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第1章

心配は無駄だった

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セルベル side

俺達は爆発のあった森の方へ走った。すると森から走ってくる影が6つ見えた…村の子供達だ。

「助けて!!ナギアがこのままだと死んじゃう!」
「魔物がたくさんいたの!ナギアが今1人で戦ってるの!」

「わかった!とりあえずお前らは家に帰るんだ!ナギアは俺達に任せろ!」

泣いてる子や慌てる子にセルベルは指示を出しグライドと共に森に入って突き進んだ。

「お前の子供…本当に大丈夫なのか?完全に《アルティメットオーガ》の従えた魔物に遭遇してるぞ?」

「大丈夫だ……心配だがナギアは俺より強いからな!最近の笑い話なんだが、ナギアの3歳の誕生日の次の日に剣を教えたんだよ..魔法ありで勝負したら一瞬でやられちまったんだぜ!しかも俺はナギアの本気出させる事が出来なかった…ナギアの面白いところはずっと前から修行してて1日の修行量が半端ないんだ!だから大丈夫だ!」

「話聞いてると本当に3歳児か?3歳児が修行って初めて聞いたわwしかも、お前が子供に負けるとか想像出来ないわww」

セルベルの話を苦笑しながらもグライドは聞いた。すると、何かが地面に降る音が聞こえてきた…近づくにつれ魔物の悲鳴も聞こえてきたのだ。
ナギアが戦っているであろう場所に着くと驚くべき光景が広がっていた。

小さな子供が魔物の大群に魔法で小さな石?を大量に落としていたのだ。弾速は速くて目が追いつかず魔物に飛んでいるという事だけはわかった。

セルベルとグライドは呆然としていた……自分らが戦っても勝てないような魔物が一瞬で肉塊に変わっているのだ。死んだ魔物はすぐに消えたのでセルベルはナギアの収納スキルを思い出して納得する。

魔物から様々な魔法がナギアを襲うが何をしたのか解らないが、全て魔物に返していた。

「なぁ…セルベル……お前の子供…強すぎない?……」
「あ、あぁ…力隠してたのか俺もここまでとは思わなかった……」

2人は邪魔にならないように離れた場所でナギアを見守った。
セルベルはナギアがいつもと雰囲気が違うことに気がついた。打ち合いの時とはまた違う雰囲気に驚いた…

「(ナギアの今のイメージは冷徹で容赦ないな……)」

ナギアの称号の事を思いながらそんな事を考える。

ナギアが魔物達を一掃するとAランクの魔物が100匹近くが現れた。

「マジかよ……Aランクの魔物があんなにいるなんて……お前の子供..ナギアだっけ?連れ帰らなくて良いのか?…まぁあれから逃げるのは無理だけど…」

「ナギアが何か考えているように見えるからな、良かれと思ってやっても邪魔にしかならんから見守るしかない!ナギアが本当に危なくなったら俺が魔物を引きつけるから、お前はナギアを連れて逃げてくれ!」

「わかったよ..だがな!逃げる時はお前も一緒だからな!」

「出来たらな!」

そんなやりとりをしているとナギアの戦闘が始まった。

Aランクの魔物達が10匹程ナギアに飛びかかるセルベルは思わず助けようと足が1歩前に出たがそれ以上は進まなかった。何故なら魔物の首が体から落ちたのだ。

「「……は?」」

セルベルとグライドは間抜けな声を出してしまった。他の魔物達はそれに警戒して後退したが体がズレていき上半身と下半身が別れたのだ。

「「……へ?」」

何が起っているのか解らないがナギアがやった事は理解した。

「なぁ…セルベル、俺は夢でも見ているのか?3歳児がAランクの魔物100匹程を一瞬で倒してるんだが?……」

「……え?あぁ、夢ではないはずだ!…………多分…」
 
ナギアの《超隠蔽》で2人からは糸は見えず何が起っているのか理解出来ていなかった。
2人が呆然としている中、回収を終えたナギアはSランクの魔物と戦い始めた。

「なぁー?あれ、オーガキングだよな?Sランクの」

「そうだな、オーガキングだな」

「オーガキングの攻撃見えないんだけど、ナギア良く避けられるな……」

「……あっ!短刀のオーガキング斬りかかったと思ったら倒れたな..」

2人はナギアの戦闘が全く解らず呆然とする事しか出来なくなっていた。

「あれ?闇魔法で分身出したな、あれ知り合いの魔法使いが『1体作るだけでも魔力使うし、操作は集中力いるから使い勝手が悪い』って言ってたな..」

2人は影がすごい速さで後衛のオーガキングに向かっていくのを見つめる。

「あれ……影の分身だよな?動きが全く見えないし読めないんだが…」

「そうだな……あっ倒した」

ナギアが戦っている前衛のオーガキングの方に目を向けるとオーガキングは何故か苦しそうにして死んでいった。

「なぁ..セルベル……ナギアならアルティメットオーガ倒せるんじゃね?」

「確かに倒せそうだな!ナギアは今日が魔物との初戦闘のはずだからレベル1から多分結構上がってるぞ!」

「は!?レベル1で魔物の大群に挑んだのかよ!おかしいだろ……」

レベル1で村や町、国すらも滅ぼすような魔物の大群に挑むなんて自殺しに行くようなものだ。しかし、現にナギアはやってしまっているのだ。

ナギアはオーガキングを回収し終わるとアルティメットオーガと向き合う

「ヴガァァァァ!!!」

「くっ……」

セルベルとグライドはアルティメットオーガの雄叫びで威圧されてしまう。さすがSSランクの魔物だと思う程の気迫だった。本能がここから逃げ出したいと言っているように体が震え汗が止まらなかった。
しかし、すぐに治まった。セルベルは疑問に思い手を前に出すと何かに触れた……

「ナギア、俺らに気づいてたのか……」

「さっきまでの辛さが無くなった?……セルベル説明してくれ」

グライドはセルベルに状況説明を頼んだ。

「ナギアが俺達が威圧で倒れないように結界魔法で守ってくれてるんだよ……何も出来ずにただ息子の足を引っ張ってしまうなんて不甲斐ない父親だな俺は……」

「セルベル……お前馬鹿か?相手を見ろ!!相手は国すら潰しちまう化物だぞ?お前の子供が強いから今は生きているが、出会ったら死を覚悟する程の魔物だ!誰もお前を責められねぇよ!!」

「そうだな…ありがとな!少し元気でたわ!
今はナギアがあいつを倒してくれるのを祈るか!」

「おう!そうだな!」



ナギア side

お父さん達がいたのは最初から気づいていた。
2人アルティメットオーガの威圧に耐えられそうになかったから結界魔法で威圧を遮断する
2人の間になんか友情が芽生えてる気がしたがほっとく事にした。

目の前にはアルティメットオーガがゆっくり近付いてくる。瞬間、目の前に現れいつ手に持っていたのか大きな剣を振り下ろしてきた。咄嗟に横に飛んで回避するが、風圧で吹き飛ばされてしまった。すぐにアルティメットオーガのいた場所を確認すると剣を振り下ろした場所は十数メートルにわたって割れていた。

へぇーこんなに馬鹿力なんだ。じゃあ《結界魔法》がどれだけ耐えるかな?

アルティメットオーガは横薙ぎに剣を振るってきたので、ナギアは《結界魔法》を10枚重ねて発動した。
剣は結界が2枚破れたところで止まった…驚いて止まってるアルティメットオーガに《光魔法》で目くらましのフラッシュを食らわせると目を押さえて苦しみ始めた。
滅びの呪文を唱えた気分になったがナギアはすぐに《糸魔法》でアルティメットオーガに糸を巻き付ける..

「お前が本気出す前に殺してやる…」

ナギアは手に火で剣を生成する
火で生成された剣はメラメラと燃えていなく整った形の長い剣になった。

それを見ていたアルティメットオーガは危険を感じたのか必死に糸を引きちぎろうとするが込められた魔力が多いため糸はビクともしなかった。

火の剣を構えたナギアは糸に巻かれたアルティメットオーガの首を一瞬で跳ね飛ばした

「ふぅ、終わった~」

ナギアはアルティメットオーガを回収するとナギアはいつも通りに戻ったのだった。



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どうも!こんにちは

アルティメットオーガとナギアの戦闘はセルベル達には目が追いついていません!
気がついたら地面が割れていたぐらいです!

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