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新しい召喚者に会いました
その3
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しかも常連客のおっさん達も、ただ者じゃない疑惑が一気に浮上してきた。
ウィルドさんは苦笑しながらも、
「そこは蛇の道は蛇ってな。俺達も若い頃はやんちゃだったってことよ」
しかも、ことわざを使ってる!
「俺達おっさん達はこっそりと、若くて気概ある者達をサポートする連盟を作ってるのよ。『未来ある若者達を支援する会』ってな」
「はぁ……」
そう説明されると、なんとなく納得できる。
私を拾ってここにおいてくれたことも、気軽に澪ちゃんも宿においてくれたことも。
こうして城から出て修行を始めた若者達を修行の場として洞窟に導いたことも。
――そういう連盟で優しくしてくれただけで、私だけじゃなかったってことなんだ。
(……あれ? なんだか私、すごくガッカリしてない?)
良いじゃない。王様も王太子様も召喚しとおいて援助は均等じゃないし。
第一、一緒に酒池肉林を楽しいんでるたわけで、全く役になってないし。
だからこそ、こうしてウィルドさん達が支援してくるってことはとても助かることなんだ。
なのに、むー、と口を尖らせてしまう。
「――それでな、ミサト、聞いてるか?」
「は、はい?」
「大丈夫か?まだ、雷矢の影響が残っているのか?」
ウィルドさんが心配して頬に触れてきた。
あんまり優しく触れるので――こそばゆい。
「くすぐったいですよ、ウィルドさん! 本当にもう大丈夫です」
「嘘は言うなよ? 痺れている感覚があったらすぐに言え」
「はーい」
こそばゆいのは頬じゃない。
(……私の胸の中だ)
同時――分かってしまう。
私、自分以外の人にウィルドさんが親切にしているの嫌なんだ。
これがなんの言葉がつく感情なのか、私だって分かる。
2、5次元や2次のキャラクターを追うのと似ているようで、違う色。
私――
(リアでは枯れ専だったのか!!)
新たな自分発見に「ほぉぉおおおおおお」と感激している私に、
「ほら、これからミオ奪還の作戦会議するんだから」
とウィルドさんが突っ込んできた。
「そうでした。澪ちゃんを救出して勇者とか王様とかボコボコにして、軌道修正するんですよね!」
そうでした。
ウィルドさんへの気持ちを確認したけれど、今は澪ちゃんのことを最優先に考えないと。
昨日、目の前で落ちた私を澪ちゃんは、きっと心配している。
元気な姿を見せて、騎士のごとく助けにいけば安心すると思う。
「『視た』ところ、アントンはLV45。ジョンはLV48。キアラはLV50。うん、あの短い期間でよくここまでレベルを上げたものだ」
「はい? レベル? ウィルドさん、ステータス視れるんですか?」
そんなこと、初めて聞きましたが?
「俺はな、ただ者ではないおっさんなんだ。鍛え方が違う」
いや――それはよく分かりますが。
いつ寝ているのか分からない人だし。だらしなく寝そべっているところなんて見たことなどございません。
これにはアントンさん達も驚いている。
「それに、ミサトも修行してレベルを上げていけば高確率で視られるようになるぞ」
「――本当ですか!?」
「ああ。じゃないと、有効な治癒方法が探れないだろう? そうすれば少しの力でパーティメンバーのステータス異常や体力を回復できる。もっと上がれば自分の力を魔法使いなど魔力を行使するメンバーに与えることも可能になってくる」
「私ってすごいじゃないですか~」
これぞ支援系キャラ。
そこでハッと気づく私。
「ウィルドさん、私のレベルは? 視れますか?」
「勿論。もう視てる」とウィルドさん。
「いくつです?」
「LV79」
「えっ……?」
――嘘?
ウィルドさんは苦笑しながらも、
「そこは蛇の道は蛇ってな。俺達も若い頃はやんちゃだったってことよ」
しかも、ことわざを使ってる!
「俺達おっさん達はこっそりと、若くて気概ある者達をサポートする連盟を作ってるのよ。『未来ある若者達を支援する会』ってな」
「はぁ……」
そう説明されると、なんとなく納得できる。
私を拾ってここにおいてくれたことも、気軽に澪ちゃんも宿においてくれたことも。
こうして城から出て修行を始めた若者達を修行の場として洞窟に導いたことも。
――そういう連盟で優しくしてくれただけで、私だけじゃなかったってことなんだ。
(……あれ? なんだか私、すごくガッカリしてない?)
良いじゃない。王様も王太子様も召喚しとおいて援助は均等じゃないし。
第一、一緒に酒池肉林を楽しいんでるたわけで、全く役になってないし。
だからこそ、こうしてウィルドさん達が支援してくるってことはとても助かることなんだ。
なのに、むー、と口を尖らせてしまう。
「――それでな、ミサト、聞いてるか?」
「は、はい?」
「大丈夫か?まだ、雷矢の影響が残っているのか?」
ウィルドさんが心配して頬に触れてきた。
あんまり優しく触れるので――こそばゆい。
「くすぐったいですよ、ウィルドさん! 本当にもう大丈夫です」
「嘘は言うなよ? 痺れている感覚があったらすぐに言え」
「はーい」
こそばゆいのは頬じゃない。
(……私の胸の中だ)
同時――分かってしまう。
私、自分以外の人にウィルドさんが親切にしているの嫌なんだ。
これがなんの言葉がつく感情なのか、私だって分かる。
2、5次元や2次のキャラクターを追うのと似ているようで、違う色。
私――
(リアでは枯れ専だったのか!!)
新たな自分発見に「ほぉぉおおおおおお」と感激している私に、
「ほら、これからミオ奪還の作戦会議するんだから」
とウィルドさんが突っ込んできた。
「そうでした。澪ちゃんを救出して勇者とか王様とかボコボコにして、軌道修正するんですよね!」
そうでした。
ウィルドさんへの気持ちを確認したけれど、今は澪ちゃんのことを最優先に考えないと。
昨日、目の前で落ちた私を澪ちゃんは、きっと心配している。
元気な姿を見せて、騎士のごとく助けにいけば安心すると思う。
「『視た』ところ、アントンはLV45。ジョンはLV48。キアラはLV50。うん、あの短い期間でよくここまでレベルを上げたものだ」
「はい? レベル? ウィルドさん、ステータス視れるんですか?」
そんなこと、初めて聞きましたが?
「俺はな、ただ者ではないおっさんなんだ。鍛え方が違う」
いや――それはよく分かりますが。
いつ寝ているのか分からない人だし。だらしなく寝そべっているところなんて見たことなどございません。
これにはアントンさん達も驚いている。
「それに、ミサトも修行してレベルを上げていけば高確率で視られるようになるぞ」
「――本当ですか!?」
「ああ。じゃないと、有効な治癒方法が探れないだろう? そうすれば少しの力でパーティメンバーのステータス異常や体力を回復できる。もっと上がれば自分の力を魔法使いなど魔力を行使するメンバーに与えることも可能になってくる」
「私ってすごいじゃないですか~」
これぞ支援系キャラ。
そこでハッと気づく私。
「ウィルドさん、私のレベルは? 視れますか?」
「勿論。もう視てる」とウィルドさん。
「いくつです?」
「LV79」
「えっ……?」
――嘘?
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