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第3章:狂った時間と狂わせる科学
41 骸骨顔の追跡者
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時は戻って夢の星への降下後。
「は? クルマに乗ってたのに、何でこんな所にいるんだ?」
周囲を見るが、雑木林という感じだ。
「完全に孤立したな。それに、こんな視界の悪い時に林なんか入ったら終わりだな」
目の前に、大きな閉ざされた門があり、その先にとても大きい建物が見える。
「あれに入るしかないか」
タツロウは門に手をかけ、押してみた。
「うん?」
門はすんなり開いたが、背後から視線をジリジリと感じる。
「見られているだけか?」
開いた門をくぐる。
そして、近づいた屋敷はとても大きく、そしてすごく薄気味悪い感じがした。
建付けの悪い窓があるのか、風でカタカタ鳴っている箇所が多い。
「ぱっと見、洋館だな。呼び鈴は無いな。ん? 不用心だなー。入るぜ」
ドアノブを捻ると、何事もなく開いた。
そして大きな扉を抜けた。
「中は外よりもっと薄暗いな。何かが出る雰囲気だ」
タツロウは怖い物が好きなのか、高ぶっているテンションを抑えている様子。
落ち着かせるためなのかわからないが、タバコを取り出してそれに火を付け吸い始めた。
「俺1人がこの洋館に飛ばされたってことは、ここに要救助者がいるってことだな。んで、俺が適任と。わくわくしてきたぜ」
タツロウは周囲を見渡す。
吹き抜け構造になっており、その中央に2階への階段がある。
1階と2階の左右それぞれに扉があり、扉同士向き合っている形になっていた。
中央の階段の奥が玄関から見えないが、建物は左右に広がっていたので奥への扉は無いだろう。
「階段の下に壺か。これはあれだな。あの怪しい壺じゃない普通のやつだ」
タツロウはその壺の中を覗き込む。
「鍵見つけたぜ!」
鍵を拾ったタツロウは、近くの扉に近づき鍵を差し込んだ。
「回らん! 次だ」
1階の反対側の扉にも試したが、回らなかった。
そして2階の左の両開きの扉の前に立つ。
「3箇所目だ」
鍵を回すと、カチャという音が鳴り響いた。
「ビンゴだ!」
両開きの扉の片方を開けると、ギィィィと物凄い建付けの悪い音が響き渡った。
ある程度開けた後閉めようとすると、何かに引っかかって閉めることができない。
「建付け悪いなー。しょうがないから開けっ放しにするか」
扉を開けっ放しにし、中へと入る。
そこは廊下になっていて、その両サイドの壁にずらりと古びたフランス人形が並べて置かれていた。
タツロウは人形を警戒しながら進む。
「これはこれは雰囲気あるな。うん? また見られている気がするな」
タツロウはホルスターから銃を抜く。
すると、
「おわ! なんか飛んできたな」
タツロウは咄嗟に飛んできた何かを撃ち落とした。
撃ち落とした物を見ると、そこには古びた人形が転がっていた。
「こいつが飛んできたのか。それとも誰かが投げた?」
タツロウは周囲を確認するも、誰もいない。
「いや、勝手に飛んできたのか」
壁に並んでいる人形が、一斉にこちらを見た。
「来るなら来いよ」
銃を構えると、人形がガタガタと動き出した。
そして、
「おっとっと!」
壁のフランス人形が全て浮き、タツロウに目がけて襲い掛かってきた。
更に、廊下の奥から何かが倒れる音が聞こえた。
「よ! っと。ほ! っと。なんだなんだ?」
襲いかかってくるフランス人形を処理しながら、奥の方を見るタツロウ。
そして、奥から真っ直ぐタツロウに向かって飛んできた物を、タツロウは最小限の動きで避ける。
「あ? てめぇ、何するだよ。おお! でかいなお前」
花瓶を投げてきた者が近づき、月光に照らされて姿を現した。
それは、全身を黒のローブで隠した長身の骸骨顔だった。
その骸骨顔は、壁側にあったキャビネットの中から、大きな鎌を取り出した。
そしてそれを構えると、持ち手の部分が伸びて、よく本とかに描かれる死神が持つ巨大な鎌みたいな見た目に変わった。
「これはまたおっかない物を出してきたな。俺が急いでいるからな! じゃあな!」
タツロウはそう言いながら、骸骨顔に向かって走り出す。
「これはよく効く酒だ。取っておけ!」
そしてすれ違いざまに、骸骨顔の足元に液体の入った瓶を投げた。
その瓶が床に落ちて割れ、骸骨顔の革靴がずぶ濡れになった。
「これはおまけだ。身体が燃えるように熱くなるんだぜ?」
タツロウは咥えていたタバコをその液体に投げ、そして
「ぐおおおお!」
骸骨顔は一気に燃えたローブを脱ぎ去り、エントランスホールの方まで走っていった。
「さて、俺はこっちの扉に入るか」
骸骨顔が出てきた扉を開け、中を見る。
扉を開けると、薄暗い空間が広がっていた。
電気は点いておらず、大きな窓から入る月光が部屋の半分を照らしている。
テーブルやタンスなどの物が置けるスペース全てに、廊下にもあったフランス人形がぎっしりと並べられていた。
タツロウは見物するように、部屋の中をゆっくり歩き眺めている。
「これも飛んできたらたまらんな」
声に反応したのか、人形がカタカタと揺れ始め、廊下の時と同じように浮いて飛んできた。
タツロウは飛んできた人形を撃ち落とす。
「ちっ! 視界が悪いぜ。どこかに灯りはないか?」
人形を撃ち落としながら灯りを探していると、
「お、あった!」
ロウソク台があったので、それを部屋の真ん中にあったテーブルの上に置く。
「ロウソクが無い!」
部屋中を探しながら、飛んでくる人形を撃ち落としているタツロウ。
そして、
「あった! よし、これでどうだ!」
自前のライターでロウソクに火を灯す。
すると、飛び回っていた人形達が一斉に床に落ち、そしてカチっという音が遠くで聞こえた。
「どっか開いたな。戻ってみるか」
タツロウは来た廊下を引き返す。
そして、エントランスロビーまで戻ってきた。
さっきの骸骨顔はいないようだが、カーペットが焦げたが残されている。
「上に行ってやがるな。鍵も上が開いたな」
2階に上がり、さっきの扉の真上の扉のノブを回す。
「開いたな。さて、ここには何があるんだろうな」
ニヤニヤと笑いながら扉を引いて開いた。
「は? クルマに乗ってたのに、何でこんな所にいるんだ?」
周囲を見るが、雑木林という感じだ。
「完全に孤立したな。それに、こんな視界の悪い時に林なんか入ったら終わりだな」
目の前に、大きな閉ざされた門があり、その先にとても大きい建物が見える。
「あれに入るしかないか」
タツロウは門に手をかけ、押してみた。
「うん?」
門はすんなり開いたが、背後から視線をジリジリと感じる。
「見られているだけか?」
開いた門をくぐる。
そして、近づいた屋敷はとても大きく、そしてすごく薄気味悪い感じがした。
建付けの悪い窓があるのか、風でカタカタ鳴っている箇所が多い。
「ぱっと見、洋館だな。呼び鈴は無いな。ん? 不用心だなー。入るぜ」
ドアノブを捻ると、何事もなく開いた。
そして大きな扉を抜けた。
「中は外よりもっと薄暗いな。何かが出る雰囲気だ」
タツロウは怖い物が好きなのか、高ぶっているテンションを抑えている様子。
落ち着かせるためなのかわからないが、タバコを取り出してそれに火を付け吸い始めた。
「俺1人がこの洋館に飛ばされたってことは、ここに要救助者がいるってことだな。んで、俺が適任と。わくわくしてきたぜ」
タツロウは周囲を見渡す。
吹き抜け構造になっており、その中央に2階への階段がある。
1階と2階の左右それぞれに扉があり、扉同士向き合っている形になっていた。
中央の階段の奥が玄関から見えないが、建物は左右に広がっていたので奥への扉は無いだろう。
「階段の下に壺か。これはあれだな。あの怪しい壺じゃない普通のやつだ」
タツロウはその壺の中を覗き込む。
「鍵見つけたぜ!」
鍵を拾ったタツロウは、近くの扉に近づき鍵を差し込んだ。
「回らん! 次だ」
1階の反対側の扉にも試したが、回らなかった。
そして2階の左の両開きの扉の前に立つ。
「3箇所目だ」
鍵を回すと、カチャという音が鳴り響いた。
「ビンゴだ!」
両開きの扉の片方を開けると、ギィィィと物凄い建付けの悪い音が響き渡った。
ある程度開けた後閉めようとすると、何かに引っかかって閉めることができない。
「建付け悪いなー。しょうがないから開けっ放しにするか」
扉を開けっ放しにし、中へと入る。
そこは廊下になっていて、その両サイドの壁にずらりと古びたフランス人形が並べて置かれていた。
タツロウは人形を警戒しながら進む。
「これはこれは雰囲気あるな。うん? また見られている気がするな」
タツロウはホルスターから銃を抜く。
すると、
「おわ! なんか飛んできたな」
タツロウは咄嗟に飛んできた何かを撃ち落とした。
撃ち落とした物を見ると、そこには古びた人形が転がっていた。
「こいつが飛んできたのか。それとも誰かが投げた?」
タツロウは周囲を確認するも、誰もいない。
「いや、勝手に飛んできたのか」
壁に並んでいる人形が、一斉にこちらを見た。
「来るなら来いよ」
銃を構えると、人形がガタガタと動き出した。
そして、
「おっとっと!」
壁のフランス人形が全て浮き、タツロウに目がけて襲い掛かってきた。
更に、廊下の奥から何かが倒れる音が聞こえた。
「よ! っと。ほ! っと。なんだなんだ?」
襲いかかってくるフランス人形を処理しながら、奥の方を見るタツロウ。
そして、奥から真っ直ぐタツロウに向かって飛んできた物を、タツロウは最小限の動きで避ける。
「あ? てめぇ、何するだよ。おお! でかいなお前」
花瓶を投げてきた者が近づき、月光に照らされて姿を現した。
それは、全身を黒のローブで隠した長身の骸骨顔だった。
その骸骨顔は、壁側にあったキャビネットの中から、大きな鎌を取り出した。
そしてそれを構えると、持ち手の部分が伸びて、よく本とかに描かれる死神が持つ巨大な鎌みたいな見た目に変わった。
「これはまたおっかない物を出してきたな。俺が急いでいるからな! じゃあな!」
タツロウはそう言いながら、骸骨顔に向かって走り出す。
「これはよく効く酒だ。取っておけ!」
そしてすれ違いざまに、骸骨顔の足元に液体の入った瓶を投げた。
その瓶が床に落ちて割れ、骸骨顔の革靴がずぶ濡れになった。
「これはおまけだ。身体が燃えるように熱くなるんだぜ?」
タツロウは咥えていたタバコをその液体に投げ、そして
「ぐおおおお!」
骸骨顔は一気に燃えたローブを脱ぎ去り、エントランスホールの方まで走っていった。
「さて、俺はこっちの扉に入るか」
骸骨顔が出てきた扉を開け、中を見る。
扉を開けると、薄暗い空間が広がっていた。
電気は点いておらず、大きな窓から入る月光が部屋の半分を照らしている。
テーブルやタンスなどの物が置けるスペース全てに、廊下にもあったフランス人形がぎっしりと並べられていた。
タツロウは見物するように、部屋の中をゆっくり歩き眺めている。
「これも飛んできたらたまらんな」
声に反応したのか、人形がカタカタと揺れ始め、廊下の時と同じように浮いて飛んできた。
タツロウは飛んできた人形を撃ち落とす。
「ちっ! 視界が悪いぜ。どこかに灯りはないか?」
人形を撃ち落としながら灯りを探していると、
「お、あった!」
ロウソク台があったので、それを部屋の真ん中にあったテーブルの上に置く。
「ロウソクが無い!」
部屋中を探しながら、飛んでくる人形を撃ち落としているタツロウ。
そして、
「あった! よし、これでどうだ!」
自前のライターでロウソクに火を灯す。
すると、飛び回っていた人形達が一斉に床に落ち、そしてカチっという音が遠くで聞こえた。
「どっか開いたな。戻ってみるか」
タツロウは来た廊下を引き返す。
そして、エントランスロビーまで戻ってきた。
さっきの骸骨顔はいないようだが、カーペットが焦げたが残されている。
「上に行ってやがるな。鍵も上が開いたな」
2階に上がり、さっきの扉の真上の扉のノブを回す。
「開いたな。さて、ここには何があるんだろうな」
ニヤニヤと笑いながら扉を引いて開いた。
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