のゴブリンの腹が白羅の剣で一筋の線を入れると、そこから血が大量に溢れ出し腸なども零れ落ちた。
そんな光景に月坂は顔を顰めながら白羅の後ろから飛び出し、腹を切られたゴブリンの隣のゴブリンの首を深く斬りつけた。
赤黒い血が一定間隔で首から噴き出し周りに飛び散った。

「うわぁ..」

「危ない!『シャットウォール』」

月坂がゴブリンの血が着ている装備にかかった事を一瞬気にしてしまった事で、他のゴブリン達が月坂に向けて棍棒を振り下ろしてきたのだ。

俺は瞬時に、守護神の力の一つ『シャットウォール』を発動し月坂を棍棒から守りに入った。
この魔法は鉄の壁を対象の周りに展開して相手の攻撃を防ぐ事が出来るものだ。

「グゲェ!?」

コブリンは突然出現した鉄の壁に驚き後ろに下がった。

「サンキュー!助かったよ」

「まだ戦闘中だから集中しろ!」

月坂は笑顔でこちらに礼を言ってきた。集中しろと言うと真面目な顔つきになって残りのゴブリン達に向き直った。

「白羅君!行くよ!」

「一気に行くぞ!」

2人は剣を構え集中し出すと、力が高まっているのか2人から圧を感じた。

2人は動き出すと凄まじい速さでゴブリンに接近し一瞬で同時に2体づつ斬り倒した。
後ろで見ていた俺達はその速さを目で追うことが出来なかった。

「..ふぅ、始めて魔物と戦ったけど油断しちゃったな...竹中君、ありがとね」

「戦闘中は集中しろよ。ゲームみたいに何個も命がある訳じゃないからな」

「うぅ..すまない」

「最後にお2人の動きが速くなったのは、何故ですか?」

巻日野が白羅と月坂に最後の動きについて聞いた。

「《聖魔剣技》の能力の一つに身体強化があるんだ。僕はそれを使ったんだよ」

「私は《二刀短剣技》の能力か分からないけど、訓練してた時に色々試してたらいつの間にか出来るようになったんだ。多分《身体強化》だと思うよ」

「凄いな..」

俺達は2人が身体強化のスキルであそこまで速く動いた事に驚きながら、討伐したゴブリンの討伐部位である右耳と心臓辺りにあるという魔核という物の剥ぎ取りを始めた。

何事も無く剥ぎ取る作業も終わり、俺達は兵士長が待っているナータリャクラ国の門前に戻るのだった。




======================
どうも!こんにちは

お気に入り数が4100越えました!
ありがとうございます!

少しずつクラスメイトを出していくと思います。
(まだ名前が考えついてない)

ナギアからの視点ではわからなかった事を
書けていけたらと思ってます!
しおりを挟む
感想 586

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。

異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

処理中です...