2 / 4
妹に借りた乙女ゲーム
しおりを挟む
魔王レイ・ザリオン。
どうして彼の名前を知っていたかというと、妹の乙女ゲームで出てきたからだ。
攻略対象の一人で、巨大な力を持つ魔王、という設定だった。
俺様キャラよりではあったが、彼も彼で大変なようだった。
因みに僕がこのゲームで選んだ相手は、ゲーム内に出てくるツンデレ悪役令嬢ちゃんでした。
そう、実はこのゲーム百合イベントが一つだけあって、それが主人公の義理の姉である悪役令嬢ちゃんなのだ。
設定上は、公爵家に引き取られた聖女の力を持つ主人公の女の子に意地悪をしちゃうんだけれど、いざという時は手助けしてくれるし、貴族の嗜みみたいなものも教えてくれるしと実は結構いい子だったというのが段々分かってくるのだ。
しかもどうして主人公を嫌っていたのかというと、父親が亡くなった母親を愛していなかったのかとか、引き取った主人公が本当は父親の愛人の子だったんじゃないか、といった様々な不安からだったりする。
そこを付け込まれ大変なことになったが、結局は、同い年とはいえ兄弟が出来たのが嬉しかったのとか、命がけで主人公を…といったような、しかも努力家の黒髪美人でとても強い(武術学業魔法全部の才色兼備キャラ)とか、もう主人公にデレた後はもう、もう…。
ただこの悪役令嬢ちゃんは主人公との対立の関係で、この国の王子に婚約破棄をされてしまったりする。
それでその王子の方に主人公ちゃんがつくルートが出来るが、ここで最大の敵として悪役令嬢ちゃんが現れるルートがある。
結局は悪役令嬢ちゃんは操られていただけなので、和解し、その後、王子と悪役令嬢ちゃんルートに分かれるのだが…もちろん僕は悪役令嬢ちゃんルートを選びました。
仲のいい女の子たちの百合は尊い…。
そんな感じで一通り攻略したゲームの中で覚えていた名前を僕は口にした。
そういえばこの魔王レイ・ザリオン、悪役令嬢ちゃんとくっつくエンドがあるらしい。
百合の間に挟まる男など許さん。
どんなにイケメンでも許さん、などと僕が一瞬の間に思い出しているとそこで、
「そういえば異世界人は召喚される世界の事を何らかの形で“知っている”らしいな。それの影響か?」
「え、えっと、おそらくは」
「不安になる答え方をするな。…まあいい。一般的にオレの顔が認知されているというわけではなさそうだし」
「知られたくないんですか?」
「面倒くさいだろう? 刺客とか」
「? でも強いんでしょう?」
「…自分のすぐそばにハエが飛んでいたら鬱陶しいだろう?」
呆れたように言われて、そこで彼も着ているような黒いローブを一着取り出したかと思うと、僕の頭にかぶせた。
「もごっ、何を…」
「黒髪はこの世界では“えろい”と思われるんだ」
「え?」
「ただでさえ童顔で可愛いのに黒髪という色香で、それに惑わされる奴がいるぞ」
「ええ!」
「だからそれで隠しておけ。まだ自分がどういった能力があるかも分からないし、目立たない方が良いだろう」
「う、うん。ありがとう」
そう僕が素直にお礼を言うと、何故かレイがそっぽを向いて震えている。
どうしたのだろう?
と、そこでレイが、
「都市に行くぞ。ここから一時間くらい歩いてつく。そこにお前を召喚した…リザルト公爵家がある。そこに行って、少しお話が必要そうだな」
少し怒ったようにレイが、悪役令嬢ちゃんの家の名前を告げたのだった。
どうして彼の名前を知っていたかというと、妹の乙女ゲームで出てきたからだ。
攻略対象の一人で、巨大な力を持つ魔王、という設定だった。
俺様キャラよりではあったが、彼も彼で大変なようだった。
因みに僕がこのゲームで選んだ相手は、ゲーム内に出てくるツンデレ悪役令嬢ちゃんでした。
そう、実はこのゲーム百合イベントが一つだけあって、それが主人公の義理の姉である悪役令嬢ちゃんなのだ。
設定上は、公爵家に引き取られた聖女の力を持つ主人公の女の子に意地悪をしちゃうんだけれど、いざという時は手助けしてくれるし、貴族の嗜みみたいなものも教えてくれるしと実は結構いい子だったというのが段々分かってくるのだ。
しかもどうして主人公を嫌っていたのかというと、父親が亡くなった母親を愛していなかったのかとか、引き取った主人公が本当は父親の愛人の子だったんじゃないか、といった様々な不安からだったりする。
そこを付け込まれ大変なことになったが、結局は、同い年とはいえ兄弟が出来たのが嬉しかったのとか、命がけで主人公を…といったような、しかも努力家の黒髪美人でとても強い(武術学業魔法全部の才色兼備キャラ)とか、もう主人公にデレた後はもう、もう…。
ただこの悪役令嬢ちゃんは主人公との対立の関係で、この国の王子に婚約破棄をされてしまったりする。
それでその王子の方に主人公ちゃんがつくルートが出来るが、ここで最大の敵として悪役令嬢ちゃんが現れるルートがある。
結局は悪役令嬢ちゃんは操られていただけなので、和解し、その後、王子と悪役令嬢ちゃんルートに分かれるのだが…もちろん僕は悪役令嬢ちゃんルートを選びました。
仲のいい女の子たちの百合は尊い…。
そんな感じで一通り攻略したゲームの中で覚えていた名前を僕は口にした。
そういえばこの魔王レイ・ザリオン、悪役令嬢ちゃんとくっつくエンドがあるらしい。
百合の間に挟まる男など許さん。
どんなにイケメンでも許さん、などと僕が一瞬の間に思い出しているとそこで、
「そういえば異世界人は召喚される世界の事を何らかの形で“知っている”らしいな。それの影響か?」
「え、えっと、おそらくは」
「不安になる答え方をするな。…まあいい。一般的にオレの顔が認知されているというわけではなさそうだし」
「知られたくないんですか?」
「面倒くさいだろう? 刺客とか」
「? でも強いんでしょう?」
「…自分のすぐそばにハエが飛んでいたら鬱陶しいだろう?」
呆れたように言われて、そこで彼も着ているような黒いローブを一着取り出したかと思うと、僕の頭にかぶせた。
「もごっ、何を…」
「黒髪はこの世界では“えろい”と思われるんだ」
「え?」
「ただでさえ童顔で可愛いのに黒髪という色香で、それに惑わされる奴がいるぞ」
「ええ!」
「だからそれで隠しておけ。まだ自分がどういった能力があるかも分からないし、目立たない方が良いだろう」
「う、うん。ありがとう」
そう僕が素直にお礼を言うと、何故かレイがそっぽを向いて震えている。
どうしたのだろう?
と、そこでレイが、
「都市に行くぞ。ここから一時間くらい歩いてつく。そこにお前を召喚した…リザルト公爵家がある。そこに行って、少しお話が必要そうだな」
少し怒ったようにレイが、悪役令嬢ちゃんの家の名前を告げたのだった。
0
お気に入りに追加
21
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる