1 / 4
突然異世界に飛ばされた件
しおりを挟む
まず現在の状況について説明しようと思う。
①妹に女の子の気持ちが知りたいという理由で借りた乙女ゲームをクリアしたら、異世界に飛ばされた。
②何処か分からない場所に放り出された。(土の道で周りが森。その前、僕はベッドでゴロゴロしながらゲームをしていた)
③ファンタジーっぽい恰好をしている? 黒い布をかぶった見知らぬ男が目の前にいる。
この状況、目の前の人が多分ゲームだと説明してくれる人だと思う。
だがここがもし異世界だと、こちらからお願いしないと説明してもらえないかもしれない。
というわけで僕は目の前の男…フードに隠れて顔がよく見えない、金髪らしい…に話しかけようとした…のだが。
「お前、異世界人だろう」
「! もしかして説明してくれる人!」
そう僕が声をかけると、目の前の男は沈黙した。
僕よりも背が高く、声からして若さそうだ。
そう僕がある種の親しみを覚えていると、
「…とりあえず名前と年齢を聞いておこう。名前は?」
「あ、僕の名前は笛木 唯(ふえき ゆい)、18歳です」
なまえを名乗ると目の前の男が値踏みをするように僕を見て、
「18歳…見た目だともう少し若くて可愛い感じだが、そういうのもこの世界にそこそこいるからそういうものか。俺と同い年なのにこれか」
「今とても失礼な言葉が聞こえた気がするのですが…」
「気にするな。本当の事を言ったまでだ。それで、召喚主にちょっと話を聞かせて貰いたいが…一緒に来てもらえるか?」
「あ、はい。召喚主って分かるんですか?」
「こういった事が出来る人間は限られているからな。ちょっと殴り込み…じゃなかった、話を聞いてくる」
「今とても不穏な言葉が聞こえたのですが…」
そう返すとそこで目の前の相手は沈黙してから、
「それは良いとして、このまま町に行くと目立つな。その黒髪黒目…特に黒髪はあまり良くない。見た目も可愛いし、歩いていると襲われるかもしれないしな」
「…僕、男ですよ?」
「ああ、異性愛者や女性が多い世界から来たのか? 勇者召喚でくる人間は大体そうだからな。確か説明のテンプレを覚えさせられたな…説明内容の、5番目だったか? 『この世界は同性でも魔法の薬で子供が作れるので、同性間でも恋愛対象になる。心せよ』だそうだ。がんばれ」
サラッと僕にとって物凄く重要な事が言われた気がする。
というか今の話はと思いながら、
「同性同士が、よくある?」
「そういった世界だから。大抵異世界人はそれを聞くと驚くらしいな」
「当たり前だぁああああ、え? ぼ、僕、男にいいようにされてしまうという?」
「両想いじゃないと普通は犯罪だから、普通は無理やりエロい意味で襲ってこないぞ。普通は」
「なんで【普通】って強調したんですか!?」
「…まあ、黒髪だしな」
「く、黒髪がって、どういう事なんですか」
「…」
「何で黙るんですか、答えてくださいいいい」
「あ、やめろ、ローブを引っ張るな、ってあああ!」
そこで僕は目の前の男へ、パニックに陥りながら服を引っ張った。
その拍子に、フードが落ちて、
「あ! 魔王のレイ・ザリオンだ」
「…お前、なんで俺の名前を知っているんだ?」
不審そうに目の前の男が僕を見ながら…魔王がそう答えたのだった。
①妹に女の子の気持ちが知りたいという理由で借りた乙女ゲームをクリアしたら、異世界に飛ばされた。
②何処か分からない場所に放り出された。(土の道で周りが森。その前、僕はベッドでゴロゴロしながらゲームをしていた)
③ファンタジーっぽい恰好をしている? 黒い布をかぶった見知らぬ男が目の前にいる。
この状況、目の前の人が多分ゲームだと説明してくれる人だと思う。
だがここがもし異世界だと、こちらからお願いしないと説明してもらえないかもしれない。
というわけで僕は目の前の男…フードに隠れて顔がよく見えない、金髪らしい…に話しかけようとした…のだが。
「お前、異世界人だろう」
「! もしかして説明してくれる人!」
そう僕が声をかけると、目の前の男は沈黙した。
僕よりも背が高く、声からして若さそうだ。
そう僕がある種の親しみを覚えていると、
「…とりあえず名前と年齢を聞いておこう。名前は?」
「あ、僕の名前は笛木 唯(ふえき ゆい)、18歳です」
なまえを名乗ると目の前の男が値踏みをするように僕を見て、
「18歳…見た目だともう少し若くて可愛い感じだが、そういうのもこの世界にそこそこいるからそういうものか。俺と同い年なのにこれか」
「今とても失礼な言葉が聞こえた気がするのですが…」
「気にするな。本当の事を言ったまでだ。それで、召喚主にちょっと話を聞かせて貰いたいが…一緒に来てもらえるか?」
「あ、はい。召喚主って分かるんですか?」
「こういった事が出来る人間は限られているからな。ちょっと殴り込み…じゃなかった、話を聞いてくる」
「今とても不穏な言葉が聞こえたのですが…」
そう返すとそこで目の前の相手は沈黙してから、
「それは良いとして、このまま町に行くと目立つな。その黒髪黒目…特に黒髪はあまり良くない。見た目も可愛いし、歩いていると襲われるかもしれないしな」
「…僕、男ですよ?」
「ああ、異性愛者や女性が多い世界から来たのか? 勇者召喚でくる人間は大体そうだからな。確か説明のテンプレを覚えさせられたな…説明内容の、5番目だったか? 『この世界は同性でも魔法の薬で子供が作れるので、同性間でも恋愛対象になる。心せよ』だそうだ。がんばれ」
サラッと僕にとって物凄く重要な事が言われた気がする。
というか今の話はと思いながら、
「同性同士が、よくある?」
「そういった世界だから。大抵異世界人はそれを聞くと驚くらしいな」
「当たり前だぁああああ、え? ぼ、僕、男にいいようにされてしまうという?」
「両想いじゃないと普通は犯罪だから、普通は無理やりエロい意味で襲ってこないぞ。普通は」
「なんで【普通】って強調したんですか!?」
「…まあ、黒髪だしな」
「く、黒髪がって、どういう事なんですか」
「…」
「何で黙るんですか、答えてくださいいいい」
「あ、やめろ、ローブを引っ張るな、ってあああ!」
そこで僕は目の前の男へ、パニックに陥りながら服を引っ張った。
その拍子に、フードが落ちて、
「あ! 魔王のレイ・ザリオンだ」
「…お前、なんで俺の名前を知っているんだ?」
不審そうに目の前の男が僕を見ながら…魔王がそう答えたのだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる