2 / 9
第1章
2
しおりを挟む
カアムを見つけたのは、1ヶ月ほど前のこと。
魔法学院へ入学したブラッドだが、その魔法の腕前はすでに現役の魔法師でもトップクラスのものだった。
今更、学院で学ぶことなどないようなものだが、学院の卒業が王立魔法師団への入団資格になっている為、仕方なくだ。
本音をいえば、師団にもこれといった執着はなく、ただ他にやりたいこともなく。
魔法の才能はあったので、それを活かせる職を選んだだけだった。
もちろん、親からの期待も分かっているし、師団からは入学前の時点で異例の推薦も受けている。
周囲の者からすれば嫉妬するような人生も、ブラッドにはただただ退屈なだけ。退屈な日常は、段々と彼の口数と表情を削っていった。
そのくせ、自分以外の者達が騒ぐのだから、煩わしくて仕方がなかった。
そしてそれは、学院に入学してから更に悪化した。
魔法の腕前だけでも、入学前から有名だったブラッド。
しかし、入学して本人を実際に見た一部の生徒が大騒ぎしたのだ。
一部の生徒とは、女生徒。
その理由は、ブラッドの容姿。
艶のある漆黒の髪に、幻想的なアメジストの瞳。整った顔立ちに、スラリとした体躯。
無口で無表情なところが残念だ、と両親が思っていた部分も、女生徒たちには「ミステリアスで素敵!」と捉えられていた。
入学してから同期も先輩も関係なく、全く知らない人間に囲まれだしたブラッドは、さらに無口・無表情に拍車がかかった。
もちろん、纏わり付かれるのは鬱陶しいので、序盤ではっきりと「邪魔」と言った。
なのに、それを聞いた女生徒たちは何故か盛り上がり、一向に離れる気配がない。意味がわからなかった。
魔法学院へ入学したブラッドだが、その魔法の腕前はすでに現役の魔法師でもトップクラスのものだった。
今更、学院で学ぶことなどないようなものだが、学院の卒業が王立魔法師団への入団資格になっている為、仕方なくだ。
本音をいえば、師団にもこれといった執着はなく、ただ他にやりたいこともなく。
魔法の才能はあったので、それを活かせる職を選んだだけだった。
もちろん、親からの期待も分かっているし、師団からは入学前の時点で異例の推薦も受けている。
周囲の者からすれば嫉妬するような人生も、ブラッドにはただただ退屈なだけ。退屈な日常は、段々と彼の口数と表情を削っていった。
そのくせ、自分以外の者達が騒ぐのだから、煩わしくて仕方がなかった。
そしてそれは、学院に入学してから更に悪化した。
魔法の腕前だけでも、入学前から有名だったブラッド。
しかし、入学して本人を実際に見た一部の生徒が大騒ぎしたのだ。
一部の生徒とは、女生徒。
その理由は、ブラッドの容姿。
艶のある漆黒の髪に、幻想的なアメジストの瞳。整った顔立ちに、スラリとした体躯。
無口で無表情なところが残念だ、と両親が思っていた部分も、女生徒たちには「ミステリアスで素敵!」と捉えられていた。
入学してから同期も先輩も関係なく、全く知らない人間に囲まれだしたブラッドは、さらに無口・無表情に拍車がかかった。
もちろん、纏わり付かれるのは鬱陶しいので、序盤ではっきりと「邪魔」と言った。
なのに、それを聞いた女生徒たちは何故か盛り上がり、一向に離れる気配がない。意味がわからなかった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
一切笑わない隣の席の結城さん
久方
恋愛
冷徹にして鉄壁にして無口な少女、結城 葵(ゆうしろ あおい)は絶対に笑わない。
そんな隣の席の男子、平 吾郎(たいら ごろう)は『学級費事件』で結城を助けたのがきっかけで絆が芽生えた。
結城が本物の笑顔を見せる時、吾郎に芽生えた感情とは!?
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
前世馴染と来世でも絶対に一緒になるハナシ
赤茄子橄
恋愛
初めて目が合った。その瞬間に、運命だと悟った。
この人が自分の生涯の伴侶となる守るべき人であること、相手が今考えていること、次に自分が言うべきこと、そのどれもが理解できた。
理由はわからない。でも結論だけはわかる。
僕達に言葉はいらないはず。何も言わなくても全部わかると信じられる。
でも今だけは声に出して伝えたい。
「来世でも、必ず、キミのすべてを、僕のものにしてみせるよ」
「来世でも、必ず、アナタのすべてを、私のものにしてみせるわ」
誓い合うのは「現世」でのことではなく、「来世」に目掛けたこと。
現世は当然、イチャラブできることは互いにわかりきっているから。
幼い2人は周囲の驚きと混乱を置き去りに強く抱きしめ合い、唇を奪い合う。
今の本人たちに自覚はないが、<前世馴染>の2人。
到底9歳の少年少女がするものとは思えない濃厚なキスを見せつけるように絡み合う2人の間は言葉がなくても一切すれ違いのない物語。
来世でも今以上の幸せを送るためのハッピーライフを「繰り返す」!
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様で同時に投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる