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第2章 さて、こうして町に僕は向かい、彼女達と出会う

38,空を歩く魔法

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 谷にかかっている丸太の橋。
 極めて簡素な橋である。
 その端自体には緑色のこけが生えていて、軽く踏んだだけでミシミシいいそうに見えた。

 しかもこの谷の一番狭い所とは言え、この端の眼下には切り立ったがけが左右に見える。
 そのさらに奥のの暗がりに、時折光が差し込んで水面が光って見える。
 そんな場所に、心許ない丸太の橋が一つ。

 先ほどの片面崖の場所を渡らせられるのはまだ耐えられたが……僕はもう耐えられなかった。

「“選択画面”」

 小さく呟いて画面を映し出す。
 そして魔法の中で風系のものから、空が飛べるようになる魔法を探していく。
 見つけた。

 転送魔法はまだ、あまり見せないほうがいい気がするので使わない。
 これは僕だけの特殊能力(チート)のようだから。

「“空中散歩”選択」

 同時に僕の周りにいた三人の足もふわり途中を浮く。
 この魔法は、僕達が望んだ任意の高さの空中を歩くことの出来る魔法だ。
 だから坂道や階段をイメージすればより高くなるけれど、今はこの高さのままあちら側に行ければいい。

 そして僕は真下を見るのが怖くて目をつむりながら一気に駆け出す。
 地面をける音がしないのでどれだけ進んだのかわからないが、そこで、サナの声がした。

「アラタ、もうそこで止まって」
「え?」

 僕はその声を見てまぶたを開く。
 気づくと、先ほどの谷からはそこそこ歩いてきてしまっていた。
 なので慌てて戻るけれど、そこでサナが、

「魔法の持続時間は?」
「わ、分からない」
「……この状態で、丸太の上を私達は歩いたほうが良さそうね」

 との事でエリザ、サナ、カレンは丸太の上を歩くことに。
 そしてここにたどり着いてから、

「えっと、魔法は終わりです。……消えた」

 その僕の意志によって、前と同じような土を踏む感触が戻ってくる。
 それから僕達はさらに歩いていって、その先で、蔓のようなものが沢山束ねられたものに遭遇したのだった。

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