NATE

九時木

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14. 日記2

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 電子レンジからホットミルクを取り出し、ローテーブルに静かに置く。
 私は日記を開け、ペンを走らせる。今日を振り返るための「儀式」が始まった。


 『10月6日 午後23時30分

 カフェでダンという男と出会い、夜に"NATEを語る会"に参加した。

 会場では、NATEについての様々な議論がなされていた。
 参加者は意気揚々としており、絶えず意見を交わしていた。

 地球滅亡説に、NATE陰謀論。メンバーはNATEに対し、思い思いに想像を膨らませているようだった。

 都市伝説めいた所もあるが、彼らの熱意には目を見張るものがあった』


 ホットミルクを一口飲み、日記をぼんやりと眺める。
 私はふと議論後のダンとのやり取りを思い出し、その重要事項を書き足した。


 『今日から、私はNATESの一員となった。
 今の所、討論に参加する予定はない。だが、メンバーの熱中ぶりには興味がある。

 NATEは確かに人々の関心を引いている。NATEがなぜあれほど人々を夢中にさせるのか、私はもっと知りたい。

 彼らの話を聞けば、その理由がわかるかもしれない。次は8日に行われる。仕事帰りに、またあの場所に寄ってみたい』


 私はペンを止め、日記をぱたりと閉じる。
 ソファにもたれかかり、沸き立った会場を思い出す。

 若々しい顔をしたメンバーたち。私とそう年が変わらないような人々が、討論を繰り広げていた。
 やはり、NATEは若者の間で流行っているのだろう。

 興奮冷めらやぬ今晩。私はNATESに参加したことを、改めて実感する。
 NATESはどれくらいの規模なのか。他にも活動はしているのか。まだ知らぬうちに参加したことに、不安も覚える。

 それでも、私はちょっとした刺激に満たされていた。
 NATEは目視できない存在とされているが、人々によって徐々に輪郭を与えられ、実体化しつつあるようだった。


 情報収集のため、私はソファにもたれながら、『NATES』のウェブサイトを確認していた。
 ホームページの下には、カレンダーが載せられていた。
 土、日、火、木は赤く染まり、第1木曜日と第3木曜日には青い丸印がつけられている。

 説明を見ると、それぞれの木曜日には講演会があるようだ。
 講演会のページには、次のメンバーの名が書かれていた。


 『レオ』、『ゴス』、『ザイオン』、『ダン』


 どうやらこの4人が講演者のようだ。
 私はダンとレオの名前に目を見開く。どちらも今日会った人物だ。

 ダンは『NATES』を、彼と友人で立ち上げた団体だと言っていた。もしかすれば、この4人がその人達なのかもしれない。

 私は日記に4人の名前をメモする。そうして日記を閉じ、ホットミルクで一息つく。

 NATEについて、彼らの話が聞ける時が来るのだろうか。私は1人夢見心地になりながら、しばらくウェブサイトを眺めていた。
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