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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その251裏

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「チィッ!」



興醒めな奴め。

何のためにここまで来て、その舞台に立ちやがったんだ。

リョウマ族の株まで下げやがって。肝心な時に牙を抜くバカがいるか!?

この誇闘会ことうかいに出る以上、闘わないという選択肢はない。

下手な事をすればハムカンデに殺されるのが目に見えている。

そうなる前に、俺がお前を殺してやる。

相手は黒眼こくがん五人衆、小鈴ショウレイ、太鼓六変人ろくへんじん等のハムカンデ直下の宝酷城ほうこくじょう天守層組ではなく、お前が連れたゼドケフラーのただの幼獣だ。大きな運を手に入れたにも関わらず、逃すなんてな。

この場に集った多くの者達の狂気にでも怖気付いたか。

俺だったら、とっくに幼獣のゼドケフラーを倒し、望みを叶えてもらう。

まさかそのゼドケフラーに感情移入でもしているのか?

ふざけた奴だ。

自分以外はいつ裏切るかもわからない者達ばかり。

蔵馬天門くらまてんもんの奴らがいい例だ。

極少数のみ伝承される唯一無二の奥義を会得しようと、裏では裏切り、殺し合いの連続だ。

俺は奴らを警戒しながら過ごし、生き延びながら、鍛錬を続けたが。

俺は禁断の建物である唐津東堂からずとうどうに入り込み、極意の書を盗んだと濡れ衣を着せられた。

俺がやる訳がない。

何度思い出しても、頭に血が上るぜ。

俺は紅羽くれは流刀術で師範に認められ、あの蔵馬天門に入る事ができた。

それなのに奴らは散々俺の修行の邪魔をしてくれた挙句、偽りの情報を流され、俺は追われる身となった。

あの刀剣術は本来、書き起こす事の許されない、口頭での伝承しか許されていないはず。

それを口外されたくないための口封じでもあった。

俺の身を案じて同行した奴が、結局は俺への刺客だったな。

それに気づいた俺は、やられる前にそいつを斬り倒した。

門下生だった時には俺に飯を注いでくれたりした。この時世、珍しく気の緩いカスだった。

結局はこの世は弱肉強食なんだって事だ。

星の崩壊でリョウマ族の故郷ごと消滅したと知った時には、この上ない喜びだったぜ。

蔵馬天門の奴らを皆殺しにする手間が省けた。

リョウマ族は俺1人でいい。

俺がリョウマ族の至高の存在だって証明してやるよ。

おい、名無し野郎。

リョウマ族もどき野郎が!

俺に恥かかせるんじゃねえよ。

早く、そのゼドケフラーを殺しちまえ!

そして、その後で真のリョウマ族である俺が、お前をなぶり殺してやるよ。


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