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第4章

異世界の王とお姫様

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「お初お目にかかります勇者様。私はナータリャクラ国 第2王女のテルシャ・ナータリャクラです。
突然召喚された事で困惑していらっしゃると思いますが、話を聞いてもらいたいので私についてきてください」

テルシャという王女は俺達を大きな長テーブルがある広い部屋に案内した。
来客用のためか部屋の内装や置いてある壺、花などが高級感を放っていた。

少し待っていてくださいと言われて待っていると、王冠を被り豪華な衣装を着た男とその斜め後ろに怪しい感じの男がやって来た。
更に後から、兵が何人か入ってきて俺達を見張るように部屋の端へ移動した。

「良くぞ参られた!勇者殿!
どうか、この国を脅威から救ってください!」

王冠を被った男は定番なセリフを吐いたところで、クラスメイトの1人が手を上げてから発言した。

「初めまして、私の名前は白羅びゃくら 勇神ゆうじんと申します。
質問なのですが、私達は具体的に何をすれば良いのですか?
突然召喚された事で家族や友人に何も告づに来てしまったので、元の世界に帰れるのかも教えて下さい」

白羅 勇神...イケメン・成績優秀・スポーツ万能・家柄も良く、困っている人をすぐ助ける完璧人間だ。

ゲームやアニメ系大好きのクラスメイトに「一番勇者っぽい奴は?」と聞けば、必ず白羅の名前が上がるだろう。
余談だが、うちのクラスでオタクに染まっていない生き残りの1人だ。

「貴様!王の許可なく勝手に喋るな!」

白羅が王様に聞くと周りの兵士達の視線が鋭くなって怒鳴りだした。
王様はすぐに兵士達を静めるとこちらに向き直り話し始めた。

「兵士達がすまない。
勇者殿にして頂きたいことは魔王の討伐と各地にいる主の討伐だ。
勇者殿にはこの世界に慣れていただくのと、強くなっていただくためにレベル上げと修行をしてもらいたい。
この話は後ほど詳しく説明させてもらいます。

元の世界に帰るには、魔王城に帰還の術式があるはずです。それを持ち帰って頂ければ帰ることが出来ます」

王の説明に異世界系の小説、ゲーム、アニメ大好きな連中が苦い顔をしだした。

竹中はそんなクラスメイトが、どうして苦い顔をしたのか気になり隣に座っていた双葉に聞いた。

「....なんで、あいつらは苦い顔をしているんだ?」

「え?....竹中君なら異世界小説読んでるから気づいてると思ったんだけどな..」

「読んでたけど、召喚ものはそんなに読んでなかったんだ」

「あー、なるほどね。
まず王様が『魔王城にあるはずです』と予想の言葉なんだよ。
このパターンは魔王を倒しても無い可能性が高いのと、召喚した国が私達の帰還を考えていなかった可能性が高いから、苦い顔をしてたんだと思うよ」

「なるほどな...教えてくれてありがとう」

「いえいえ」

竹中と双葉が話している間に白羅と王様の会話が終わったらしく、第二王女のテルシャさんが目に涙を浮かべながら話し始めた。

「勇者様、どうか私達を魔族の脅威から...強大な魔物から助けてください!
もう頼れるのは勇者様しかいません!」

テルシャさんは、高校2年生の俺達と同じくらいの見た目で水色の髪に可愛らしい顔立ちをしている。
そんな子が涙で潤んだ瞳を浮かべながらお願いしてきたら、クラスメイト達の何人かは落ちるだろう。

実際、俺も落ちかけたが葵を思い出して、何とか踏ん張った。

「お任せ下さい。王女様...私達は出来る限りお役に立ちましょう」

白羅はスイッチが入ったのか、テルシャ王女に膝をつき頭を下げた。

そんな白羅を見たクラスメイトの反応は様々だった。

「さすが!白羅君素敵!」
「勇者の中の勇者してるよな~」
「あれって害悪勇者様になるんじゃね?」
「早くレベル上げしてー」
「イケメンって何でも許されるよな」


王様からの話を聞き終わったあと、俺達は1人1人個室に案内された。
明日の朝、同じ場所に集まるようにと言われて俺はステータスを1度確認した後、眠りにつくのだった。




======================
どうも!こんにちは

とりあえず
王とお姫様に会いましたね。

次回は戦闘面を書ければなと思ってます!

ナギア達はしばらく登場出来ませんが、所々で2人の動きを出せたらなと考えてます。
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