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どうやら“嘘”はついていないようだ
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この世界に呼ばれていきなり悪役令嬢のルイーズちゃんになることに!
「? どういうことですか? というかルイーズちゃんはどこに?」
そう僕が聞くとハロルドさんが妖しく笑ってから、
「君はルイーズについて知っているようだね。どんな人物か知っているかな?」
「黒髪に赤い瞳の美少女でツンデレで、才色兼備?」
「うんうん、僕が流した噂そのものだね」
「噂?」
「うん、だってルイーズは実在していないからね」
衝撃的な発言を僕はされてしまった。
え? あの僕の一推しの彼女はどこへ…。
それについて説明を聞くと、なんでも婚約者にこのハロルドさんは逃げられ駆け落ちされてしまったが、これを機に自由恋愛をしたいと思って、適当な子供の話をでっち上げたらしい。
その後、両親にバレかけるも、子供がいるように装ってお見合いや新しい婚約者の話を誤魔化していたが、うすうす勘づかれていたらしく、この国の王子と婚約話が出たらしい。
その話は適当にかわしたが、最近実は婚約がされていた事が分かったので、
「そういえば勇者召喚すると、その人はこの世界の事、特に僕達召喚主周辺や事情などを広く知っているらしいから、じゃあ丁度良いかなと思って召喚を」
「そんな…そんな適当な理由で僕が呼ばれてしまったのですか」
「うん」
僕が、なんてがっかりな理由なんだとか、会いたかった悪役令嬢ちゃんが、非実在美少女だったなんてと立て続けに思考が停止するような悲しい話を聞かされて上手く思考が回らない。
そこで魔王のレイが、
「なるほど。どう考えても嘘としか思えないが」
「本当の話ですよ。この平和な時代に魔王討伐は時代遅れですし」
「それでも、この世界に勇者召喚で呼ばれた人物がいる。その事実だけで十分、こちらとしては“力を行使”する理由になるぞ?」
そんな物騒な言葉を吐いた魔王レイにハロルドさんは相変わらず困ったような笑顔…に、うっすらと汗がにじんでいる。
どうやらこの状況はまずいと思っているようだ。
そこでハロルドさんが、
「え~と、僕は貴方と敵対したくはありません」
「そうだろうな。今すぐにお前をこの世から消し去ることが俺にはできるからな」
「…どうすれば納得して頂けるでしょうか。鑑定魔法にかけていただくとか?」
「これまでの会話は全てかけている」
「…僕が嘘をついていると?」
「すべて真実だとされている。ただ、一部の理由を“隠して”話している、それは“嘘”と判断されないからな。…お前はどちらだ」
「はは、手厳しいですね。では、そうですね、そちらの召喚した子と一緒にこの家に滞在して頂き、しばらく様子を見るというのはいかがでしょう?」
僕の名前が出されて、一緒に魔王レイが滞在するのはどうかと提案してきた。
魔王レイがちらりと僕の方を見て、一瞬どうしようかと考えるようなそぶりを見せたが、すぐに先ほどからの真剣な表情を見せる。
やっぱり実際に会うと、ゲームとちょっと印象が違うなと僕は思った。
というかとても自然な流れで僕がここにしばらく滞在することになっている気がする。
なので、
「あの、僕、すぐにお家に返してもらえないんですか?」
「えっと、身代わりをお願いするから、その役目が終わるまでに帰還用の手はずは整えればいいかなって」
「…」
「僕の危機なのでお願いしたいのだけれど、ダメかな」
「…どうせ帰れないのであれば…え?」
そう僕が答えるとレイが僕を彼の後ろに隠して、
「その“役目が終わるまで”というのは、やはり理由があってか?」
「さっき話したルイーズちゃんの身代わりですよ。…それほど時間がかからないと思いますが。両親に紹介したりとかちょっとした辻褄合わせをしたいだけですし」
「…嘘は言っていないようだな。一体どういう性格をしているんだ? 仮にも、勇者召喚をする重要な役目があるだろう?」
「一体何百年平和な時代が続いていると思っているんですか。もうすでに家が勇者召喚の家系なんて、“形骸化”してますよ」
「…それにしてももっとこう…」
「僕はね…その場の危機が乗り越えられればそれでいいんです」
そこでハロルドさんが、今までで一番いい笑顔でそう言い切り、その一方で魔王レイは絶句しているようだったのだった。
「? どういうことですか? というかルイーズちゃんはどこに?」
そう僕が聞くとハロルドさんが妖しく笑ってから、
「君はルイーズについて知っているようだね。どんな人物か知っているかな?」
「黒髪に赤い瞳の美少女でツンデレで、才色兼備?」
「うんうん、僕が流した噂そのものだね」
「噂?」
「うん、だってルイーズは実在していないからね」
衝撃的な発言を僕はされてしまった。
え? あの僕の一推しの彼女はどこへ…。
それについて説明を聞くと、なんでも婚約者にこのハロルドさんは逃げられ駆け落ちされてしまったが、これを機に自由恋愛をしたいと思って、適当な子供の話をでっち上げたらしい。
その後、両親にバレかけるも、子供がいるように装ってお見合いや新しい婚約者の話を誤魔化していたが、うすうす勘づかれていたらしく、この国の王子と婚約話が出たらしい。
その話は適当にかわしたが、最近実は婚約がされていた事が分かったので、
「そういえば勇者召喚すると、その人はこの世界の事、特に僕達召喚主周辺や事情などを広く知っているらしいから、じゃあ丁度良いかなと思って召喚を」
「そんな…そんな適当な理由で僕が呼ばれてしまったのですか」
「うん」
僕が、なんてがっかりな理由なんだとか、会いたかった悪役令嬢ちゃんが、非実在美少女だったなんてと立て続けに思考が停止するような悲しい話を聞かされて上手く思考が回らない。
そこで魔王のレイが、
「なるほど。どう考えても嘘としか思えないが」
「本当の話ですよ。この平和な時代に魔王討伐は時代遅れですし」
「それでも、この世界に勇者召喚で呼ばれた人物がいる。その事実だけで十分、こちらとしては“力を行使”する理由になるぞ?」
そんな物騒な言葉を吐いた魔王レイにハロルドさんは相変わらず困ったような笑顔…に、うっすらと汗がにじんでいる。
どうやらこの状況はまずいと思っているようだ。
そこでハロルドさんが、
「え~と、僕は貴方と敵対したくはありません」
「そうだろうな。今すぐにお前をこの世から消し去ることが俺にはできるからな」
「…どうすれば納得して頂けるでしょうか。鑑定魔法にかけていただくとか?」
「これまでの会話は全てかけている」
「…僕が嘘をついていると?」
「すべて真実だとされている。ただ、一部の理由を“隠して”話している、それは“嘘”と判断されないからな。…お前はどちらだ」
「はは、手厳しいですね。では、そうですね、そちらの召喚した子と一緒にこの家に滞在して頂き、しばらく様子を見るというのはいかがでしょう?」
僕の名前が出されて、一緒に魔王レイが滞在するのはどうかと提案してきた。
魔王レイがちらりと僕の方を見て、一瞬どうしようかと考えるようなそぶりを見せたが、すぐに先ほどからの真剣な表情を見せる。
やっぱり実際に会うと、ゲームとちょっと印象が違うなと僕は思った。
というかとても自然な流れで僕がここにしばらく滞在することになっている気がする。
なので、
「あの、僕、すぐにお家に返してもらえないんですか?」
「えっと、身代わりをお願いするから、その役目が終わるまでに帰還用の手はずは整えればいいかなって」
「…」
「僕の危機なのでお願いしたいのだけれど、ダメかな」
「…どうせ帰れないのであれば…え?」
そう僕が答えるとレイが僕を彼の後ろに隠して、
「その“役目が終わるまで”というのは、やはり理由があってか?」
「さっき話したルイーズちゃんの身代わりですよ。…それほど時間がかからないと思いますが。両親に紹介したりとかちょっとした辻褄合わせをしたいだけですし」
「…嘘は言っていないようだな。一体どういう性格をしているんだ? 仮にも、勇者召喚をする重要な役目があるだろう?」
「一体何百年平和な時代が続いていると思っているんですか。もうすでに家が勇者召喚の家系なんて、“形骸化”してますよ」
「…それにしてももっとこう…」
「僕はね…その場の危機が乗り越えられればそれでいいんです」
そこでハロルドさんが、今までで一番いい笑顔でそう言い切り、その一方で魔王レイは絶句しているようだったのだった。
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