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第48話 明るい未来計画
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アリサと恋人になってから一週間。それなりに変化があった。
これまで意識的にそう言う視線を向けないようにしていたのだが、一度身体を合わせてしまうと気持ちが溢れてしまい、毎晩彼女を求めるようになってしまった。
「だからね、魔法には六の属性があって、基本的な習得方法は同じなの。まず一つの属性を極めるところから始めるのが、ミナトなら効率がいいと思うわよ」
馬の動きに合わせてアリサの身体が揺れ、俺の胸に背中がつく。うなじが見え、少し角度を変えると、彼女の胸元に視線が吸い寄せられそうになる。
そう言う目で見てしまうのは失礼だとわかっているのだが、アリサの魅力は肌を合わせれば合わせるほどに高まり、つい最近まで童貞っだった自分には刺激が強かった。
「聞いてる?」
俺の反応がなかったからか、彼女が振り向いた。
少し拗ねたような態度も可愛く見えるので、俺はアリサから目が離せなくなる。
そんなふうに、じっと彼女の横顔を見ていると、
「あ、あまりじっと見ないでよ」
アリサは顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。一線を越えたにもかかわらず、ピュアで、三日に一回は彼女からベッドに誘ってくるのだが、その時も恥ずかしそうにしているので、見ていて眼福だ。
「それで、魔法の使い方だけど、こんな感じでいいんだよな?」
俺は、数日前にならった魔法の使い方を実践して見せる。
体内にある魔力は無属性なので、最初にしなければならない訓練は、魔力を六属性に変化させること。
指先から風を起こして見せると、アリサは驚いた表情を浮かべた。
「あんた、いつの間に?」
「アリサが、人間にはそれぞれ相性のいい属性があると言っただろ? 色々試してみたけどどうやら風が一番扱いやすいみたいだ」
「あー、普通は得意属性を探ったり、感覚を掴むまでそれなりに無駄に魔力を消耗するんだけど……」
「ああ、エリクサーで何とかしたから」
アリサが力尽きて寝た後、彼女の寝顔を眺めるかたわらに特訓をしたのだ。
「ミナトといるとこっちが自信なくしちゃうわね。私これでもアカデミーで主席だったんだけど」
アリサは嫉妬混じりの視線を俺に向けると、頬を膨らませた。
「可愛いな」
思わず、素直な感想が漏れてしまう。
「か、かかか、かわ……」
こちらの世界の人間共通なのかわからないが、アリサはキザなセリフに弱い。
少し耳元で囁くと顔を赤くしてしまう。
俺はこの可愛い生き物のより可愛い姿が見たくて、ついついからかってしまう。
「あくまで俺はエリクサーを使った魔力のごり押しだからな、アリサみたいにコツコツと努力できる人間の方が凄いと思うぞ」
無限にチャレンジできるというのなら、躊躇うことなく魔力を注ぎ込むこともできる。
アリサは魔力がまだそれ程多くない学生時代から特訓をし、三年間主席の座を誰にも譲らなかったというのだから、そちらの方が評価されるべきだ。
おれがそう言うと、アリサは俺に背中を預けてくる。最近、こうして甘えるような仕草を見せることが多くなった。
「ありがと……」
アリサは小声でポツリと呟く。俺が右手で風を起こしているので聞こえないと判断したのかもしれないが、俺が彼女の声を聞き漏らすはずもなく、魔法を止めるとアリサの頭を撫で始めた。
「亜空間へのゲートよ、開け」
目の前の空間が引き裂かれ、暗闇が生まれる。
「収納魔法はもう完璧みたいね」
アリサが太鼓判を押してくれる中、俺は資材の回収を始めた。
「それにしても、これを持って帰ったところで金貨二万枚にしかならないんだよな?」
「しかって……十分大金だと思うのだけど?」
アリサは眉根を寄せるとそう言葉にする。
「でも、俺が身に着けてる『護りのネックレス』と、アリサが身に着けている『魔導師のブレスレット』の二つだけで金貨二万五千枚したんだぞ?」
「それは金銭感覚がおかしいの! 普通、四人家族が一年間で使う金貨が大体五十枚。平均年齢が七十歳と考えても三千五百枚あれば十分よ」
前にも聞いた覚えがある。現時点でこいつを売っぱらえば、生きていくのには問題ないだけの金を稼ぐことができるのだ。
「他にも有用な魔導具があれば買っておきたいし、将来、俺とアリサの間に子どもができたら、なるべく不自由をさせたくないだろ?」
庭付きのそこそこの屋敷の値段を調べてみたところ、金貨二万枚はするようだ。
「こ、こど……ま、まだ早いわよそんなの」
何を想像したのかアリサの顔が赤くなる。俺はそんな彼女をニヤニヤしながら見ていたのだが、コホンと咳ばらいをすると仕切り直された。
アリサも段々と俺のからかいに慣れてきたようだ。
「言っとくけど、王都の施設の充魔は十分だから、この前みたいな収入はしばらく期待できないし、錬金術ギルドで買い取れる素材も限界があるからね?」
アリサはそう言うと、俺を見て溜息を吐いた。
「ミナトはもう少しお金のありがたみを学ぶべきよ、これまでが簡単に稼げたから、楽に収入を得られると思わない方がいいわ」
「それは確かにそうだな」
異世界に召喚された時点で割と何とかなると思い、稼ぎのすべてを装備に当て続けてきた。
アリサから購入した『魔導剣』もそうだし『護りのネックレス』『魔導師のブレスレット』は重宝できる効果を発揮している。
だが、この先、誰かに騙されて外れを掴まされたり、立ち回りをしくじって仕事がもらえなくなる可能性もあるのだ。
そうならない為には、今のうちに手を打っておく必要がある。
「じゃあ、財布の管理はアリサに頼む」
「いいの? かなりの大金なんだけど?」
「アリサのことは信頼しているし、将来を考えると今のうちに預けておくのも手かなと思って」
その言葉に、アリサは俺をじっと見る。そして溜息を吐くと、
「わかった。預かるわよ」
俺の提案を受け入れるのだった。
これまで意識的にそう言う視線を向けないようにしていたのだが、一度身体を合わせてしまうと気持ちが溢れてしまい、毎晩彼女を求めるようになってしまった。
「だからね、魔法には六の属性があって、基本的な習得方法は同じなの。まず一つの属性を極めるところから始めるのが、ミナトなら効率がいいと思うわよ」
馬の動きに合わせてアリサの身体が揺れ、俺の胸に背中がつく。うなじが見え、少し角度を変えると、彼女の胸元に視線が吸い寄せられそうになる。
そう言う目で見てしまうのは失礼だとわかっているのだが、アリサの魅力は肌を合わせれば合わせるほどに高まり、つい最近まで童貞っだった自分には刺激が強かった。
「聞いてる?」
俺の反応がなかったからか、彼女が振り向いた。
少し拗ねたような態度も可愛く見えるので、俺はアリサから目が離せなくなる。
そんなふうに、じっと彼女の横顔を見ていると、
「あ、あまりじっと見ないでよ」
アリサは顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。一線を越えたにもかかわらず、ピュアで、三日に一回は彼女からベッドに誘ってくるのだが、その時も恥ずかしそうにしているので、見ていて眼福だ。
「それで、魔法の使い方だけど、こんな感じでいいんだよな?」
俺は、数日前にならった魔法の使い方を実践して見せる。
体内にある魔力は無属性なので、最初にしなければならない訓練は、魔力を六属性に変化させること。
指先から風を起こして見せると、アリサは驚いた表情を浮かべた。
「あんた、いつの間に?」
「アリサが、人間にはそれぞれ相性のいい属性があると言っただろ? 色々試してみたけどどうやら風が一番扱いやすいみたいだ」
「あー、普通は得意属性を探ったり、感覚を掴むまでそれなりに無駄に魔力を消耗するんだけど……」
「ああ、エリクサーで何とかしたから」
アリサが力尽きて寝た後、彼女の寝顔を眺めるかたわらに特訓をしたのだ。
「ミナトといるとこっちが自信なくしちゃうわね。私これでもアカデミーで主席だったんだけど」
アリサは嫉妬混じりの視線を俺に向けると、頬を膨らませた。
「可愛いな」
思わず、素直な感想が漏れてしまう。
「か、かかか、かわ……」
こちらの世界の人間共通なのかわからないが、アリサはキザなセリフに弱い。
少し耳元で囁くと顔を赤くしてしまう。
俺はこの可愛い生き物のより可愛い姿が見たくて、ついついからかってしまう。
「あくまで俺はエリクサーを使った魔力のごり押しだからな、アリサみたいにコツコツと努力できる人間の方が凄いと思うぞ」
無限にチャレンジできるというのなら、躊躇うことなく魔力を注ぎ込むこともできる。
アリサは魔力がまだそれ程多くない学生時代から特訓をし、三年間主席の座を誰にも譲らなかったというのだから、そちらの方が評価されるべきだ。
おれがそう言うと、アリサは俺に背中を預けてくる。最近、こうして甘えるような仕草を見せることが多くなった。
「ありがと……」
アリサは小声でポツリと呟く。俺が右手で風を起こしているので聞こえないと判断したのかもしれないが、俺が彼女の声を聞き漏らすはずもなく、魔法を止めるとアリサの頭を撫で始めた。
「亜空間へのゲートよ、開け」
目の前の空間が引き裂かれ、暗闇が生まれる。
「収納魔法はもう完璧みたいね」
アリサが太鼓判を押してくれる中、俺は資材の回収を始めた。
「それにしても、これを持って帰ったところで金貨二万枚にしかならないんだよな?」
「しかって……十分大金だと思うのだけど?」
アリサは眉根を寄せるとそう言葉にする。
「でも、俺が身に着けてる『護りのネックレス』と、アリサが身に着けている『魔導師のブレスレット』の二つだけで金貨二万五千枚したんだぞ?」
「それは金銭感覚がおかしいの! 普通、四人家族が一年間で使う金貨が大体五十枚。平均年齢が七十歳と考えても三千五百枚あれば十分よ」
前にも聞いた覚えがある。現時点でこいつを売っぱらえば、生きていくのには問題ないだけの金を稼ぐことができるのだ。
「他にも有用な魔導具があれば買っておきたいし、将来、俺とアリサの間に子どもができたら、なるべく不自由をさせたくないだろ?」
庭付きのそこそこの屋敷の値段を調べてみたところ、金貨二万枚はするようだ。
「こ、こど……ま、まだ早いわよそんなの」
何を想像したのかアリサの顔が赤くなる。俺はそんな彼女をニヤニヤしながら見ていたのだが、コホンと咳ばらいをすると仕切り直された。
アリサも段々と俺のからかいに慣れてきたようだ。
「言っとくけど、王都の施設の充魔は十分だから、この前みたいな収入はしばらく期待できないし、錬金術ギルドで買い取れる素材も限界があるからね?」
アリサはそう言うと、俺を見て溜息を吐いた。
「ミナトはもう少しお金のありがたみを学ぶべきよ、これまでが簡単に稼げたから、楽に収入を得られると思わない方がいいわ」
「それは確かにそうだな」
異世界に召喚された時点で割と何とかなると思い、稼ぎのすべてを装備に当て続けてきた。
アリサから購入した『魔導剣』もそうだし『護りのネックレス』『魔導師のブレスレット』は重宝できる効果を発揮している。
だが、この先、誰かに騙されて外れを掴まされたり、立ち回りをしくじって仕事がもらえなくなる可能性もあるのだ。
そうならない為には、今のうちに手を打っておく必要がある。
「じゃあ、財布の管理はアリサに頼む」
「いいの? かなりの大金なんだけど?」
「アリサのことは信頼しているし、将来を考えると今のうちに預けておくのも手かなと思って」
その言葉に、アリサは俺をじっと見る。そして溜息を吐くと、
「わかった。預かるわよ」
俺の提案を受け入れるのだった。
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