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第2章:現れる脅威と新たな力

19 脱獄大作戦②

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 局員1人を見送った私は、次の局員が捕まっていそうな場所を目指していた。

「そこの右から兵士が1人」
「(りょーかい)」

 右から来る兵士の死角になる物陰に隠れる。
 そして、近づいてきた兵士のあごを、小銃のストックで殴った。

「(よし! さて何か持ってないかな……)」

 気絶させた兵士を床に寝かせた。
 そして、使えそうな物を漁る。

「携帯食料と煙幕くらいじゃない?」
「(そうだねー)」

 兵士はそれらを1つずつ持っていたので、回収してカバンに入れた。

 と、こんな感じに、道中、私を探していると思われる兵士と遭遇しないように、迂回したり隠れたりして進んでいる。
 回避不可能の場合、さっきのように兵士を気絶させていた。

「(えっと、次はどこに進む?)」

 交差点で進行方向を夢羽に確認している。

「ここを真っ直ぐ進んだ所にまた分かれ道があるから、そこまで進んで」
「(りょーかい)」

 夢羽の言う通りに進むと、また同じような交差点に着いた。

「(この監獄、広くない? ……ちゃんと進んでいるかな?)」
「大丈夫よ、進んでるわ。その交差点のど真ん中に、今から助ける予定の局員のカバンに入っている週刊誌を取り出して置いて」
「(どのカバン? あ、勝手に出てきた)」

 どうやら、つくちゃんが取り出してくれたようだ。

「(勝手にカバン開けてもいいのかな?)」
「まあ、あとで助けるために使ってって言えばいいよ」
「(うん……これ? ……助けるために使えるの? ただの漫画だけど……)」

 取り出した週刊誌は漫画だった。

「うん、むしろ効果抜群かな! それを置く前に、これも置いてね。その板は上にね」

 目の前にちょうど本の大きさの箱が現れた。

「(……どうやってここに出しているのさ)」
「秘密ー」

 夢羽はいたずらっ子のように笑う。

「(全ての問題が片付いたら聞くからね)」
「うん、いずれわかるわ……」

 話しながら箱を設置し、その上に漫画を開いて置いた。
 するとそこに、左右と前から兵士がこちらに向かってきた。

「(やば! 隠れなきゃ)」

 引き返して隠れ、様子を見た。
 すると

「これは!?」
「いい物を見つけた!」
「お宝だ!」

 予想以上に漫画に食いつき、3人でくっついてそれを読んでいる。

「(そんなに読みたかったの?)」
「ずっと見張りとかさせられていたのかしらね……」

 様子を見ていると、1人が漫画を持ち上げ読み始めた。
 すると

「ん?」
「なんだ?」
「カチ?」

 カチという音と共に、箱が爆発し周囲を煙で覆い尽くしてしまった。

「「「うわぁ!?」」」

 ついでに、爆発の衝撃で3人も吹き飛ばされ、床に倒れた。

「(視界は悪いけど、通行はできそうね)」
「いや、あの交差点には行かずに、今立ってる所から左手側の道を道なりに進んでみて」

 左の方を見て道を確認する。
 たしかに奥へと進んでいるが、さっきの兵士達を倒した理由と煙幕の理由がわからない。
 そんなことを思っていると、

「どうした!? 誰にやられた!?」

 倒れている仲間をする。
 寝言を呟いているのが聞こえたので、どうやら気絶をしているようだ。

「(あの兵士って左から来たよね?)」
「うん、そうだよー。今なら次の局員の牢の前は手薄だよ」
「(あーそれを狙ったってことね)」

 私は言われた通り、左を向いて真っ直ぐ進んだ。
 そうすると、突き当りを右に曲がり、右手側に道があった。
 そこから煙が見えるので、さっきの交差点に繋がっていそうだ。
 私はその煙が出ている所まで進んだ。

「おい、そこの君! 僕を助けてくれないか?」

 牢から1人の大人が声をかけてきた。
 星間郵便局の制服を着ているので、局員なのは間違いないだろう。
 男か女か区別がつかないので、生前に子どもはいなかったのかもしれない。

「はい。あ、貴方の漫画使っちゃったので弁償べんしょうします」

 私はさっきと同じように、牢の鍵をピッキングしている。

「いいよ、いい。むしろ、まだたくさんあるから使っていいよ」

 そう言い、局員はカバンを指す。
 私はカバンを渡したら、その中から何冊も出してきた。

「そんなにいらないですよ」
「いいって。使いな」
「……ありがとうございます」
「いいっていいって」

 鍵が開いたので、そこから局員が出てきた。

「ありがとな。あ、これここの夢の主への手紙だ」

 そう言って渡してきたので、それを受け取った。

「じゃあな」

 局員は端末を出して、何かを確認しながら走っていった。

「(行ったね。次の人探そうか)」
「おっけー。次の人はここから真っ直ぐ行った所にいるね。残りのメンバーもこの辺りに固まっているわ」
「(りょーかい)」

 夢羽に言われた通り真っ直ぐ行くと、2つの牢に制服を着た人が2人入っていた。

「あ、風羽待って!」
「(どうしたの?)」
「あれ見て! 天井付近!」

 警備はいないと思いきや、天井付近を見ると、自動小銃が付いた監視カメラが周囲を警戒していた。
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