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悪役令嬢に憑依させられたので、婚約破棄してきた婚約者の頭を掴んで宙に持ち上げてみた~外は美少女中身はゴリラの異世界譚~
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突然ですが、私、悪役令嬢になりました。
何故、どうして、といた疑問はもちろん私にもありました。
実際私もこの世界の悪役令嬢、リセ・ハートマインドにそう言われて、なんでだ、と思ったため、
「何で私なんですか?」
「現在呼べる世界の座標軸を計算して居たらこうなりました」
「そういうものなの?」
「私、天才ですから」
そう言い切った目の前の美少女……というか、乙女ゲーム内で何度も見る羽目になった彼女、リセ・ハートマインドはにっこり笑った。
こう見るとちょっと天然が入った美少女に見えるが、私はゲーム内のやらかしについてはよく知っている。
しかも裏事情も含めて全ルートも知っている。
それもあって呼び出されたのかと思うが、目の前の彼女、リセ・ハートマインドは私の手を握り(現在精神空間のような暗い中で彼女と話している)、
「もう私にはどうしようもないんです。力を貸してください」
「どうしようもないって、貴方今自分で天才って言っていたんだから、自分で何とかできないの?」
「私、自分でいうのもなんですが、ドジっ娘なんです」
「……」
「気づいたらどうしようもなくて、だから、手を貸して欲しくて貴方を呼びました」
そう泣き出した彼女に私はかわいそうに思ってしまう。
後になって思えばこの時見捨ててしまえば楽だった……ような気もしないでもないが、でも後味が悪かっただろうしおそらくは結局彼女に手を貸してしまっただろう。
気の毒と思ってしまったのはゲームの内容を知っていたからだ。
特に悪いわけではないのだが、行動が裏目に出てしまったというのもある。
少しくらいなら私にリスクは無いのだから手を貸せるだろうとか、これまでのゲームのルートやフラグ関係はやりこんで覚えていたりするとか、そういった好条件がそろっていたから、というのもある。
だから私は彼女のお願いを聞いて、しばらく彼女の体に憑依して行動を共にする事になった……のだが。
「! ちょっと待て、今のこの状況って、バッドエンドフラグ全部立て終わった後じゃないの!」
私は情報を共有したことで事態を全て理解した。
今現時点で、バッドエンドのフラグは全てたてられている。
実の所この乙女ゲームでは明らかに怪しいフラグが立つ選択肢が幾つもあり、それらをわざと選ぶことによってようやくバッドエンドルートに行くことが出来るという代物だった。
それこそ普通に選択したならそんなルートにはいかないようなものである。
だが。
この私が憑依しているリセ・ハートマインドは。
「何で全部のバッドエンドフラグを立てられたの!?」
「な、なんでかその、その場の勢いと言いますか、つい」
しどろもどろになる彼女に私は頭を抱えた。
ぶっちゃけ私にどうしろと。
これからあるイベントってあれだ、舞踏会での婚約者からの婚約破棄である。
それくらいしかない。
その後は文章で更っと説明がされて……。
「もうそこしかないか。シナリオにないルートを選択する」
「未来予測ですか?」
「何が?」
「異世界の【物語】に準ずるものには、【未来予測】と言えるものがあるそうです。例えば、卵と牛乳とホットケーキミックスがあれば同じようなホットケーキ、つまりは似た結果という果実が得られる。だから未来予測になるとかなんとか。もしかしてそれもあって貴方を召喚できたのかしら」
と言い出したリセ・ハートマインドに、
「でもそれで言うとバッドエンドルートフラグしか立っていないから、そのルートのシナリオから離脱して、何とかハッピーエンドルートに持っていくわ」
「え、出来るのですか?」
「失敗したらそれで終わり。出来る、出来ないじゃない。やらないといけないのよ……お判り?」
「はい!」
「返事だけは元気がいいのね……はあ。ってちょっと待って。今って婚約破棄されるパーティの直前じゃない?」
そういうと不思議そうな顔でリセ・ハートマインドは、
「婚約破棄って何のお話ですか? 私は、友達で聖女のクレアちゃんが暗殺計画をされているの求めて欲しいとかそういった……」
「……」
「あの……」
そこで私は彼女と共有した彼女の記憶に着手する。
そして現在の状況全てを判断して、
「分かった全部無理。時間が足りないから……シナリオの離脱から始めないといけないわね」
「? どういうことですか?」
「これから【私が好きなように】させてもらうわよ」
そういうと悪役令嬢リセ・ハートマインドは頷き、
「貴方の方が力が上なので憑依されると支配権が貴方にうつってしまうんです」
「よくそんな危険なの事をする気になったわね」
「クレアちゃんは私の大事なお友達ですから」
と言い出した彼女に私は大きくため息をついて、
「……婚約破棄関連は、とりあえず文句の一つでもいわせてもらうわ」
と返し、話足はパーティに出席したのだが。
ゲーム上ではもう少しマイルドになっていたが、聞けば聞くほどこいつは……こいつは……。
「こんな状況になるまで放っておく婚約者がいるかぁあああああ」
「うぎょぼあぶえぇぇぇ」
ついかっとなって私よりも二センチくらい背の高い婚約者の頭を鷲掴みにして持ち上げた。
おかしな声を上げるのを聞きながらすぐに気絶した婚約者を見て、
「ふん」
そう鼻で笑ってから、何だこいつ、と思いながら床に落としてその会場を後にした。
とりあえずちょっとはすっきりした私は、
「これであとは、バッドエンドフラグルートを別の物に変えないといけないけれど……それで、聖女のクレアちゃんて何処にいるのかしら? ああ、あそこね。じゃあ、一緒に【家出】のお誘いでもしに行きましょうか」
と、中でどうするんですかと焦るリセ・ハートマインドの声を聞きながら、何とかするわよと私は答える。
これが、私が冒険に飛び出す始まりの出来事だった。
何故、どうして、といた疑問はもちろん私にもありました。
実際私もこの世界の悪役令嬢、リセ・ハートマインドにそう言われて、なんでだ、と思ったため、
「何で私なんですか?」
「現在呼べる世界の座標軸を計算して居たらこうなりました」
「そういうものなの?」
「私、天才ですから」
そう言い切った目の前の美少女……というか、乙女ゲーム内で何度も見る羽目になった彼女、リセ・ハートマインドはにっこり笑った。
こう見るとちょっと天然が入った美少女に見えるが、私はゲーム内のやらかしについてはよく知っている。
しかも裏事情も含めて全ルートも知っている。
それもあって呼び出されたのかと思うが、目の前の彼女、リセ・ハートマインドは私の手を握り(現在精神空間のような暗い中で彼女と話している)、
「もう私にはどうしようもないんです。力を貸してください」
「どうしようもないって、貴方今自分で天才って言っていたんだから、自分で何とかできないの?」
「私、自分でいうのもなんですが、ドジっ娘なんです」
「……」
「気づいたらどうしようもなくて、だから、手を貸して欲しくて貴方を呼びました」
そう泣き出した彼女に私はかわいそうに思ってしまう。
後になって思えばこの時見捨ててしまえば楽だった……ような気もしないでもないが、でも後味が悪かっただろうしおそらくは結局彼女に手を貸してしまっただろう。
気の毒と思ってしまったのはゲームの内容を知っていたからだ。
特に悪いわけではないのだが、行動が裏目に出てしまったというのもある。
少しくらいなら私にリスクは無いのだから手を貸せるだろうとか、これまでのゲームのルートやフラグ関係はやりこんで覚えていたりするとか、そういった好条件がそろっていたから、というのもある。
だから私は彼女のお願いを聞いて、しばらく彼女の体に憑依して行動を共にする事になった……のだが。
「! ちょっと待て、今のこの状況って、バッドエンドフラグ全部立て終わった後じゃないの!」
私は情報を共有したことで事態を全て理解した。
今現時点で、バッドエンドのフラグは全てたてられている。
実の所この乙女ゲームでは明らかに怪しいフラグが立つ選択肢が幾つもあり、それらをわざと選ぶことによってようやくバッドエンドルートに行くことが出来るという代物だった。
それこそ普通に選択したならそんなルートにはいかないようなものである。
だが。
この私が憑依しているリセ・ハートマインドは。
「何で全部のバッドエンドフラグを立てられたの!?」
「な、なんでかその、その場の勢いと言いますか、つい」
しどろもどろになる彼女に私は頭を抱えた。
ぶっちゃけ私にどうしろと。
これからあるイベントってあれだ、舞踏会での婚約者からの婚約破棄である。
それくらいしかない。
その後は文章で更っと説明がされて……。
「もうそこしかないか。シナリオにないルートを選択する」
「未来予測ですか?」
「何が?」
「異世界の【物語】に準ずるものには、【未来予測】と言えるものがあるそうです。例えば、卵と牛乳とホットケーキミックスがあれば同じようなホットケーキ、つまりは似た結果という果実が得られる。だから未来予測になるとかなんとか。もしかしてそれもあって貴方を召喚できたのかしら」
と言い出したリセ・ハートマインドに、
「でもそれで言うとバッドエンドルートフラグしか立っていないから、そのルートのシナリオから離脱して、何とかハッピーエンドルートに持っていくわ」
「え、出来るのですか?」
「失敗したらそれで終わり。出来る、出来ないじゃない。やらないといけないのよ……お判り?」
「はい!」
「返事だけは元気がいいのね……はあ。ってちょっと待って。今って婚約破棄されるパーティの直前じゃない?」
そういうと不思議そうな顔でリセ・ハートマインドは、
「婚約破棄って何のお話ですか? 私は、友達で聖女のクレアちゃんが暗殺計画をされているの求めて欲しいとかそういった……」
「……」
「あの……」
そこで私は彼女と共有した彼女の記憶に着手する。
そして現在の状況全てを判断して、
「分かった全部無理。時間が足りないから……シナリオの離脱から始めないといけないわね」
「? どういうことですか?」
「これから【私が好きなように】させてもらうわよ」
そういうと悪役令嬢リセ・ハートマインドは頷き、
「貴方の方が力が上なので憑依されると支配権が貴方にうつってしまうんです」
「よくそんな危険なの事をする気になったわね」
「クレアちゃんは私の大事なお友達ですから」
と言い出した彼女に私は大きくため息をついて、
「……婚約破棄関連は、とりあえず文句の一つでもいわせてもらうわ」
と返し、話足はパーティに出席したのだが。
ゲーム上ではもう少しマイルドになっていたが、聞けば聞くほどこいつは……こいつは……。
「こんな状況になるまで放っておく婚約者がいるかぁあああああ」
「うぎょぼあぶえぇぇぇ」
ついかっとなって私よりも二センチくらい背の高い婚約者の頭を鷲掴みにして持ち上げた。
おかしな声を上げるのを聞きながらすぐに気絶した婚約者を見て、
「ふん」
そう鼻で笑ってから、何だこいつ、と思いながら床に落としてその会場を後にした。
とりあえずちょっとはすっきりした私は、
「これであとは、バッドエンドフラグルートを別の物に変えないといけないけれど……それで、聖女のクレアちゃんて何処にいるのかしら? ああ、あそこね。じゃあ、一緒に【家出】のお誘いでもしに行きましょうか」
と、中でどうするんですかと焦るリセ・ハートマインドの声を聞きながら、何とかするわよと私は答える。
これが、私が冒険に飛び出す始まりの出来事だった。
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