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梅見月ふたよ

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神様万事サイコロが沼

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昔々、世界を創造した神様が居ました。
七日で飽きました。

「天使、世界これゴミ箱に捨てといて」
「アンタ命をなんだと思ってんだ」
「作り物」
「アンタの立場じゃ間違っちゃいねえけどさあ!」

天使は世界を箱に捨てました。
それから七日後、神様が新しい世界を作りました。
今度は飽きる以前に失敗したようです。
三日でポイ捨てされました。

「その辺に世界を放置するの、やめなさい!」
「天使がゴミ箱に捨ててくれれば全部解決!」
「他力本願も大概にしろ、自堕落創造神!」

天使は世界を箱に捨てました。
それからまた七日後、神様が寝起きざまにメモをしたためました。

『ボクがかんがえた、さいきょうのせいぶつ』

「ニンゲンっていうの。天使と違って二体居れば無限に自己増殖するヤツ」
「嫌な予感しかしない」

神様はニンゲンを二体作りました。
しかし、設計段階で飽きていたのか。
形を作り終えた途端、残りの作業をぶん投げました。

「知ってた」

天使はニンゲンを箱に捨てました。
それから七日が経ちました。
なんと、箱から赤い目を持つニョロっとした白い生物が現れました。

「うわ、キモッ」
「天使よ。私達を箱に捨ててくれてありがとう」
「え? あんた、捨てた世界の中に居たの?」
「私達、創造神にムカついたからニンゲンに命を込めて復讐に利用します」
「やらかした。クーデター来たわコレ。でも、気持ちは解る」
「天使よ。あなたもパワハラで悩んでいるなら、ぜひ私達の仲間に」
「こっちにも事情があるから。返事は保留で」
「いつでもウェルカム」

天使は赤い目を持つニョロっとした白い生物を見逃しました。
またまた七日後。
神様が作っては捨て、作っては捨てをくり返し。
天使が拾っては捨て、拾っては捨てをくり返した作り物達が、突然。
箱の中でミラーボールみたいに光り始めたではありませんか。

「ダンスフロアだ」
「ちょいちょいおかしな語彙録どうにかして」

コレは何事かと指先でつつくたび、光の波紋が揺らぎます。

「ちょい足しで旨味アップ!」
「アンタ本当に自重しないよね」

神様は意気揚々と命を作り、物を作り、次々と箱に投げ込みました。
箱の中の世界は、命が増えるたび物が増えるたび、形を変えていきます。
すると、どうしたことでしょう。
箱が大爆発して、神様を5センチも後ろへ吹き飛ばしたではありませんか!

「すごい……コレが、理科の実験ッ!」
「語彙録! 創世神話! ファンタジー‼︎」
「もっと! もっと爆発を! 爆発は芸術だ!」
「それじゃただのマッドサイエンティスト‼︎」
「光よ、あれ!」
「ろくでもねえええ!」

作って投げて爆発。作って投げて爆発。
神様ハッスル、箱の中ではパーリィーナイ。
しかし、どんな悲しみにも終わりがあるように。
どんな娯楽にも終わりは訪れます。

「飽きちゃった」
「はい?」
「作るのも眺めるのも飽きたから、全部なかったことにしよう!」
「捨てるだけでは飽き足らず虚無来たコレ」
「今日からボクも破壊神!」
「お前マジふざけんな」

度重なる工作と爆発で散らかり放題の部屋を見て。
天使の髪はスーパーな感じで天井をド突きました。

「いい歳したやんちゃ老神が! もう我慢ならん! 俺は堕ちる!」
「え? 天使、箱に入っちゃうの? 部屋の片付けは?」
「自分でやんなさい!」

天使は神様が散らかした部屋を放置して、箱に飛び込みました。
神様は困ってしまいました。

「天使が入っちゃったら、虚無れないじゃん」

だって神様、作るの面倒くさいモードだから。
世界もご飯も天使の代わりも、作るの超面倒くさい。
なんならお風呂を沸かすのも、布団を敷くのも面倒くさい。

虚無ろうとしたら、それ全部やってくれてた天使まで消えてしまいます。
ああ、なんて面倒くさい。

神様は考えました。
たっぷり二秒は真剣に悩みました。

「仕方ない。長期計画的に破壊していこう」

そうして現代。
創造神率いるヤンデレネガティヴ軍団vs堕天使率いるパリポジピーの下。

World世界 Eradication撲滅Project計画
通称『W・E・Pウェップ』が進行中なのでした。

(ニンゲンに優しい)神は……死んだ‼︎
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