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第3章

騎士の来訪

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ユリア side

ナギアとリルリアちゃんが学校を卒業し、今日の午後には家に帰ってくるそうだ。ネオナはお兄ちゃんの帰りを今か今かと待ち続けていた。
お父さんに対して甘える事は無いのにナギアに随分懐いてしまった様だ。

コンコン

「お兄ちゃんかな!?  はーい!...?」

「私はフルガファダイア帝国 20番隊騎士団 三等軍曹のディアスと申します。こちらにナギア・ハールトークという者はおるか?」

「お兄ちゃん..まだ帰ってきてないよー?」

「そっか、じゃあ君のお母さん呼んでくれ」

「わかったー」

ネオナは母であるユリアを呼ぶと、ユリアは騎士団の所に向かいった。隊長らしき人が7人程率いており、装備は騎士団専用の鎧だろうか?白を基調とした大きな鎧を纏っていた。

「私はフルガファダイア帝国の騎士団に所属しておりますディアスと申します。我が国の王の命を受けこの村に来ました。こちらにナギア・ハールトークという者がいると聞いたのですが、いつ帰ってきますか?」

「まだ帰ってきてないのよ~。午後には帰ってくると思うので夕方頃にまた来て下さい」

「おい女!俺らは国の騎士団様だぞ?もてなしてくれても良いんじゃねか!?」

ディアスという騎士団の人の部下の1人がユリアの態度に気に入らなかったのか、怒りだし前に出てきた。

「何ならお前が体でもてなしてくれても良いんだぜ?ゲへへへ」

その騎士の人はユリアを舐め回すような目で見つめて来たので、ユリアは脅しを込めて騎士との間に氷の壁を無詠唱で発動させた。
氷の壁に驚いた騎士は尻餅をつき状況を把握しきれていないようだった。

「すみませんが私は夫にしか興味がないので。あと私は引退しましたが元Aランク冒険者です。息子のお陰で中級程度の魔法だったら無詠唱で出来ますよ?
あなたが私を襲うというなら、その粗末な者を氷漬けにして砕いてあげましょうか?」

ディアス以外の騎士はその言葉に体を一瞬震わせ一歩下がった。

「うちの部下が申し訳わりません...力量を測れないのに見た目で敵を判断するなと言っただろ!国に帰ったらもう1度二等兵からやり直してこい!」

「そ、そんな!頑張って一等兵まで上げることが出来たんですよ。あんまりじゃないですか!」

「そうかそうか、口答えするんだな?」

「す、すみません!」

「わかればいい」

見苦しいものを見せてしまい失礼しましたと言いながらディアスはこちらに向き直った。部下に脅しをかけていた時、強い魔力を感じたので実力はそれなりにあるという事がわかった。

「では、夕方6時頃に伺いますので、その時はよろしくお願いします」

騎士団の人達はそのまま村の宿の方へ行ってしまった。



ナギア side

「ただいま~」
「お邪魔します」

「お兄ちゃん!...お姉ちゃんもおかえり」

実家に帰りリビングの方に行くとお母さんの様子がおかしかった。

「あっおかえり~
実はフルガファダイア帝国から騎士団の人があなたにようがあるらしくてね...夕方6時頃にまた来るみたいなのよ」

「..なるほど、わかった」

「もし国に呼ばれて行くとなったら気をつけてね?強い者が正義って感じの国だったはずだからね」

お母さんが冒険者時代の時に1度だけフルガファダイア帝国に依頼で行ったことがあるらしい。
話を聞くには、そこそこ強い冒険者が自分より下の冒険者から金を巻き上げたり、衛兵は金で簡単に言う事を聞いたり、王様は強欲で欲しいものは必ず手に入れるとか悪い事しかなかったと言っていた。

そこの国からわざわざ来たのか、関わりたくないな...


ナギアはいつもより夕飯を早めに済ませ、約束の時間までリルリアと一緒にネオナに魔法を教えながら待つ。

コンコン

「こんにちは~」

「ん?君がナギア・ハールトークか?」

「はい、僕がナギア・ハールトークで..」

ナギアが言い終わる瞬間、目の前の男は突然剣を振り下ろしてきたので、ナギアは避けて男の剣の腹を手刀で折った。

「確認とかの為に斬りかかったと判断でいいですか?それとも、敵対するという意味で捉えてよろしいですか?」

「フッ...これは情報以上かもな。失礼した..確認のためにやらせてもらった。私の剣が折られるとは思わなかったよ」

「そうですか。リア、とりあえず解いていいよ」

「はーい」

『!?』

ナギアの後ろにいたリルリアは、ナギアが斬りかかられた瞬間騎士団の周りに氷の刃をいくつも生成しいつでも放てる状態にしていたのだ。

それに、気づかなかった騎士団の人達は驚き顔が青ざめていった。

「用件を教えてもらえますか?」

「..あぁ、我が国の王がお前に会いたがっている。だから、護衛を兼ねて迎えに来たのだ」

「こちらに拒否権はなさそうですね」

「王は強欲で有名だ...会わなかったら会わなかったでめんどくさい事になるんじゃないか?」

「..わかった。だけど条件がある」

「何だ?言ってみろ」

「リルリアも一緒に行くこと..これが条件だよ。簡単でしょ?」

「その位なら大丈夫だろう。1週間後に出発するが、それでいいか?」

「どうして1週間後なの?てっきり明日には行くぞ!と言われると思ってた」

「お前は帰ってきたばかりなのだろ?家族と久しぶりの再開なのだから今のうちに楽しんでおけ」

「わかった」

ナギアは騎士団との会話が終わってから気づいた。リルリアの両親にリアを連れて行くことの許可もらってなかった事に.....



〇〇〇 side

「1週間後に村を出て長くて3週間以内には、そちらに着きます」

『良くやった...お前から見て奴はどうだったか?』

「危険の一言です。無防備に見えてもスキがなく、私の剣を躱して折ってしまうほどですね....それと、リルリア・アルファティスも予定通り同行することになりましたが、彼女の実力も危険です。下手したら死んでましたね」

『そんなにか...偵察してた連中もすぐに気付かれたと言っていたが、それなりに実力はあるそうじゃな....
わかった、お前は予定通り2人を城に連れてこい。わしらは出来る限り準備をしておこう』

「わかりました。それはでは失礼します......はぁ、あれがどうにか出来るかと聞かれれば誰もが無理と答えるだろ。
我が国は龍の尻尾を踏もうとしてるんだな。
だが、あれが上手くいけば最強の駒を手に入れる事になるな...楽しみだ」

真夜中の宿屋の一室でディアスは、これから起こることがどうなるか楽しみにし眠るのだった....




======================
どうも!こんにちは

お気に入り数が3100越えました!
ありがとうございます!

やっと3章に入りましたね!
2章は長くなりすぎて自分でもいつ終わるのか分からない状態でしたね(^^;


人族の国の正確な数は決めてませんが
今のところ人族の国は6カ国ある予定です。
(ストーリーによっては増えたり減ったりするかもしれませんね..)
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感想 586

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