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第3章:狂った時間と狂わせる科学
35 夏祭りの星①
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タツロウに誘われて、救助対象者のいる夢の星で不思議探しをする事になった。
「うま! この焼き鳥うま!」
「タツロウさん、食べてばっかりだね……」
「この焼きそばも美味しいわよ!」
「(夢羽も食べてるけど、それ浮いてないの?)」
「お嬢も食え! 美味いぞ!」
「風羽も食べたらいいのに。美味しいよ! あと見えないっぽいね」
「食べてるけど……(たしかにタツロウさんに見えてないね)」
そして私達は今、夏祭りの星にいる。
夢羽は今実体化をして出店のご飯を食べているが、見えていないし手に取った物も消えて見えなくなるようだ。
周囲を見渡すと、どこもかしこもお祭り騒ぎだ。
騒いでいる中で、叫んでいたり悲鳴まで聞こえている。
「ここが最近噂の夏祭りの星……」
「賑やかだな。ここのどこに救助対象者がいるんだろうな」
そう言いながら祭りを楽しんでいるタツロウ。
「ねえ風羽。さっきから悲鳴が聞こえるんだけど、ここって絶叫マシーンでもあるの?」
「あー……悲鳴、聞こえるね……。祭り会場に絶叫マシーンはないと思うんだけどな……」
タツロウにも聞こえるように、普通に喋った。
「悲鳴? よく聞いたらたしかに前から……っと、あれが悲鳴の出所みたいだぜ」
前に人だかりがある。野次馬か何かだろうか?
私はその人だかりを掻き分けて、先頭に出た。
そこには
「やれ! やっちゃえ! その酔っ払い人を捕まえろ!」
「きゃー!! 酔っ払いにあの人も噛まれたわよ! そこのデカい人も加勢しなさいよ!」
複数のフラフラした人達に対し、身体が大きい人達が抑えようと争いが起こっていた。
「……酔っ払い? なんか様子がおかしいんだけど……」
「……お嬢。何か嫌な予感がするぜ」
「タツロウさんもそう思う? とりあえず高い所で様子見しておこうか」
「ああ。りょーかい」
また人だかりを掻き分け、少し見晴らしの良い所を見つけたので、そこからさっきの騒動の場所を見た。
移動しているうちに、酔っ払いみたいな人がさっきより増えている気がする。
「あれ? 風羽。そこに誰かいない?」
夢羽が木の陰を指す。
私はその木の根元に近づいた。
「あ! タツロウさん、狼煙をあげて!」
「! りょーかい!」
そこには、怪我だらけの局員が木の幹を背に、ぐったりとしていた。
タツロウはカバンから狼煙を取り出し、すぐに紐を引っ張り狼煙をあげた。
「大丈夫ですか? ひどい怪我……。かなり衰弱しているね」
「応急処置しておく。お嬢は、周囲にまだ犯人がいないか警戒してくれ」
「わかった」
銃をホルスターから抜き、周囲を見張る。
「お嬢!」
「今度はどうしたの?」
警戒しながらタツロウの横に立つ。
「これ、食い千切られているぜ」
「え?」
局員の腕を見ると、噛まれた痕や噛み千切られた痕が残されていた。
その時、
「きゃーー!!!」
「うわあああ!!!」
「ぎゃあああ!!!」
祭り会場の至る所から、悲鳴や叫び声が響き渡る。
「これってまさか……」
「似てるわね……あのリゾートホテルのあった星の……」
「狂人だ」
逃げ惑う人々と、それを追うゾンビのような狂人。
捕まった人は、狂人の群れに埋もれて見えなくなった。
「ゾンビ映画とかでよく見る光景だな……夢だからそういうのも見るってわけか」
「深層の夢でこれを見るってことは、ちょっと疲れてそうだよね……」
私はホルスターから銃を取り出し、つくちゃんに殺傷弾へと変えてもらった。
「お嬢。とんでもない数だけど戦うつもりか?」
「うん。夢のイベントかもしれないけど、見過ごせないからね」
「さすがだぜお嬢。加勢するぜ」
「どこかに夢の主もいるかもだし、救助対象者もまだいるかもだしね」
そう言い、丘を滑り降りる。
そして、近くにいた狂人の頭を撃ち抜いた。
「この星の要救助者は3人って言ってたぜ」
「じゃあ、あと2人いるってわけか」
タツロウも銃を取り出し、狂人の頭を撃つ。
私はナイフも抜き取り、狂人の頭を裂いた。
「でもこれ、切りがないな……。何か手榴弾みたいな物持ってる?」
タツロウの後ろの狂人を撃ちながら、質問を投げる。
「これしかないぜお嬢」
タツロウも私の後ろにいた狂人を撃ち、カバンから瓶を取り出す。
「まだ持ってるの? さっき火炙りの刑にされたばかりなのに……」
瓶の中に透明の液体が入っている。
たぶん高濃度のアルコールだろう。
「何かと役に立つからな。近づいてくる奴に使わなければいいだろ」
「それもそうだね……って、そしたら今使えないじゃん」
「そうだな! ははははは!!」
1体ずつ減らしているが、音に釣られてどんどん集まってくる狂人。
その狂人に囲まれ始めていた。
「風羽、これ使って!」
夢羽が何かを投げてきた。
「え? ……これ、手榴弾じゃん! どうしたの?」
「作ったわ」
「えー……」
私は手榴弾のピンを抜き、前方に投げる。
すぐに爆発し、走り抜けられそうな空間ができた。
「お嬢、持ってるじゃん!」
「ははは……」
狂人がまた空いた所を埋め始めたので、その前に私達はそこを走り抜けた。
「あれはきついな。他の局員と夢の主、無事だといいが……」
「そうだな……とりあえず、あの音がする所に行かない?」
「音? お、これは銃声だな」
ちょうど出店の裏側から辺りから銃声が聞こえたので、出店を突っ切る形で裏側にまわった。
「もうちょい先だな」
「うん、近くなってきた」
出店のテントを2張り抜けると、さっきのような人だかりが出来ていた。
「加勢する!」
タツロウは狂人の頭を撃ち、数をどんどん減らしていく。
私も銃とナイフで狂人の数を減らす。
どんどん減っていき、囲まれている人物が見えてきた。
「あ! やっと助かる!」
相手にも私達が見えたようで、ちょっと安心したような顔をした。
「風羽! やばいわ!」
「え?」
「うわああああああ!!!!」
その囲まれていた人の攻撃が緩んだからか、狂人の数が増えたからかわからないが、助けようとしていた人が狂人に押し潰され、見えなくなった。
「うま! この焼き鳥うま!」
「タツロウさん、食べてばっかりだね……」
「この焼きそばも美味しいわよ!」
「(夢羽も食べてるけど、それ浮いてないの?)」
「お嬢も食え! 美味いぞ!」
「風羽も食べたらいいのに。美味しいよ! あと見えないっぽいね」
「食べてるけど……(たしかにタツロウさんに見えてないね)」
そして私達は今、夏祭りの星にいる。
夢羽は今実体化をして出店のご飯を食べているが、見えていないし手に取った物も消えて見えなくなるようだ。
周囲を見渡すと、どこもかしこもお祭り騒ぎだ。
騒いでいる中で、叫んでいたり悲鳴まで聞こえている。
「ここが最近噂の夏祭りの星……」
「賑やかだな。ここのどこに救助対象者がいるんだろうな」
そう言いながら祭りを楽しんでいるタツロウ。
「ねえ風羽。さっきから悲鳴が聞こえるんだけど、ここって絶叫マシーンでもあるの?」
「あー……悲鳴、聞こえるね……。祭り会場に絶叫マシーンはないと思うんだけどな……」
タツロウにも聞こえるように、普通に喋った。
「悲鳴? よく聞いたらたしかに前から……っと、あれが悲鳴の出所みたいだぜ」
前に人だかりがある。野次馬か何かだろうか?
私はその人だかりを掻き分けて、先頭に出た。
そこには
「やれ! やっちゃえ! その酔っ払い人を捕まえろ!」
「きゃー!! 酔っ払いにあの人も噛まれたわよ! そこのデカい人も加勢しなさいよ!」
複数のフラフラした人達に対し、身体が大きい人達が抑えようと争いが起こっていた。
「……酔っ払い? なんか様子がおかしいんだけど……」
「……お嬢。何か嫌な予感がするぜ」
「タツロウさんもそう思う? とりあえず高い所で様子見しておこうか」
「ああ。りょーかい」
また人だかりを掻き分け、少し見晴らしの良い所を見つけたので、そこからさっきの騒動の場所を見た。
移動しているうちに、酔っ払いみたいな人がさっきより増えている気がする。
「あれ? 風羽。そこに誰かいない?」
夢羽が木の陰を指す。
私はその木の根元に近づいた。
「あ! タツロウさん、狼煙をあげて!」
「! りょーかい!」
そこには、怪我だらけの局員が木の幹を背に、ぐったりとしていた。
タツロウはカバンから狼煙を取り出し、すぐに紐を引っ張り狼煙をあげた。
「大丈夫ですか? ひどい怪我……。かなり衰弱しているね」
「応急処置しておく。お嬢は、周囲にまだ犯人がいないか警戒してくれ」
「わかった」
銃をホルスターから抜き、周囲を見張る。
「お嬢!」
「今度はどうしたの?」
警戒しながらタツロウの横に立つ。
「これ、食い千切られているぜ」
「え?」
局員の腕を見ると、噛まれた痕や噛み千切られた痕が残されていた。
その時、
「きゃーー!!!」
「うわあああ!!!」
「ぎゃあああ!!!」
祭り会場の至る所から、悲鳴や叫び声が響き渡る。
「これってまさか……」
「似てるわね……あのリゾートホテルのあった星の……」
「狂人だ」
逃げ惑う人々と、それを追うゾンビのような狂人。
捕まった人は、狂人の群れに埋もれて見えなくなった。
「ゾンビ映画とかでよく見る光景だな……夢だからそういうのも見るってわけか」
「深層の夢でこれを見るってことは、ちょっと疲れてそうだよね……」
私はホルスターから銃を取り出し、つくちゃんに殺傷弾へと変えてもらった。
「お嬢。とんでもない数だけど戦うつもりか?」
「うん。夢のイベントかもしれないけど、見過ごせないからね」
「さすがだぜお嬢。加勢するぜ」
「どこかに夢の主もいるかもだし、救助対象者もまだいるかもだしね」
そう言い、丘を滑り降りる。
そして、近くにいた狂人の頭を撃ち抜いた。
「この星の要救助者は3人って言ってたぜ」
「じゃあ、あと2人いるってわけか」
タツロウも銃を取り出し、狂人の頭を撃つ。
私はナイフも抜き取り、狂人の頭を裂いた。
「でもこれ、切りがないな……。何か手榴弾みたいな物持ってる?」
タツロウの後ろの狂人を撃ちながら、質問を投げる。
「これしかないぜお嬢」
タツロウも私の後ろにいた狂人を撃ち、カバンから瓶を取り出す。
「まだ持ってるの? さっき火炙りの刑にされたばかりなのに……」
瓶の中に透明の液体が入っている。
たぶん高濃度のアルコールだろう。
「何かと役に立つからな。近づいてくる奴に使わなければいいだろ」
「それもそうだね……って、そしたら今使えないじゃん」
「そうだな! ははははは!!」
1体ずつ減らしているが、音に釣られてどんどん集まってくる狂人。
その狂人に囲まれ始めていた。
「風羽、これ使って!」
夢羽が何かを投げてきた。
「え? ……これ、手榴弾じゃん! どうしたの?」
「作ったわ」
「えー……」
私は手榴弾のピンを抜き、前方に投げる。
すぐに爆発し、走り抜けられそうな空間ができた。
「お嬢、持ってるじゃん!」
「ははは……」
狂人がまた空いた所を埋め始めたので、その前に私達はそこを走り抜けた。
「あれはきついな。他の局員と夢の主、無事だといいが……」
「そうだな……とりあえず、あの音がする所に行かない?」
「音? お、これは銃声だな」
ちょうど出店の裏側から辺りから銃声が聞こえたので、出店を突っ切る形で裏側にまわった。
「もうちょい先だな」
「うん、近くなってきた」
出店のテントを2張り抜けると、さっきのような人だかりが出来ていた。
「加勢する!」
タツロウは狂人の頭を撃ち、数をどんどん減らしていく。
私も銃とナイフで狂人の数を減らす。
どんどん減っていき、囲まれている人物が見えてきた。
「あ! やっと助かる!」
相手にも私達が見えたようで、ちょっと安心したような顔をした。
「風羽! やばいわ!」
「え?」
「うわああああああ!!!!」
その囲まれていた人の攻撃が緩んだからか、狂人の数が増えたからかわからないが、助けようとしていた人が狂人に押し潰され、見えなくなった。
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